第9話 苦労人と、宇宙聖女(その7)
時刻は5:30。
「こくげい」の艦内に放送されている小鳥のチュンチュンピヨピヨというツイートが聞こえてくる。
これは時間感覚が狂わない様に地球の環境をエミュレートしたもので、艦内にある全ての空間に放送されている。
こくげいのシステムとリンクする、ドックに収容されているスペースバスや護衛するライダー達のベースシップも同様である。
ドック脇にある関係者用詰所からは、スペースバスの運ちゃんとガイドさんが、
「はよーっす」(*´Д`)
「おはようございます!」(*‘ω‘ *)
とアイサツを交わし、朝飯のパンと飲み物を片手に、談笑しながら食堂へと向かう。
ベースシップからも他旅団の護衛ライダー達が次々と降りてきては、
伸びをしたり
装備を点検整備をして「ヨシ!」としたり
レディオ体操(当然第二まで)したり
と、思い思いに目覚めの時を過ごしている。
そんな活気に満ちた朝の風景が広がるドックの片隅にひっそりと停泊する「宙風」の、哲人にあてがわれた船室にて。
うつ伏せの状態で寝台に横たわる哲人はこれから出荷される冷凍スペースマグロめいていて、この場はまるで宇宙ツキジの様なアトモスフィアであった。
厳しい難度のミッションは、のっけから緊張の連続であった。
ガーディアン時代の様に、おバカさん達を引っぱたいたりしたり、
にもかかわらず、それらを上回る疲労感に、幾多の修羅場を潜り抜けてきた猛者と言えども眠気には抗えず、宙風に戻るなり、こうして泥の様に眠っている。
だが時は無常にも、この健気に戦う宇宙戦士に、次なる戦場に至った事を告げる無慈悲な使者を送りつけた。
哲人の枕元に置かれた、水滴の様な形をしたオブジェクトが「カチッ」という音を発したと同時に、次なるイクサの開始を告げる法螺を吹いたのだ。
「ピキー!! ボクは起きる時間をお知らせする軟体流動生物ですよ!」
この奇妙な水滴が発する、けたたましい電子音(?)と共に哲人は目覚めた。
これは哲人が幼少のみぎりにて、久松に貰った目覚まし時計の音である。
今時珍しいアナログ表示の、電池で動く、某有名RPGの最弱ザコキャラを模したこの時計は、レトロ調なグッズを好む久松の趣味を前面に押し出したものだ。
哲人がこれを手にして大方25年程になるが、こうして未だ現役であるのは、このデザインの元となったザコキャラのしぶとさを(メーカーの望外ながら)見事に表現している、と言えるのではないだろうか。
目を(3_3)にしたままのそのそと起き出し、頭頂部にあるつの(?)を押して五月蠅い自己アッピルを停止させ、唸り声をあげながら首と肩をぐるぐる回す哲人。
『ム・・・・もう朝か。学生達の消灯時間と同じ位に寝たからそれなりの時間、スペースマグロになってた筈だが、全く休んだ気になれんな・・・・』
『「かつてない程の高難度ミッションに関わっているんだから、精神的に疲弊するのも無理ないんじゃないかしら? 後、宙風に戻ってからも、大騒ぎする
幻想的な「カシオペヤ座A」の宙域を遊覧した後に、夢見心地で「提灯あんこう」へと戻った学生ら一行を見届け、一先ず宙風に引き上げた哲人であったが、戻った先でもまた、厄介な出来事がもうひと悶着あったのである・・・・。
・
・
・
哲人らの苦労を他所に、イルマ以外の、宙風に残っていたメンバー達は割と暇を持て余していた。
(イルマはムリフェルに力を供給する為に医療ポッドに入ったまま意識が無い状態であるので、持て余す暇がそもそもない)
しかしながら、宙風に出番があるのは、理仁亜らがこくげい外部に放り出される様な、所謂最悪の状況である時なので、これは流石に仕方ない事ではある。
一応、哲人らの救援要請を何時でも受けられる様に待機はしていたのだが。
そう滅多な事が起こる事もあるまいと、各々が比較的自由に過ごしていた。
その内の一人、レーダー監視や通信、外部環境の観測と分析を担当するオペレーター役のメンバー
「
も、「こくげい」のシステムとリンクしているのに乗っかって「カシオペヤ座A」の宙域を観測していた。
・・・・この青年、世峰矢貴将は「近畿エリア大学」の、理学部宇宙自然科学科に所属していた学生で、今は院生をやっている、目元涼やかなるイケメンである。
宇宙の様々な現象を分析し、そのデータを使って重力波の利用効率を高める事を研究しているという、時代の最先端技術に携わる、将来を嘱望された若き宇宙パイオニアなのだ。
事実、過去には精力的にフィールドワークに参加し、グラビティ・フェイズドアレイ・レーダー(長くて言うの邪魔くさいので次回から宇宙電探と呼ぶ)を駆使し、数々の宇宙気象を詳細なデータに解析した実績が高く評価されている。
そんな次代の賢聖たる漢が何故こんな所で宇宙気象観測しているのかと言えば。
実地で広い宇宙の事象を紐解くため・・・・
等と言うような高尚な理由ではなく、割と俗っぽい動機からくるものである。
実はこの男、その遊び散らかしてそうな外見とは裏腹に、編みぐるみやパッチワークと言った手芸が趣味という、無類の可愛い物好き。
人畜無害の草食系、朴訥な好漢なのである。
その容姿の細さも相まって、幼少の頃にその事をよく揶揄われていたせいで、誰にも理解されない趣味をひた隠しながら過ごしていた。
そんな失意の中、迎えた高校時代にて。
クラフト・ワークの授業で、貴将が作った手芸品を見た約呼に
「うわあ、すごくかわいい! 上手ですね! 私にも教えてください!」
と褒められた事で、コロッといってしまった。
以来、彼女に懸想しているのである。
(モテそうな外見とは裏腹に、かなり奥手で一途なピュアボーイであった)
彼女と同じ大学へ進学し、自身とはあまり関わりの無い宇宙考古学のゼミを取っていたのもその為である。
その思いの健気さたるや、周りで見ている者全てが思わず
「ガンバッテ!」
と応援せずにはいられぬ程であるのだが。
肝心の約呼には全く届いていない。
(カナシイ! セツナイ!)
