第10話 ふむふむ。そういうシステムか。
キャラメイキングの本番はこれからだ!
『ということで、スキル表見せてください。あ、スキル・ポイントは何点まで使っていい?』
『何が「ということで」じゃ。まったく、これは「げーむ」ではないぞ。手っ取り早いから一覧表にしてやるがの』
わーい。爺さんツンデレ。誰得? 実際に俺が得してるか。
『「すきる・ぽいんと」じゃが、ワシの神力を換算すると二人で300というところじゃ。1ポイントでレベルⅠ、以降はレベル分のポイントが加算されるからレベルⅩで55ポイントじゃな』
ふむふむ。そういうシステムか。まあ、これは神爺さんの好意、この世界の一般人のスキル取得方法とは違うのだろう。ザ・チートだ。
あれ? この計算方法だとレベルⅨで45、俺と新さんで90ポイント必要だよな。何で言語理解Ⅸが手に入った?
聞いてみよう。
『そんな細かいことまでわからんわ。どうせお主らはイレギュラーなのじゃ。少ないと思っておった魔力が変換されたとでも思っておれ』
まさかの「どうでもいい」発言。そりゃ神サマ視点だもんね。それに、俺と新さんで均等に分けたかどうかもわからんから、新さんのステータス見るまでは判断できないか。
確かに些事だった。それよりスキル表、スキル表っと。
目の前に、精神体だからなのか文字だけが浮かんで見える。結構あるな……剣術、槍術、斧術……う~ん、武術系は憧れるけど、新さんの方がお似合いだよな。
俺は魔術系で行こう。
一人150ポイントだから、レベルⅠだったら150個も取れる? 爺さん大盤振る舞いだな。
でも、レベルⅤなら15ポイント必要だから10個、レベルⅩなら3個に届かない。そう考えると結構シビアかも。
爺さんに時間引き延ばしを頼んで、新さんとの見張り番交代までじっくりと考えることにしよう。
爺さんと二人きりで無言のままは居心地が悪いので質問と世間話を混ぜながら作業を進める。
『なあ、実際レベル制の世界に来て改めて思ったんだけど、このシステムって危なくねえ?』
『何がじゃ?』
『魔物を倒すとレベルアップするんだろ? 冒険者だけが強くなって兵士は弱いまんまじゃねえの? 冒険者が犯罪を犯したら兵士じゃ敵わないんじゃないか? それに、連続殺人犯とかいたらレベルアップし放題じゃん。怖くて外に出れねえよ』
『そんなことか。この世界の人間もバカではないから危険性は理解しとる。ただ、魔物の被害の方が目立って大きいからそれほど問題になりゃあせん。それから一つ間違いがある。人が人を殺してもレベルアップはせん。他にも安全対策はあるでの』
なるほど。神サマが管理している世界だからな。しかもコンセプトがアレだし。「完全な平等」とか「完全な平和」は逆に邪魔なんだろう。
ここで爺さんから裏情報。
この世界、ステータス欄に犯罪履歴とか称号とかは付かない。徹底的な管理はこの世界の神たちの方針ではないということで、バレなければ犯罪し放題だが、救済措置もある。
神殿、ここでは爺さんたち神ではなく精霊を祭ってるそうだが、実ははるか昔に代表神たちが創ったシステム。空気中の「魔素(定番の謎物質)」に意識を持たせて個人魔力によって使役させてるんだそうだ。言ってみればウィルスかナノマシーン。何それ、怖い。日本のラノベ風に言うとこの世界の魔法は全て「精霊魔法」ということになる。
呼び方はともかく、その神殿に申請して儀式を行えば犯罪が暴かれるという仕組み。金がかかるらしいけど、確かに抑止力にはなるな。
はあ、思いがけず魔法に関する秘密を知ってしまった。ひょっとすると裏技チートが使えるかもしれない。
『なあ、「魔力操作」とか「魔導」みたいなスキルはあるか? それって一般的?』
『む……お主の世界には魔法がない癖に目端が利きおって。「無属性魔法」がそれ当たるかの』
爺さんが心を読んで、それでも素直に教えてくれったってことは、俺の、というか、ラノベからのアイディアの有効性を肯定した上で利用を許可してくれたってことだよね。
『構うまい。この世界の人間が忘れていただけで、それこそ本来の魔法の使い方じゃからの』
やりい!
これでスキル構成の大筋は決まった。
『それより、時間が押しておる。これ以上は引き伸ばせんぞ』
『はいはい! もうすぐ! てか、決めた後どうすんだ? 指でタップしたりできんのか?』
口頭で伝えろ、ですか。そうですか。
『じゃあ、これとこれがMAX。それから……』
というわけで、こちらが新規取得スキルになります!
鑑定X
無属性魔法X
火属性魔法Ⅰ
水属性魔法Ⅰ
土属性魔法Ⅰ
風属性魔法Ⅰ
光属性魔法Ⅰ
闇属性魔法Ⅰ
空間属性魔法Ⅰ
時間属性魔法Ⅰ
付与魔術Ⅰ
棒術Ⅰ
合計120ポイント
まだ余ってるって? ここで爺さんに確認。
『俺の素のステータスって、こっちの世界の人に比べて弱いよな?』
『そうじゃの、同年代だけで見ても平均以下じゃろうな』
わかってた。だって、受験生だから。帰宅部でインドア派だから。
『残りの30ポイントでステータス強化できねえ? というかしてください! 紙装甲もスタミナ不足もヤバイです!』
『わかったわかった。そう興奮するでない! じゃが、残り全部となると強化しすぎることになるぞ。「えいちぴー」に換算すると1000を超える。人類最強。勇者並みじゃな』
『え? マジ大盤振る舞いだったんだな……じゃ、じゃあ10ポイント分なら……』
『それならば、冒険者全体から見て中堅クラスという程度じゃな』
ではそれで頼もう。あ、防御とスタミナに5、他のパラメーターに5ポイントを均等に振り分けてください。
『この場合、ステータスレベルって上がるのか?』
『それも調整しておこう』
『頼んだ。残りは……何かお勧めのスキルある?』
『そうじゃな、魔法に偏りすぎじゃから、剣術、棒術、格闘術のレベルをあげるか、目立ちたくなければ「隠蔽」系のスキルじゃな』
隠蔽! そうだ! 忘れてた。異世界転移には必須ものじゃないか!
『じゃあ「隠蔽」で! レベルⅤがギリか……ラスト5! 一見切が良さそうだけど実はレベルⅢには1ポイント足りない!……今思いついたけど、「創造魔法」は……』
『そんな魔法使ったら、いくらなんでも代表神どもに目を付けられるわ!』
創造魔法はない、とは言わなかったね。
『いいか、取るんじゃないぞ。自分で編み出すのも止めておけ』
それって、有名な「押すなよ、押すなよ」ですか? あ。、違う。知ってました。
************
新作始めました。二作品あります。是非よろしくお願いします。
『鋼の精神を持つ男――になりたい!』https://kakuyomu.jp/works/16816927861502180996月水金19時投稿予定。
『相棒はご先祖サマ!?』https://kakuyomu.jp/works/16816927861502718497火木土19時投稿予定。
連載中の『ヘイスが征く』は日曜日、週一投稿に変更します。ストックが切れそうなので。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます