シュガーを聴きながら

夕哉圭シロー

第1話

サクラは見てはいけないものを見てしまった。


ほんとに偶然だったのよ。企画部の月次会議の

資料をみんなに配布していた時にたまたま、

リョウくんの席にも配ろうとしたら、机に置いてあった

スマホの画面にLINEメッセージが、ハイライトで

表示されたの。


『明日、7時30分ですよね。

楽しみにしています。ミナミ』


一瞬だったけど、読むには十分な時間だった。

少しでもタイミングがズレてたら気づかなかったのに。

もしくは、リョウくんがスマホを持って席を外してれば見ることはなかったのに。


リョウくんと私は、同期入社。 すごいイケメンでは

ないけど背が高くて、優しそうで、正直最初から

気にはなってたのよね。付き合うきっかけは、

4月の人事異動でリョウくんが私のいる企画部に

配属になったのがきっかけで、よく話すにようになって

自然とねえ。。。。


でもどうしよう、ていういかなんでこのタイミングかなあ。


来週クリスマスなのに。。。。


プレゼントも買ってるのに。。。。。


しかも、このミナミって子知ってるし。


上のフロアーの営業管理部の子なんだよね。確か、入社2,3年目位で、私よりちょっと若いんだよね。

まあ、顔は私の方がカワイイからいいだけど。


もし、浮気だったら。。。。こんな年末に別れるなんて絶対いや! でもどうしよう。


そうだ、こういう時は綾香に相談しよう。


すると、すぐに綾香から返信のLINEがきた。


『サクラちゃん、全然大丈夫だよ。私の推理は、リョウさんがクリスマスプレゼントを選ぶ為に、その子に付き合って貰っただけだよ。By 古畑綾香です。』


(ああ----、なるほどそのパターンがあったか。でもねえ、ほんとかな、そもそも古畑って古すぎない。)


(よし、明日リョウくんの後をつけて確認しよう。それで買い物してバイバイしたら綾香の推理通りでハッピーね。ただ、違ってたら。。。余計なことは考えない。もう寝よう!!)



あくる日


よーし、もうすぐ定時だ。ちゃんと尾行用のサングラスも持ってきたし、リョウくんも残業なさそうだから予定通りミナミちゃんと合うはずだわ。


その時、悪魔のささやきが。


「サクラくん、ちょっといいかな。」

課長からだった。


「明日の月次会議の資料だけど、

第2営業部の数字がこんなに低いのが

おかしいよね。それとアイテム別集計の

総数も少ないから何か抜けてるみたいだから再度確認してくれる。」


「あっ、はいそうですね。確認します。」


(なんだよ、バカ課長め!もっと早く言ってよね。

でも確かにおかしいわね。あーリョウくんは、

帰るのね。。。 とりあえず、早く原因

見つけるしかないわね。)


2時間後

(あっ、これだ。試作用のコードで売上計上してるから集計されなかったんだ。しかもコード自体も事業部コードが間違ってるし。こんなの作計上の時は営業から

共有することになってるのになあ。

こりゃ、わからんわ。でも、これで解決したね。)


(もう、この時間じゃ買い物終わってるわね。直接リョウくんのアパートに行くか!)




サクラは、アパートのエントランスが見える

位置に身を潜めた。部屋の明かりは

ついていなかったのでまだ帰宅はしてないようだ。


(このまま、1人で帰ってきたら、

こっそり帰宅しよう。

でも、もし2人だったらどうしよう。。。。。)


しばらくすると、人影が見えてきた。


コツコツ。コツコツ、コンコン。


人影はリョウくんとミナミちゃんだった。


サクラは、一目散にリョウくんに近づいた。


「あっ、サクラちゃん。な、な、なんでここに。」

リョウくんは驚きながらつぶやいた。


「今、ちょっと考えが変わってね。本当は来週渡すつもりだった、持ってきたの。」



ブスッ、、、、


「ウーー」「キャー‼」



「欲しがってたでしょ、サバイバルナイフ。」



ウェディング・ベルからかわないでよ


ウェディング・ベル本気だったのよ


ウェディング・ベル


ウェディング・ベル



。。。。。。



ガバッ、


(あー、何この夢。すごいリアルだし。昨日、Amazonミュージックで

懐メロ聴いたのが原因かなあ。。。でも、本当に夢でよかった。ああ、やばっこんな時間。会社だから起きなきゃ。)

会社についてからもサクラは、夢のことが気になっていた。


(でも、最近営業管理とは集計作業の引継ぎで交流があったしなあ。その時、

確かリョウくんもいて、ミナミちゃんと

話してたような。。。。)


その時、課長から


「サクラちゃん、月次会議の資料みんなに配ってくれる。」


「はっ、はい。」


(やばー、これってデジャヴ。でも、同じ通りにはならないわよ。だってリョウくん席にいるも、、、、おらんのかーーーい。さっきまでいたのに。)


(まさか、スマホは持って行ってるよね、、、、あるんかーーーい。)


(今のうち、置いちゃえ。さっと席を離れたら大丈夫だよ。)


サクラが、リョウくんの席に近づいた瞬間、ブーン・ブーンとスマホのバイブの振動が伝わった。反射的に目を向けてしまった。


画面にLINEのメッセージが。。。。。







『リョウさん、頼まれたプレゼント買ってきましたので明日、会社でお渡ししますね。ミナミ』









雨が夜更け過ぎに


雪へと変わるだろ


Silent night, Holy night

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シュガーを聴きながら 夕哉圭シロー @yuyakeshirou

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