そういう、
「旅団に入れば、約呼君に思う存分アッピル出来るぞい!(ピシャシャ・・・・!」
という(ハゲた)悪魔の囁きに惑わされて入団してしまった、蔵智に次ぐうっかりさん2号なのである。
工作力の
彼の知啓に目を付けたムリンこそが、この誘惑を手引きした黒幕である。
そんなうっかり次郎な貴将だが。
こくげいとリンクする事で得た有り余るリソースを、これでもかと惜しみなく投入する事で実現した観測環境には流石に賢聖としての本分を大いに刺激されたようだ。
(これはムリフェルが情報収集の為に無理矢理リンクする事で実現したもの。当然ながら、かなりグレーな行為である)
一時の心の迷いを忘れ、13光年の範囲に広がる、一万年の時を内包した星間物質の分布を観測する事に没頭していたのであるが・・・・。
その時、この宙域を漂っている、かなりの質量を持った小惑星に何らかの文明による遺物らしきものを(うっかり)発見してしまったのである。
校長室の調度品を破壊してしまった小学生の様に青ざめる貴将。
見つけてはならない物を見つけてしまったと狼狽える。
それだけならよかったのだが・・・・
残念な事に、ムリフェルに力を供給するイルマを見ているだけだけで退屈していた
狂喜乱舞する
当然、調査に行こうと大暴れする。
「うぉおー! こうしちゃおれん! 行くんじゃ! 調査に! 星間物質をかき分けて! 貴将君! 止めんでくだされぇ!」ドッタンバッタン
「!? あ、やっべ! 見つかった!? いやいやいや、教授! 今はミッション中ですよ! 逝くんならせめて修学旅行が終わってからにして下さい!」ガシッ
「ミッションなら哲人えもんが居るから大丈夫で問題ないわい! って言うかもう全部哲人君一人でいいんじゃないかね!」ジッタンバッタン
「いやいやいやいや! 流石に無理ですから! それにイルマさんが居ないとムリフェルさんの力が使えなくなるでしょう! 正直教授要りませんけど、居ないとイルマさんが困るでしょ! だからハゲるんですよ、弁えてください!」グイィッ
「!? 要らんならええじゃろ! 後ワシハゲてないもん! うおぉおー!」
他にメンバーが居ない宙風の艦橋でイケメンとオサーンががっぷり四つ。
くんずほぐれつ、どったんばったん大騒ぎする様は有体にいって非常に見苦しかった。
新たなる
「「こ、この異常なまでの興奮物質の分泌は一体!? ハゲよ、何時にも増して何を血迷っているというのです?」」
「おおムリフェルちゃん! 遺物が! ワシを! 四㌦けんのう! 下がっとれぃ貴将君! ワシは調査せねばならん! あとワシハゲとらん!」ドッタンバッタン
「いやいやいやいや! そんな義務はありません! 勿論自爆なら止めませんよ、ご自由にどうぞ! あっ、ムリフェルさん申し訳ない! 小生がうっかり遺物らしきものを発見してしまったのです。これが件のデータです」ギュウゥ
そういって貴将が送信したデータを見るなり、ムリフェルの無表情だった顔が一転、激しい怒りに歪む。
「「なるほど、大体理解しました。・・・・貴将よ、貴方は己の賢者たる本分を全うしただけで何も悪くありません。寧ろ、一万年も前に爆ぜた星の残骸の中からよく発見出来たものです。流石ですね。そしてハゲよ。この宙域なら別にいつでも訪れる事が出来るから後になさい、といってもどうせ聞かないでしょうから早速天罰を下します・・・・氏ねハゲ!」」カガッ
憤怒の
「ぬおっ!? こ、これはまさか!! アギャアァアア! か、痒いぃぃいいいいい!! ぬぐぐ、じゃが! 所詮これはおヌシが繰り出す幻影! この程度の痒みで、今のワシを止める事など出来ん! ぬぅりゃあ!!」パァンw
「「な、なんと!? このわたくしの痒光縛を打ち破るとは!?」」
「うわ!(ドン引き)なんてパワーだ! お、抑えきれない! ><」ズルズル
「ガハハ! ここにはあの恐ろしい
とうとう迸る己が欲望だけでムリフェルに抗ってしまった
すわ、このままでは美しいカシオペヤ座A宙域が変態に蚕食されてしまう。
おお、この世に救いは無いのか!?
そんな渦中に、疲労困憊の哲人がうっかり戻ってきてしまった。
(この間の悪さも苦労人たる所以である)
『フゥ、何事も無くて何よりだが、まだ一日しか経ってないんだよな。先が思いやられるな。世峰矢君、何か変わった事は起きなかったか・・・・って、何だ、何事だ!?』(;゚Д゚)!?
今まさに変わった事が起きていた。
流石の武人もこれには驚いた。
「あっ、星永さん!
「「哲人よ、遠慮はいりません。本気で叩きのめすのです。何なら頃してしまってもかまいませんよ。どうせこのフナムシはその程度では氏にません! 心の臓を潰して尚再び動き出すでしょう!」」
さらっと恐ろしい事を真顔で口にする
無慈悲な宣言に「ぎょっ」とはするものの、流石は宇宙の
このワチャワチャとした騒ぎを一瞬で状況把握。
すぐにイクサの心得に切り替えた哲人は、即座に緊急搭乗口である滑り棒の前へと陣取るや、素早く
『えっ!? はっ、ええっ!? ・・・・まさか、そうか! おっとセンセイ、そこまでです! ここは通しませんぞ!』ザッ
「ぬっ!? 流石は天の川随一の豪傑と謳われる銀河の防人、見事なワザマエじゃあ! しかし哲人君、よもやキミまでワシの情熱という名の
『センセイ、何があったかは存じませんが、今ここにあっては貴方を逝かせる訳には参りませんぞ! 勝手は私が許しませぬ! はぁあ!』ドシュッ!
どこかの姉妹の三女の様なセリフと共に水月突を放つ哲人。
(ダイジョウブデス!
殆ど予備動作なしで、ほんの瞬き程の刹那に、凄まじい威力を持った杖の突きが
これで呆気なく串を打たれた鶏肉の様になって成敗される・・・・
はずであった
おお、ブッダシット!
ウザい!
にやりとほくそ笑む
ウザい!
あと、躱した後の、
ウザい!
しかし、これには流石の哲人も瞠目した。
思わず「なんと!?」と叫ぶ。
成り行きを見守っていた
「ガハハ! まだまだ青いな哲人君! 令ちゃんの様な非情さが感じられんぞい! 究極の
『クッ、なんという邪な気迫! センセイから途轍も無く強大な妖気を感じる!? 膨れ上がった欲望とは、これ程までに人を邪悪に染め上げてしまうのか!?』
『「何てこと・・・・! この速さは貴方をも凌駕しているわ。今の
「「そうです、哲人よ。そのフナムシを今ここで打ち滅ぼすのです! 全宇宙の生命を守る為に!」」クワッ!
『むう!(そ、そこまで言うか!?) だが、むきになって本気でかかれば、本当にセンセイを頃してしまいかねん・・・・! クッ、一体どうすれば・・・・!』
カサカサと素早く駆け回り、守りを抜きにかかった!
「ガハハ! 隙あり! あ~ばよ、哲っつぁん! そりゃ!」シュババッ!
『ぬうっ!? しまった!? おのれセンセ~イ!』Σ(・□・;)
ナムサン!
とうとう
この場に居る誰もが絶望に打ちのめされそうになった・・・・
まさにその時!
バスタオルを巻いただけの、あられもない姿をしたおなごが
「バァン!」
と勢いよく扉を開け放ってこの場に颯爽と登場した!
ミラリィ=サンのエントリーだ!
(宙舟は元々普通の学術用調査艇なので、緊急時以外はエアロックシャッターを上げ、普通のドアを使う構造となっている)
・・・・(゚д゚)ポカン
と呆気に取られる面々を他所に、ミラリィはヒタヒタと
おお! これはまさしく穿宙天彗蹴!
