笑わせたいオレと笑わない女王様
花月夜れん
祐太
「恐怖のみそ汁ってどうだ!」
「今日、ふのみそ汁?」
「うっ。なら、こっちと呼ぶ時計は!?」
「針の音がコッチコッチ?」
「ぐっ」
さすが、笑わない女王。題名だけで次の事を予想しやがって……。
コメディ王を目指すオレの目標はコイツを笑わせること。ある日、突然笑わなくなった幼なじみ
ちなみにオレは中学二年生の男子、
「ねぇ、コメディ王とか目指すのやめたら?」
彼女のセリフがオレにどすっと突き刺さる。
「いや、笑わせたい。皆を笑顔にするのがオレの使命だからなっ。笑わない女王! もちろんお前もだ!」
「ふぅー、なら笑わせてみなさいよ」
顔を赤くしながらなるみが言う。オレなんか面白いことでも言ったか?
「よし、後悔するなよ!!」
オレは必死に考える。考えるがなるみを見ているとどうしても頭の中が真っ白になる。なんだ、これ。
笑わせなきゃいけない。でも、何でだった?
「はやくしてよ」
「待って、まってろ。う、むむむ」
「今日も駄目なの?」
「ぐっ」
なるみの目がどんどん冷めていく。
「う、うっ、うー」
「う?」
「なるみが好きだ! いつでも笑ってくれ!!」
「…………」
ぷっと笑わない女王が吹き出した。笑った? 今笑ったよな!?
「もう、ずるいよ。それじゃあ私が我慢してるのがバカみたいじゃない」
「へ?」
「へ? って、忘れたの? 私を一番に笑わせた男としか付き合うなって言ったの
「へ?」
あ、なんか言ったな。小学校の頃、付き合うって、付き合うって、あーっ!!
「いや、あれはお笑いの練習に付き合うなって意味で言ったんであってそれは、男女の付き合いでは……」
小さい頃、何でもよく笑うなるみにオレのお笑いを見てもらったんだ。自信がなかったオレは彼女に笑ってもらって自分を保とうとして――。惨敗した。
「あの日から、笑うの必死に我慢して、大変だったんだけど?」
「あ、いや、その。ふかーい訳が」
「一番に笑わせたんだから、付き合いなさいよ」
「あ、はい」
「でも、お笑いはやっぱり合わないと思うよ。祐太」
「そ、そんなぁ」
「まあ、だいぶ鍛えられたから付き合ってあげるよ。祐太が飽きるまで」
そして、オレの彼女になったなるみはまた笑わなくなった。
やべ、めちゃくちゃ責任重大じゃねーか。
「が、頑張ります!」
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