KAC20229 9回目 お題 猫の手を借りた結果
「己には笑いがわからない。」の己をオノレとか読んでるヤツはどこのどいつだい?
あたしだよっ
あたしっつうのは中の人のことだよ。
中の人っつうのは、ここでいう、中の人っつうのは二次元の、
つまり小説の登場人物のことだよ。
お待たせしたな。
あたしが、この「己には笑いがわからない」の一人称、己の書いた、巨乳妻だよ。
ちなみに巨乳ったってたかだかEカップ。極めて現実的な大きさだ。
そんなこたぁどーでもいい。
己をオレと読ませたいいかにも厨二病的精神年齢アッパラパラダイス、パラダイス銀河の55男の戯言もどーでもいい。
こっちが仕事にテンパって「猫の手も借りたい!」と思ってリビングにきたら、
なんだ。虫ケラかよ。しかも半世紀ものの。
カピカピだよ。乾き切ってるよ。半世紀ものの虫ケラ。
虫ケラの手はつかえねーな。カピカピだし。
猫の手は役に立つよ、なんせ猫の手は肉球がパねく可愛いからな。
肉球、肉球、ぷにぷにーん。ふふ。
ネコ飼うかな。スコティッシュフォールド。
肉球。ぷに。ふふふ。
あ? なにニヤニヤしてやがんだ、この虫ケラ。虫ケラの分際で。このゴルジ体が!
わかってねーよ。わかってなくていってるよゴルジ体。たった今命名した。おまえ、今日からゴルジ体だ。そう。おまえはそうゆー理解を超えた生物だ。
あーわかられない。誰もおまえを理解しない。
ウケケケケ。
おまえはそうゆーものだ。
今日から。アタシが決めた。
おい、自称・己。
おまえはそういう誰からも理解されない、⭐︎ももらえない、そーゆーなんだかわからんものなんだ。わかったか。
んでなに。小説? しょーせつなんて大したもんじゃねーな。ただのしょ、しょ、しょんべん。
そうだ、しょんべんだ。排泄物。そーゆーもんをコソコソ人に隠れて書きやがって!
このゴルジ体め!
ぺち。
なにがいやん、だ。この野郎。色気づきやがって。この50オヤジが。
巨乳好きのパンチラマニアが。
ぺち。ぺち。ぺちん。
はあはあ、いうんじゃねー。みっともない。50オヤジが。
こっちはなー。猫の手も借りたいほど忙しいんだ。売れっ子なんだよ。おめえみたいなヒモとは訳がちがうんだ、このゴルジ体が!
いま、アタシはおまえとプレイに興じているわけには…
猫の手すら借りれず、猫の手を借りた結果すら残せず、ここで虫ケラ改めゴルジ体如きと楽しくプレイに興じるわけには、わけには、
いか、いか、んんんんん〜……
******
ピンポーン。
「お母様。ただいま帰りました」
「あら。アユミさん。おかえりなさい。今日は早かったのね」
「お母様、アユミね。今日お母様に聞いていただきたいことが」
「あらまあ。いったいどうなさったの、アユミさん。お母様でよければ、お話聞いてさしあげてよ」
「お母様でなくてはいけないわ…。ええ、絶対に。アユミのおはなしを聞いていただくのは…」
「どうやら、込み入った深刻なおはなしのようね…。お紅茶でもいただきながら、ゆっくり聞かせていただくわ。梅さん。アタクシにキームンをお願い。アユミさんにはアールグレイとミルクをね。ミルクは40℃に温めて」
「かしこまりました」
「さて…。いったいどうなさったの、アユミさん。ふふ。お母様、だいたい察しはつくけれど」
「ふふふ。お母様のご想像とおりよ…。そこの虫ケラ、改めゴルジ体」
「ふたりの親子ライン、早速見てくださってたのねアユミさん。情報共有がはやくてありがたいわ。…それで、ゴルジ体が?」
「ええ。ゴルジ体が…。またアユミのBL本をこっそり読んでいるらしいの。ゴルジ体が触れたらすぐわかるように特殊な液体を塗っておいたの。すぐに反応したわ…」
******
妻と娘が艶やかな笑みで己を見る。
見下ろす。
ど、ど、どうする己。
絶対絶滅、じゃない。絶対絶命、ピンチやーん。
助けて、己だけのヒーロー!
ああ、きくちゃん!
あ、今日日曜じゃない。平日だ。笑点やってない。
己には笑いがわからない。 雲野古葉子 @applestripe113
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