見事なワザマエ!
「あ、見え・・・・たわ!? ぱふあっ!? わひゃら! うわぢゃ~~~!! ・・・・げぴ!!!」ドコボコドガバギドッタンバッタン!!
何が見えたのかはさておき。
宙魁千掌激の千発分が持つ威力を一撃に内包した後ろ回し蹴りが
その威力は
「ピキュウウン!」
と弾けたあと、最後に衝撃となってその身を
「キャッズオオン!」
と弾き飛ばし、艦橋内をおっさんピンボールが如くあっちこっち跳ね回らせた。
危機を察知した(?)「宙風」の扉は、自動的に「バタン!」と開くと、この不届き者を通路へと
吹き飛ばされた
そして会議用円卓に叩きつけられて、白目を剥いてビグンビグン痙攣した後、ジワ~ッと広がる熱湯の海へと沈み、蹴りの余波で蒸発した後、辺り一面に硫黄の匂いが漂った。
『おお、これは穿宙天彗蹴! 前に組手した時にちょこっと教えた程度だったが、ラーニングしておったのか! 中々やるな。まぁ何にせようぬのお陰で助かった。ありがとうミラリィ』ナデナデビチャビチャ?
「(`・ω・´)キリッ」ドヤァ・・・・シットリ
『「間一髪間に合ったようね。念のためミラリィを呼び戻して正解だったわ」』
『ヒナシ、君がミラリィを呼んだのか。助かったよ。・・・・んん!? うぬ何か生乾きでしっとり湿ってるな!? うお!? 何だその恰好は!? やれやれ、しょうがないやっこめ、風邪をひいてしまうぞ』ゴシゴシ
「(*´Д`*)ヤーン」(光属性視線判定範囲睡眠)
タオルを取り出し、雨の日に散歩を強行して戻って来たぬこの様にしっとり湿っているミラリィを拭いてやって労をねぎらう哲人。
ミラリィもまた、この場に登場した鬼気迫る表情が一転、だらしなくうっとりとした顔で、されるがままになっていた。
・・・・何故ミラリィが参上したかというと、痒光縛を打ち破られた時点で、危機を予感した光無比女命が密かに呼び寄せていたのである。
その際、ミラリィは約呼&蔵智と共に、入浴の時間となった理仁亜らを護衛するのにかこつけて、「提灯あんこう」が誇る「大宇宙展望露天風呂」を堪能しようと目論んでいたのだ。
(ちなみに、露天に入れるのは女子だけ。男子は一つしかない家庭風呂程度の大きさの風呂を四人づつ高速ローテさせられ、湯を堪能する暇もなかった・・・・)
だが、彼女らの目論見通りには行かなかった。
護衛もそこそこに、いそいそと身体を洗い清め、いざ湯治せんと温泉に身を投じてほんの寸刻後、光無比女命から救難を要請されたのであった。
中途半端に湯を切る事になってしまったミラリィはとっても機嫌が悪かった。
軽くバスタオルを体に巻き付けるや、下着を手にもった約呼が静止する間もなく一瞬にして跳躍!
垣根を飛び越え、
そして宙風の艦橋へ駆け抜けた後、今まさに哲人を出し抜かんとカサカサ駆けまわる
そうこうワチャワチャやってる内に、約呼が息を切らせて宙風のブリッジに入ってきた。
・・・・ミラリィのものである、殆ど隠す気の無い、スケスケのGストタイプショーツを握りしめて。
それをブンブン振り回しながらここまで走って来たようだが。
果たしてどれ程の人に目撃されてしまったのであろうか・・・・。
哲人は、湿りミラリィを約呼に預けると、腐った卵みたいな匂いが充満するブリーフィングルームで目を回している
貴将と協力し、そのまま艦橋のキャプテンシートに括りつけて五平餅にした。
天の川銀河の平和は、こうして守られたのであった。
・・・・この後、服を殖装したミラリィは約呼と共に「提灯あんこう」へと戻り、護衛そっちのけで湯を堪能した。
(我関せずと一人残った蔵地は、罰がかぶったのか湯に当たり、戻って来た二人に部屋へと放り込まれた)
一方、騒ぎがあった事など露ほども知らぬ理仁亜ら学生達はというと。
大広間にて、お調子者達が歌うのど自慢大会で盛り上がっていた。
その後、清掃を行う従業員を手伝ってから消灯時間となり、これ以上騒ぐこともなく就寝した様だ。
ミッション初日は、(結果的に)つつがなく終える事が出来たと言って良い。
だが、当事者である哲人と貴将はこの騒ぎでごっそり気力をもっていかれ、すっかり疲労困憊。
最早何も手に付きそうになかったので、ハンガーに居たせいで騒ぎを知らなかったもう一人のメンバー、
そして最後に、散々暴れまくり、ハゲ散らかした
当然のごとく、キャプテンシートに括りつけられた状態のまま朝を迎える事になるのであった。
・・・・帰投した後の予期せぬ追加ミッションの事を回想し、改めて背筋の凍る思いがした哲人が徐に独り言ちる。
『昨日のセンセイの欲望丸出しっぷりはまさに邪神そのものだったな・・・・。あの人はライダーになるべくしてなったのかもしれん』
『「考えようによっては、アレが人類の進化が行きつく先の一つなのかも?」』
『仮にそうだと、人類はいずれ大宇宙をも飲み込んでしまいかねん。文明の極相と言われている精神昇華とは程遠いな。寧ろ正反対と言っていいだろう。今の循環社会とも相容れぬ。反面教師だな、人類全体の』
『「率先して身近に悪例を示してくれてるのだから、感謝すべきなのかしら?」』
『フッ、そうだな。あのとんでもない勢いの
『「午前中はらせん星雲、たまご星雲、星形成領域を遊覧した後に重力航行に入って、午後イチから猫の目星雲を掠めながら天の川銀河中心域にある大重力炉を見学したあと、もう一回重力航行してから球状星団でナイトクルージングね」』
『中々のハードスケジュールだな! 私の頃はもう少しマイルドだった記憶があるんだがな。まぁこれなら初日に頑張った三人を休ませてやる事も出来そうだな』
『「ここで余計な事を言うとエラい事になりそうだから、私からはノーコメントで。・・・・学生達もお目覚めの様ね、「提灯あんこう」でレディオ体操してるわ。私達もそろそろ準備しないとね」』
『おっと、もうそんな時間か! 今日もよろしくどうぞ! ご安全に!』
『「フフッ、ええ、ご安全に!」』
そう言って、ドッグでレディオ体操を終えた他ライダー集団の号令に合わせて
「ゼロ災で行こう、ヨシ! ゼロ災で行こう、ヨシ!」
とキャビン内で指差し呼称した後、MDFを駆り、ハンガーから颯爽と飛び出すのであった。
・
・
・
♥ 二日目 暴走ボンクラーズ! 女神を護れ、美しき乙女らよ!
