なるみ
◇◆◇
正直限界だった。
「恐怖のみそ汁ってどうだ!」
「今日、ふのみそ汁?」
「うっ。なら、こっちと呼ぶ時計は!?」
「針の音がコッチコッチ?」
「ぐっ」
あぁ、やっちゃった。きっと彼はもっと深く考えた笑いを用意していただろう。なのに、私ったら……。聞きたかったな。
彼がコメディ王になるといって私を笑わせようとしてくる。私が笑いやすいってしってて。
でも、お笑いはそんなに甘くない!! コメディ王になるというならば、妥協は絶対に駄目だ。
私は必死に我慢した。
私が笑ったくらいでコメディ王になれると思うなよ! 祐太!
それにしても――。たぶん、忘れてるんだろうな。
私と付き合うのは今から一番に私を笑わせたヤツだ。
なんて事を言ったのを。
あれから笑わないように誰と話しててもテストのことや晩御飯のことを頭で考えたり、脳内写経なんてしちゃってるんだから。おかげで現実でも趣味は写経です……。楽しいよ。うん。
「なるみが好きだ! いつでも笑ってくれ!!」
それは、お笑いじゃなーいっっ!!
もう、ずるいよ!! 必死に我慢してたのになんで私笑っちゃったの!
はぁ、反省しなくちゃ。もっと、笑わないようにしなくちゃ。
いつか、彼がコメディ王になるまで私は彼を鍛えつづけないとだもんね。
笑わせたいオレと笑わない女王様 花月夜れん @kumizurenka
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