昨晩の幻想的な体験から一夜明け。
冷めやらぬ興奮をレディオ体操(勿論第二まで)で発散。
そののち、出発前の朝礼にて、まことときらりの、何時ものやり取りを見てリラックスした学生ら。
次なる旅路に臨むべく、意気揚々とバスへ乗り込んだ。
哲人もまたMDFにて、理仁亜らの乗るバスのルーフへと憑りついた。
一方、ミラリィらは宙風にてバスに追従。
一定距離を保ちつつ警戒する。
(流石に同じスペースバスには乗れない)
哲人が光無比女命に確認した通り、午前の予定は天の川銀河中心部にある巨大重力炉へ向かう道中にある星雲巡りである。
この銀河の至宝たる煌き達を、ざっと紹介しておこう。
「らせん星雲」
我らが太陽の50億年後の姿と言われており、寿命が尽きた恒星が放出するガスが美しく光る景勝地である。
各種観測拠点や資料館が多数ある。
「たまご星雲」
このはくちょう座にある惑星状星雲は極めて目立つので、宇宙の道標として、また、その先にある宙域への中継地点として利用されている。
古い星から何度もガスや塵が放出される事で、まるでサーチライトの様に、自らの存在をアッピルする。
「星形成領域S106」
同じくはくちょう座にある、まるで翅を広げた蝶の如く広がる美しい星雲である。
「らせん星雲」とは逆に、今まさに新たなる星が誕生しようとしており、その様子を観測する為の施設が多数存在する。
・・・・これらのランドマークを順に巡る訳であるが。
観光客用に公開されている施設のみとはいえ、午前中に全て回るのは中々にハードスケジュールである。
普通に考えたならば、何千光年にも及ばんとする長大な距離を、それも一足飛びで駆け巡る事に眩暈すら覚える事であろう。
(恐るべきはこれでも行程全体の百分の一にも満たない事だ。宇宙コワイ!)
だが、大いなる宇宙への憧憬は文明を持つに至った生命体が等しく抱くもの。
先達が積み重ねた英知と、星々が秘めたる神秘の理を紐解いた資料は見る者を等しく魅了する。
結構な過密スケジュールに若干しり込みしていた学生らも、各所を巡る内に人類が得た知啓と、過去の人々が遺した足跡を体験し、圧倒され、また夢中となり。
遥かなる星の海を往く旅の疲れや不満を口にする者は、誰一人としていなかった。
理仁亜らもまた、人類が成しえた偉業を前に、自然と身体が技をなぞる。
(そしてその動きをクラスメイトらに揶揄われ赤面した)
学生らにコッソリ帯同するミラリィらもまた、
「仲良し三人娘が行くぶらり天の川銀河散策ツアー」
を堪能するのであった。
(そしてその姿を見るたびに哲人の不安が募る。君らはちゃんと護衛しようね?)
・
・
・
何はともあれ、道中はこれといってToLoveるが起こる事もなく。
学生一行は無事に午前の日程を終えた。
今は「提灯あんこう」にて昼食を摂った後の自由時間である。
学生らと共にこっそり(の割には堂々と観光してませんでしたか?)帯同していたミラリィらも宙風と共にこくげいのドックへと帰還。
その足で宿へと戻り、学生らに混じって、「提灯あんこう」が誇るお昼御前を堪能した。
一方、哲人はというと。
学生らが宿舎へ戻るのを見届けたのち、一旦宙風に帰還。
主計を担当するメンバー
それぞれに分担を決めて調理したり、お互いの料理を交換しあったりと。
その様子はまるで、女子高にてこれから調理実習に臨む女生徒みたいなノリで、
極めてむさ苦しき漢の娘な食卓を囲み、一時の休息を和やか(?)に過ごした。
(女性陣より漢の方が高い
・・・・この少し前に名前だけ出ていた
蔵地の影響で共に機械いじりを学ぶ。
その外見は威圧感にあふれ、筋骨隆々で破壊力ばつ牛ンの迫力を誇る。
まるで武人が如き鋭い目つきをしているものの、整った顔だちであり、貴将とはまた違った意味でのイケメンである。
だが、そんな世紀末覇者めいた見た目とは裏腹に、本人は至って温厚。
戦闘力や腕力は一般人と変わらない。
むしろ、掃除洗濯といった家事全般の方が得意な、極めて女子力の高い漢だ。
その内務能力で皆をサポートする。
尚、この女子力は幼少のみぎりより、蔵智の世話をし続けた結果得た物であり・・・・
(オホン!)つまりは、ものぐさで技術以外はからっきしな蔵智を想うが故。
まぁ、ここでも
(言わせんな恥ずかしい!)
その甲斐甲斐しさたるや、同じく女子力皆無なおなごらにとっては垂涎ものであるらしく、
「結婚しよ。(結婚しよ)」
等と、多数の秋波を送られている様なのだが。
本人はただただ、蔵智の体調が第一。
一途で誠実。
貴将とはまた違った意味での好漢で、その稀有な人間性は極めて信頼がおける。
それはさしずめ、宇宙聖者といったところであろうか。
そんな主夫になるべくして生まれてきたような、心優しき漢が何故この場にいるのかと言うと、
「ファファファ・・・・広大な宇宙の真っ只中に蔵智クンを放り出しておいて、君はなんとも思わんのかね!?(ピシャシャ・・・・」
という、彼の生活能力の高さに目を付けた(ハゲた)悪魔の囁きに、居ても立っても居られずに参加してしまった、うっかり三郎だからである。
億代の深き愛は流石の約呼ですら認識しており、旅団のメンバー一同から
「もうお前ら結婚しろよ」
と、生暖かく面倒くさ・・・・(ンンッ!)応援されている。
・・・・
この億代&蔵智を始めとして、貴将&約呼や、ハムナプ&律といった、良縁を結ぶ不思議な力があるらしい。
その通力をうまく使い、普段の行いを少しでも改めたらば、もうちょっと周りも協力的になるであろうが、結果は言わずもがな。
残念無念不毛なオサーンなのであった。
(ワシハゲとらんっつとろうに!)チッウルセーナハゲwwww
・・・・ちなみに、その件のハゲこと
キャプテンシートにて五平餅の様に括りつけられたまま忘れ去られており、飯にありつくことは出来なかった。
それどころか懲罰として、
加えて、食事の代わりに、生命維持を目的とした点滴である
「マルチコンクフード・リキッド」
を注入され、管まみれとなっていた。
普通なら非人道的と解き放たれる有様であるが、日ごろの行いがアレである。
情状酌量の余地など無い!(キッパリ)
故に、哲人らに思い出される事なく、遺物を調査出来なかった後悔をかみしめながら、涙と鼻水まみれになって、泣き喚きながら執筆をつづけるのみであった。
(この期に及んで尚、自省の後悔が先立たない辺りに、このハゲの宿業が窺える)
自業自得、インガオホーとはまさにこの事。
悔い改めよ、南無阿弥陀仏!
・・・・とまぁ、このように、過密スケジュールの合間にある束の間の休息を堪能する学生一行と哲人ら旅団員らであったが・・・・・
気高く美しき乙女を穢し追い詰め、その不幸と破滅だけを執拗に追い求めるのを決して止めない
この平穏を切り裂くべく差し向けられた新たなる刺客が一行に忍び寄っていた。
・
・
・
・・・・片付けが終わり、解放された大広間にて。
対象に気取られず帯同し、護衛(という名の観光)するキビしいミッションを一先ず終えたミラリィ達。
緊張から解き放たれた上に、更にはご馳走を食べてしまった事で、すっかり気が緩んでしまったようだ。
理仁亜の護衛もそこそこに、広間の一角に陣取り、お菓子をつまんで一時の休息を楽しんでいた。
資料館のドキュメントをホロ・モニタに投影しながら談笑する彼女らの姿は、まるでそこだけ大学のワンシーンを切り取ったかのよう。
ほんの息抜き代わりに、感想や含蓄を語り合う。
だが・・・・
まだ生まれたばかりのミラリィにとって、外界の刺激は未知なる発見に満ち溢れ、その好奇心は留まるところを知らない。
まるでスポンジが水分を
講師役となった約呼や蔵智もまた、学問に携わる者である。
初めは軽めに済ませるつもりであったが、こんな熱心な生徒を前にしてしまっては、否応なしに識者としての本能を刺激された。
何時しかこの場は講義の場と化し。
二人が振るう教鞭のキレは留まるところを知らぬ。
その勢いたるや、とうとうビリオドの向こう側まで飛び出し、危険な領域にまで加速する有様。
修学旅行の学生そっちのけ。
彼らよりも修学する事に夢中になっていた。
傍から見ている分には、前途ある若者らが未来の展望を語り合い、光あふれる将来への希望に熱き情熱を注ぐという、大変夢のある光景ではあるのだが・・・・。
このせいで理仁亜らを監視する目を切ってしまい、ほんの一瞬ではあるが、彼女への注視を失念していたのはやむを得ないだろう。
(流石にこれは怒るに怒れぬ。ハゲとは違うのだよ、ハゲとは)
これは天の配剤か、それとも悪魔の罠か?
この、怖気が走る、狙いすましたかの如く絶妙なるタイミングは、それこそ一撃必殺といっても過言ではなかろう。
微笑ましいめだかの学校が開かれている、正にその時!
理仁亜がふらっと広間から出てしまった!
そう、ほんの一瞬ではあるが、ミラリィ達は理仁亜を見失ってしまったのである!
・
・
・
旅の道中で見た、先達が遺した熱い思いに感化されたのであろうか。
じっとしていられなくなった理仁亜は、中庭へと赴き、演舞していた。
それはまるで、発展と平和の為に、その穢れ無き情熱を捧げた過去の人々の願いに報いるべく舞う地母神の様であった。
たまたま中庭に居合わせたクラスメイトらも、美しき女神の舞に見惚れ、うっとりと恍惚なる表情をうかべた。
・・・・ただそれだけなら、大丈夫で、問題ないのだが。
やっぱり今回もダメであった。
何処から嗅ぎつけてきたのであろうか?
当然の如く、迸るリビドーを抑えきれぬボンクラーズ共が、理仁亜の姿を網膜に焼き付けんと中庭へ殺到する。
無論、自らの盟友を救うべく、美しき
日頃に体育館の一角で繰り広げられるイクサが今まさに、この銀河の真っ只中に勃発した!
閑静な中庭が一転、さながら戦場が如き様相を醸し出す。
来羅&楓鼓は、主を守護する戦乙女のように立ちふさがり。
優華は見苦しいボンクラーズの顔にクララレアシラルをシャバッと塗りたくり。
さわこは見物料のお菓子を吹っかけ。
時はまさに世紀末となり、淀んだ庭先で彼らは出会ってしまっていた。
皆、どこもかしこも傷だらけ。
蹲って泣いても始まらないと言わんばかりに、どったんばったん大騒ぎだ。
が、心の光に呼応し、突き動かされる理仁亜の耳にその喧噪が届くことはなく。
舞に没頭し、半ばトランス状態となった。
その艶姿は、まるで下天した地母神が如し。
神秘的で、幽玄なる現人神となり。
理仁亜を中心に、周囲は静謐な神域と化していた。
そんな理仁亜の演舞が放つ穢れ無き威光と、柔らかな肢体から漏れ出る深き慈愛に魅了されたボンクラーズ達。
自らからの腹の底からとめどなく湧き出す、そのドス黒い邪念と劣情に飲み込まれるや、とうとう正気を失い暴走を始めた!
「乙ッパイノペラペラソース!!」ウガー!
「萌エレ萌エレ・・・・」ブツブツ
「森ネズミ、森ネズミ・・・・」フラフラ
「名探偵! アルアルネーヨ!」グォー!
「ヒ、一ツニナロウ、一ツニ(ポロンッ」コヤツハブレネーナw
こ奴らのどう猛さたるや、さながら地獄の餓鬼もかくやという有様である。
最早、己が欲望を隠そうともせぬ。
女神の無垢なる輝きを穢し、その美しき身体を蚕食せんと、群がり迫る!
だがそんな事は、理仁亜の守護をかたく誓い、共に戦い抜いた、風雅なる双光の迅雷が許さなかった。
来羅と楓鼓は、己が主である女神の御身を護るべく、背中合わせになるや、鏡映しの構えを取って迫りくる魑魅魍魎へと立ち向かう!
「おのれ、血に飢えた悪鬼悪霊共め!」
「我らが大切な仲間には、指一本触れさせません!」
「理仁亜さんは」「私達が」
「「絶対に護ります!!」」(( ・`д・´))キリッx2
忌むべき地獄の亡者供は、ダラダラ垂らす涎を拭おうともせず。
先ずは前菜と言わんばかりに、目の前の二人へとタゲを変更。
爛々と怪しく輝く眼が引く禍々しい光の尾を伴い、女神の双翼たる戦乙女らへと襲い掛かった!
すわ、恐るべき煉獄の修羅共らが喰らう最初の贄は、この健気な双子となってしまうのか!?
普通の生徒らは心配そうに見守るも、余りの混乱っぷりに手が出せない。
鬼気迫る勢いのボクラーズによって、慣れ親しんだ狛犬ツインズが憐れにもズタズタに引き裂かれてしまう様を想像し、思わず目を覆った!
だが、そうはならなかった。
闇夜を切り裂く雷迅と、戦場を駆け抜ける陣風が、今一つとなり!
天地を焦がす風雷となって、群がる餓鬼どもをここは譲れませんと言わんばかりに一瞬で吹き飛ばした!
「「イヤ↑ーッ!」」カガッ!
「「「「「グワーッ!」」」」」ドガガァッ!
おお、まさに二身一体!
見事なワザマエ!
理仁亜と同じく、体操の高みを志し、共に笑い、泣き、そして強敵達と研鑽を続けてきた来羅と楓鼓。
二人はもう己の非力を嘆いて俯くしかなかった、か弱きおなごら等ではない。
ただ前だけを向き悪を撥ね退ける、気高い心を持った戦姫なのだ!
「ほう、戦姫阿修羅鏡影身ですか・・・・」クィッ
「オイオイオイ」┐(´∀`)┌
「……氏ぬわアイツら……」(´・ω・`)
この騒ぎに駆け付け、すっかりギャラリーと化した
(そして思わず合いの手を入れる燕と間夜。勿論、特に意味はない)
「知ってるのかい頼伝クン?」( ^ω^)?キョトン
「一体どういう技だっていうの?」(;´・ω・)?
人臣と共に頼伝へ疑問を投げかけるのは桃屋盾子(ボクっ娘)。
かつては人臣と幾度となく手合わせしたが、この南陵学園にて同級生となり、共に切磋琢磨する間柄となった。
結果、めきめきと力をつけ、「常州二剣」と称される程に成長した。
そんな彼女らの活躍を影で支えたのは言うまでもなく頼伝であり、こうして共に行動する程仲良くなったのだ。
(そしてそのお陰(?)で、彼女らの間に新たなる争いが生まれた事に頼伝は気づかない。朴念仁、此処に極まれりである)
「ハイ、盾子さん。あの見事なコンビネーションで技を繰り出す構えこそが、かつて戦姫闘技術を創始した女傑・スメラ=リラゴが口伝でのみ、近しい者らへ伝承するにとどめて居たという幻の闘技ですね」クィックィッ
「へー・・・・ (。´・ω・)ん? じゃあ何であの二人が使えるの?」ジュンコバッカ!アタシモカマイナサイヨ!
「それは、演舞体操術の創始者である東嵐りほが、絶望的な戦いのさなか、母であるちほから手ほどきを受ける時に伝えられたのをヒントに、姉のかほと、それも咄嗟の機転でもって編み出したと言われています。まぁ言ってみれば偶然の産物ですね」イテテヒッパラナイデ!
「人間氏ぬ気になれば何だってできるもんね!」
「・・・・それで体操にも技が伝わっているのね・・・・」
「でも、ボクが見た限りだと、あの技実践的で結構危なそうだよ? 体操にはちょっとそぐわないんじゃないかっておもうんだよ」(´-ω-`)?
「演舞体操術と、その原型である戦姫闘技術は、己の大切な者達を守る為の業。東嵐りほもまた、仲間と自らの居場所を守る為に、圧倒的な戦力差の相手と戦わざるを得なかった状況にありました。そんな理不尽に対抗する為の力を、ずっとずっと未来の
「ぬーん、確かにそうよね・・・・私も見習わなきゃ! ・・・・ところで頼伝、なんで貴方が体操のエライ人の事そんなにkwsk知ってんのよ?」(*''ω''*)ギンッ
「フッ、それはですね、グローバルネットにて『~何をしているのですか?~戦姫達の秘密大特集』という、体操に打ち込むおなごらのキワどい隠し撮り画像集を漁っている際に見つけたリンクを辿る内にwikiを見つけましてね・・・・って、何をするのです!? グワーッ!」サヨナラ!
折角綺麗に〆たのに、その理由が余りにヒドかった為、四人娘にフルボッコにされる頼伝。
成仏しろよ、南無阿弥陀仏!
この五人がしょうもない痴話げんか(?)を繰り広げるすぐ横の中庭では、ボンクラーズ共の暴走が有頂天となっていた!
「「イヤーッ、イヤーッ!!」」カガガッ
「グワーッ! ・・・・魔太郎ォ!」グオッ
「アバーッ! ・・・・今月号!」ムクリッ
「ボスガ美少年ブンドッタ! イ↑ヤーッ!」テノヒラズオオッ!!
「あっ、ヤダ!? ンアーッ!?」オッパイホニャッ♪
「楓鼓、大丈夫!? むう、許さない!」カガッ
「グワーッ!! ・・・・へっへっへ・・・・」テヲクンクン
繰り出す技のキレは見事ではあったが。
彼女らは体操という競技の高見を目指す誇り高きアスリート。
その拳は活人術であり、決して相手を傷つけたりするものではない。
要はパワー不足である。
加えてボンクラーズ達は、夢にまで出る位に気持ち悪い妄想を続ける程に憧れていたおなごが技の極みへと至り、天元突破した美しき姿を見てしまった事で、興奮物質が異常なまでに分泌され、ある種の「極限強化」状態となっている。
生半可な事では、色々なモノがギンギンに漲った、この修羅共を討ち取れぬ。
そればかりか、間隙をぬってさらっとセクハラまでかましよる。
徐々に押され始める来羅と楓鼓。
すわ、今度こそこの双子が、血に飢えた邪鬼の餌食となってしまうのか!?
今まさに憐れな獲物を引き裂かんと、一斉に襲い掛かる!
「「「「「イ↑ヤーッ!!!!!」」」」」ギンギン♪
「「きゃ、きゃああ!? ><><」」キモーイ!
健気な双子らが無残な屍を晒すのを想像し、思わず目覆うギャラリー達。
が、やはりそうはならなかった。
「「イヤ↑ーッ!!」」カガガッ
「「「「「「グワーッ!!!!!」」」」」ドシャッガジャッダンッポキッ!
おお、これは穿宙槌と天彗蹴!
まさに戦う乙女の拳! ワザマエ!
さわこ=サンと優華=サンのエントリーだ!
まだ大人しい方のボンクラーズ達をようやっと捌き切り、加勢に入ったのだ。
「ライ、フー、大丈夫!?」
「ぬう、このボンクラ共ォ・・・・わたくしの怒りは有頂天ですわ! 仏の顔も三回目という名台詞をご存じないんですの!? マジ、かなぐり捨てンぞですわ!」
「「さわこさん、優華さん! ありがとう、助かりました!」」
勇ましい戦姫らのエントリーに沸き立つギャラリー。
だが、全ての希望を真っ黒ドロドロに染め上げんとするかの如く、尚も立ち上がってくるボンクラーズ達。
これでは、もう正気かどうかも疑わしい。
戦慄する一同。
「うぬぬほ・・・・! 汚い、流石ボンクラーズ汚いですわ!」
「「クッ、何て悍ましい光景なの!」」
「今までお菓子に免じて見逃してたけど、もう許さないんだから! 皆、アレをやるよ! ほら、夏の合宿でおばちゃんが気まぐれに教えてくれたヤツ!」
「はうあ! あの、
「「うう・・・・私達に出来るんでしょうか?」」
「今のあたし達なら、絶対出来るよ! 行くよ!」ズゴゴゴ・・・・
「桶! こうなったら一か八かですのよ! はぁぁ!」ズゴゴゴ‥‥
「分かりました!」「私達も」
「「覚悟を決めました!」」ズゴゴゴ・・・・
おお、四人の凛々しき戦乙女らの身体から、途轍もない闘気が放たれた!
穢れ無き友愛と、悪を憎む強い意志は、闘気と融合し、一つの
明確な
「「「「はぁぁ・・・・! 天仙砕心・戦姫夢幻残影襲!!!!」」」」
ぴったりそろった掛け声と共に、揺らめく陽炎から、こくげいの天井にまで届くほど強大かつ神々しい、純白のイクサ装束を身にまとった女神が下天した。
(要はこの技、戦う光の天女らが放つ、インフィニティーシルエットである。見た目がまんま令なのは、彼女らにとって畏怖の対象故イメージしやすかったのだろう)
突然変わって来た流れの急展開に、暴走していた事も忘れて
・・・・(;゚Д゚)!?
と驚愕し、立ちすくむボンクラーズ共。
そんな愚か者共など一顧だにせず。
宇宙の真っ只中に顕現した大戦女神は、その巨大な拳を振り下ろし、不届きなる者共へと叩きつけた!
ドズゥン!!!
「「「「「グワーッ!!!!!」」」」」ポキポキポッキン♪
散々に暴れ回った地獄の亡者達は、怒りの女神による正義の鉄槌を受け、一瞬で色々と折り取られた。
後には、潰れたカエルの様に伸びているボンクラーズ共が死屍累々と転がるのみ。
その様子はまるで、スペース=ツキジめいたアトモスフィアであった。
ショッギョムジョー! 成敗!
だが、この途轍もない合体技は、そうほいほい出来るものではない。
全霊の力を込めたせいで精魂尽き果て、膝をつき肩で息をする四人。
「「ハァハァ・・・・やったあ!」」(*^▽^*)
「ゼィゼィ・・・・カガッと成敗! ですわ!」(# ゚Д゚)ウシャー!
「フゥフゥ・・・・おおー、上手くいったよ! ・・・・自分で言っといてアレだけど、ぶっつけ本番でよくできたなぁ! まぁいいか、ヨシ!」(*´ω`)
さわこのツイートの通り、この大技、実は今回初めて成功したのである。
・・・・さわこが何故こんな、自分を含め、皆の命を担保にするような分の悪い賭けに出たのだろうか?
それには理由がある。
夏の合宿にて、「うろたえるな小娘共!」と、コロコロ転がされた時。
令がかるーくこの技(オカン剛掌波)を使い、その場から全く動かず、闘気のみでもって自分たちを「可愛がって」いる事に気づいたさわこ。
ダメ元で教えを請うた所、珍しく手ほどきをしてもらえたのである。
・・・・戦姫闘技術の一つの到達点・・・・
それは、己が闘気を武器に変え、触れずして相手を圧倒する事である。
最も、ほんの少しかじった程度の小娘共に、いきなり戦姫の奥義を体得等出来ようはずもない。
その存在を明確に視認できる程に強大で、色鮮やかな虹色オーラである。
対して、彼女らのそれは風呂上りの身体から立ち昇る湯気の方がまだはっきし見える位、ショボい臼オーラ。
ウンウン唸りながら力んだ所で、汗と鼻水と屁しか出やしない。
暫く見ていて、仕舞に呆れてきた令に
「所詮あんたたちブロン・・・・ンンッ!! 小娘共のハナクソみたいな闘気なんてその程度のものよ!」m9(^Д^)プギャー
といわれ、笑われてしまった。
「だ、だまれ!(´;Д;`) こんなところでやられる訳にはいかないのよ!」
等と強がって、尚、必死に気張る小娘共だが、闘気どころか屁しか出ない。
それを微笑ましく(?)見守る
しょうがないやっこ共ね、と苦笑しながら、未来の戦姫らへと助け船を出す。
「今のあんたたちはせいぜい1/16人前、意識高いカロリーオフのドレッシングよりシャバシャバよ! 全員”混ぜて”やっとハーフボイルドが良いところね!」
このアドバイス(?)を聞いたさわこらは、皆で協力して一つの強大な闘神をイメージしながら気を入れる事にした。
だが、幾ら頑張ってみても、朧気な像をほんの一瞬だけ結ぶのみ。
結局、合宿中は一度たりとも技を出す事が出来ず、その後に幾ら挑戦してみても、
「何の成果も得られませんでした!(´;ω;`)」だった。
そればかりか、力み過ぎて屁ばかり漏れ、赤面するのが関の山であった。
そんな屁っこきおなごらを成功へ導いた、足りなかったピースとは。
それは、必死の闘気を向ける程に危険な相手を前にして死の危機に直面するという・・・・
今まさに体験していた、ボンクラーズ共に囲まれ、息をつく事も、屁をこく暇もないような、逼迫した状況。
つまりは、背水の陣を敷き、死中に活を求める決死の覚悟が必要だったのだ!
・・・・おばちゃんの言ってたハーフボイルドっていうのは、こういう経験の無さも含めてのことだったんだなぁ・・・・
と、過去を振り返って一人で納得し、ウンウン頷くさわこであった。
何はともあれ、若き戦乙女の活躍により、hentai共は滅びた。
「「はい、ターッチ♪」」( ´꒳`*)人(*´꒳` )
「イェイ♪ ですわ!」(*´Д`*)
フラフラしつつも、もぎ取った勝利に酔いしれるさわこら。
ギャラリー達もまた、歓喜と興奮に沸き立つ。
これで中庭に平和が戻った・・・・と、その時である。
「コラー! なにどったんばったん大騒ぎしてるの~!?」
等と言いながらまことら引率教師が、ようやっとエントリーした。
午後の予定にむけて、教師らの客室にて会議していたところ、中庭から途轍もない闘気を感じ、慌てて駆け付けたのだ。
まことの、きらりをきらりんぱ☆と懲らしめている時とは違う、本気の剣幕にたじろぎつつも必死の弁明をはかるさわこら。
そんな一同をよそに。
「へっへっへ・・・・(ビンビン♪)」ギンギン
滅びた筈であったボンクラーズ共が性懲りもなく、再びビンビンと起き上がってきよった!
「!? な、何ぃ!? バ、バカな!? あたし達の渾身の一撃を受けてまだ勃ち上がってくるとは!? このやっこ達はZethurinだとでも言うの!?」
「クッ!? このままでは理仁亜さんの危険がマッハで危のうございますわ!?」
「あうぅ・・・・でも・・・・」(;´д`)
「ち、力が入らないよ・・・・」_(:3」∠)_
大技を放った事での技後硬直中に、更にまことのお説教というコンボを喰らい、HP、MP、SPと、全て底をついた四人はもう、指一本動かせぬ。
それを見たボンクラーズ共は、歓喜のあまり、更にいきり勃つ!
「
「おぎゃル・・・・ばぶばぶト・・・・理仁亜チャンノオッパイデ・・・・」ヨロヨロビンビン♪
「ヒ、一ツニナロウ、一ツニ(ポロンッ」コヤツハホントブレネーナw
最早この愚か者共を止められるものなどいやしない。
ギンギンの突撃を加えるべく、理仁亜に襲い掛かりよる!
「「「「「ヒャッハー!!!!!」」」」」ギギギン♪
「うう、理仁亜ぁー!!」(´;Д;`)
「理仁亜さん、救援アイコンをお出しになってぇ!!」(´;ω;`)
「「理仁亜さん、逃げてぇー!!」」( ノД`)
さわこらの懸命な祈りの叫びも、ただ虚しく響き渡るのみ。
ああ!
穢れ無き乙女は、このまま邪なる者共の手に堕ちてしまうのであろうか!?
ギャラリーと化したクラスメイトらもまた、狛犬ツインズらが受けた仕打ちをも超える惨状を想像し、目を覆った!
だが、そうは転売ヤーが原価で出品しなかった。
この場には、さわこら以外にも気高き戦乙女がいる事を忘れてはならない。
そう、嘗て「ニューモデルカルテット」と称された、あの美しき闘士が!
「あなた達ぃ・・・・いい加減にしなさーい!!」スターッタップ!99
お説教を無視して勃ち上がったボンクラーズ共に、とうとうブチ切れたまこと。
現役を退いて尚、錬磨し続けたその技を解き放った!
「はあぁぁぁぁぁ・・・・っ!! ったあーーーー!!!!」ズババババ!
目にも止まらぬスピードでボンクラーズ共の間を駆け抜けるや、凄まじい威力を誇る蹴りを次々と放つ!
その余りの速さに、見ている者は、まことがほぼ同時にボンクラーズ共へ一撃を加えたかの様に映ったであろう。
これぞ、クリムゾン・まこと・スマッシュ=ストリームだ!
「・・・・成敗!」3・・・・2・・・・1・・・・
「「「「「ほっぎゃあああああーーーーっす!!!!!」」」」」チュドォン!
ワザマエ!
さわこらが幾ら引っぱたいたとて、怯むどころか揺るぎもせんかったボンクラーズ共も、まことの教育的指導の前には成す術もなかった。
強烈無比の一撃を受け、全員「ズシーム!」と地に倒れ伏した。
「ここは何時もの体育館じゃないのよ! 学生最後のイベントだからといっても限度があります! お説教よ! 全員そこに直りなさい!」タイムアウト!‥‥リフォメーション
こうなれば流石のボンクラーズ共も勢いを無くし、シオシオと萎えながら起き上がりよった。
だが、この期に及んで、往生際をわきまえなかったようだ。
よせばいいのに最後の抵抗を試みた。
「ハッ!? お、俺たちは一体何をしていたというのだ!?(棒」
「そうか、ぼくらはきらりの幻朧きらりん拳を受けて正気を失っていたんだ!」
「ひ、一つになろう、一つに(ポロンッ」コヤツハホントマジブレネーナw
等と口々に、見苦しい言い訳をかましよる。
その場にいるボンクラーズ共以外の全員の、
「いや、幾ら何でもそれはねぇよw」
というツッコミを孕んだ視線を一身に受けながらも尚、キョロキョロと忙しなく辺りを見回す演技が実にわざとらしい。
そんなアホ共の様子に、呆れるまことであったが。
その隣で瞑目して控えるのみであったかえでが
「カッ!」
と目を見開くや、さわこら四人分を更に上回る闘気を放ちながら、この愚か者どもを一喝した!
「そんな事で誤魔化されるとでも思ってるの天翔ォーーーー!!」カガッ!
「「「「「うぎゃあああーーーーーー!!」」」」」ズオオッ!!
南無阿弥陀仏!
救いようのないボンクラ共に、とうとう天罰が下る。
かえでの凄まじいまでの拳圧を受け、全員が汚ねぇ花火となってうちあがった。
(その様子は高級リゾートホテル街からでも観測されたらしく、後日に”汚ねぇ花火うちあがるの目撃したったwwww”という動画がうpされ、バズった)
そして、かえでが身に着けてる数珠の様なアクセサリが
「ピキィン!!」
と音を立て、全てのビーズの色が変化した。
これは、羽目を外し過ぎて大騒ぎするおバカさん達が全て滅んだ事を意味する。
今度こそ、Hentai共は滅び去った。
聞き分けの無いおバカさん達等、かえでの羽ばたき一つで消し飛ぶのだ。
その後に、ドシャッガジャッダン! と、パンイチになって落ちて来たボンクラ共は、全員中庭に正座させられ、まこと&かえでにお説教を喰らった。
さわこらは正当防衛が認められ、保険医であるわかさから手当を受けた。
ギャラリー達もまた、映画のスタッフロールを見ずに立ち去る観客のように、午後の予定をこなすべく、三々五々に散っていく・・・・
と、穏やか(?)な時間が流れていくだけかに見えた・・・・次の瞬間。
これまで息をひそめていた理仁亜の
さわこ達を治療中、妙な違和感を覚え、辺りを見回したわかさがツイートする。
「・・・・アレ( ^ω^)? きらりちゃんは?」
「ガミガミガミ・・・・!! えっ? きらりなら私達と一緒にここへ来たよね?」
「・・・・!? 居ない? そういえばさっきから妙に大人しいなと思ってた!」
なんと、一緒にこの場へ駆けつけた筈のきらりが行方をくらましよった。
慌てて辺りをキョロキョロするまこと達。
(ボンクラーズ共も、何故かつられてキョロキョロしていた)
そんな一同の様子をみて、さわこらと共に治療を受けていた頼伝(人臣らにぼこられてボロ雑巾になっていた)が口を開いた。
「ほう、きらりですか・・・・やっこなら、ほんのついさっきに陸奥さんを連れて行くのを見ましたよ? 何処へ行ったんでしょうね?」クイインッ
「オイオイオイ」
「・・・・氏ぬわアンタ・・・・」
遅すぎる雑学王の証言にキレるかえで。
「そんな大事なことは早く言いなさい覇ァー!!」カガッ!
「グワーッ!!」ズオオッ!!
「いや、流石にコレはちかたないね」(´-ω-`)ヤレヤレ
「頼伝、見てたんだったら止めなさいよ!」(°益°)ギリギリ
「いやいやいや! 悪いのは大往クンじゃなくてきらりだよね? 話聞く前に吹っ飛ばしてどーすんのさ! アンタらももうちょっと労ってあげなよ!?」(´;ω;`)
「・・・・ハッ!? ついうっかり手が・・・・やりすぎちゃった」
さわこの正論に、我に返って恥ずかしそうに頭をかくかえでら。
と、そこへ受け身も取らずに「ドシャッ!」っと降ってきた頼伝が、メガネをクイッとしながら話を続ける。
(ボコられ慣れてるので、これ位なら割とへっちゃらなのであった)
「フフ、話を聞いてくれませんw っと、そうそう、きらりはこのチラシを手にしておりましたね。」サッ
「大往=サン、意外とクッソカチカチですわね・・・・」
優華が呆れつつも受け取ったチラシを覗き込む一同。
それは煌めく星雲をバックに、全身タイツを着込んだおねーちゃんらが、何やらお土産っぽいパッケージを笑顔で持っている、というものであった。
そして、下の欄に運行スケジュールと共に、
「レインボーキャッツバレー遊覧! ~限定スイーツ販売あり〼~」
という謳い文句が書いてあった。
「・・・・あンのボケ! 引率サボって何してんのよ!」(# ゚Д゚)ウガー!
「そういやきらりちゃん、朝からなんかソワソワしてたなぁ」
「どうやらチャンスを窺ってた様ね・・・・ウカツ!」
「理仁亜さんが」「かどわかされました!」
「あばば・・・・エライこっちゃエライこっちゃですわぁ!」
ブチきれるまこと&かえでと、それを宥めるわかさ、カルチャーショックをデカルチャーと受け、某オトモ猫の様にパニック走りする優華達体操部員らで、中庭は再びカオスな場と化した。
「(何てこと・・・・! 兎に角、哲兄ぃに知らせなきゃ! 理仁亜、どうか無事でいて!)」
どったんばったん大騒ぎの中、さわこは冷静に対策の手を打つのであった。
果たして、宇宙聖女の行方や如何に!?
to be continued.... なんじゃあ!
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