第十六集 クラス合同任務
4月29日 9:00 電車(日光行)
実戦任務が始まってから1週間くらい、平日は任務をこなし、休日はクラスメイトで試合の毎日。任務はともかく、休日の試合はめっちゃ疲れる。ちなみに任務が早く終わった時も試合があった。なんで一日で何人とも戦わないといけないんだよ、聞いてみたらこの休日の試合制度龍太郎が作ったらしいな、今度1回本気でぶん殴ろう。
だけどおかげさまでみんなの戦い方だとか、考え方がよく分かった。健太と試合した時はまさかナイフを投げてくるとは思わなかった、てかなんで今まで言わなかったんだよ…
1番戦って嫌だったのはやはり南江だった、毎回戦い方修正してくるから厄介すぎる、こいつもしかしてバカだけど天才なんじゃないの?
そして今日も任務をやるわけなんだが、なんとクラス全員で当たる任務だ。場所は日光いろは坂、なんと妖魔が大量発生してるらしい、妖魔自体強い物ではないらしいから俺ら1年5組に対処させるとのことだ。そう言えばずっと気にはなっていたが他のクラスは何をしてるんだろう、座学してるのか俺らと同じく模擬戦やら実戦任務でもしてるのか、わからん。
というわけで今は日光に向かってる最中の電車だ、騒がしいやつらはいつも通り騒がしい、何体妖魔を討伐出来るか勝負だとか言い出してる、もちろん夏と龍太郎である。そして頼むから俺を挟んでそれを話すのはやめてくれ、俺のことが好きなのか?悪いけどBLには興味ないからよそでやって欲しい。
「「なぁ!魁紀もそう思うよな!」」
「いや…なにが…?」
「か、魁紀君、大変そう、だね。」
「僕らは見てるだけでいっか。」
「そうだな、巻き込まれたら大変だ。」
お前ら助けろよ…同じ班の仲だろ…
そうして、日光まで約3時間の間、坊主とゴリラに挟まれて過ごし、眠くても寝させてくれなかった…
12:45 日光駅
日光に着いてすぐに弁当タイム、この時間だけは夏と龍太郎から解放された、だけど他の班の所に行って騒いでる、みんな大変だな。
「丑崎さんは人妖だったのですね。」
「本当だ、角生えてる、触ってみていい?」
そしてその2人の補佐の2人と一緒に弁当を食べてる、五十鈴と大谷だ、それよりこの角見世物じゃないから触らないで欲しい、地味にくすぐったい。
「正直こんな角、折れるなら折りたいレベルだよ、本当に邪魔。」
「折らない理由はあるのですか?」
言われてみれば考えたこと無かったな、だけど1回折ろうとしたら結構痛かったからそれ以来触ってない。
「まあでも人妖でもなんでも、丑崎君は私たちのクラスメイトだし、龍太郎と戦った仲だからなにも気にすることないんだけどね。」
「そうですね、夏とも仲良くやれてそうで私は嬉しいです。」
大変だな、お前ら…
「と言ってもその2人が今はあれだからな。」
「クラスでの討伐任務は初めてだからテンションが上がっているのでしょう、いつもあんな感じです。」
「そして直ぐに勝負事に持っていきたがるから、毎回面倒くさいことになる…」
はぁと、ため息をこぼす2人であった。幼なじみがいたとして、必ずしもいいことがあるって訳じゃないんだね、また1つ成長した俺であった。
「ねぇねぇ松永ちゃんだよね!猫又ちょっと触らせてくれない?」
「嫌だ。」
「えぇちょっとくらいいいじゃん!なでなで。」
勝手に撫でたからか、南江の手は思いっきり甘噛みされた。
「痛ったぁぁぁぁぁぁ!!!」
「はぁ…」
「あなたの班も大変のようですね、同情します。」
「遥ちゃんもいつもあんな感じだよね、ドンマイ。」
「ありがとな…」
うちの班長もあんな感じだったなーそう言えば…大変な幼なじみを持つとこんな感じになるのか、まあ幼なじみではないけど、さらに一つ成長した俺であった…
弁当を食べ終わると、時間になるまで各班で自由行動とのことらしい。任務は17時から、東照宮集合。ほほぉ、いいね、なんかそれっぽくなってきたじゃないか、百鬼夜行みたいな感じ、実にいい!
それで…
「なんでクラス全員行動になってんだおい。」
「いいじゃねーか魁紀、クラス全員と仲良くできるチャンスなんだぜ!」
「そうだよ魁紀、30人しかいないんだ、しかもこれから同じクラスで3年間やっていくんだから!」
お前らの仕業か…
てか30人で自由行動とか、参勤交代じゃないんだからそんな大人数で動く必要なんてないだろ。
「ねぇねぇ!羽澤ちゃんってなんで最初魁紀君殺そうとしてたの?」
それ聞いちゃうのかよ、デリカシーってのが無さすぎでしょあいつ。
「あなたに言うわけないでしょ。」
「えええ!そんなこと言わないでさあ!!」
「いい加減離れて、鬱陶しい。」
「嫌われたァァ!!」
なんだあいつ、情緒不安定か。
「千尋ちゃん凄いね〜、人のオーラが見えるの〜?」
「うん!出てる妖気の色で今その人がどういう状態なのかがわかるんだよ!」
「へ〜、凄〜い、私は蹴ることしか出来ないんだよね〜。」
「私も呪符しか使えないから落ち込むことないよ!よしよし!」
松田も新しい友達ができて何よりだ、確か龍太郎の班の日高だったかな。なんかこういう考えしてると親みたいだな、親の気持ち全く分からないけど。
「キャハ!お前細矢ってだったよな!あの田口とやり合えるなんてすげぇじゃねぇか!」
「い、いや、僕って言うよりは、こ、この盾が…」
「キャハハ!なんだなんだ、実力あるんだから照れんなって!キャハハハ!!」
「う、うぅぅ…」
いかんな、通と柿原の2人だけは一緒にしちゃいけないな、通が潰れる、主にメンタル的に。
「お前ら、聞いたぜ、なかなかいいコンビらしいじゃねぇか!」
「翠(みどり)、初めて話す人にその話し方はダメだよ?」
「るっせーぞ優生(やよい)、俺に指図するんじゃねー。」
「うぅぅ、そこまで言わなくてもいいじゃん…」
「お、おい泣くなって!」
「なんか、話しづらいね…」
「うん、俺たち話しかけられた側なのにな、てか泣いてるし…」
梁と健太も大変だな、あの2人は確か早川と真木だな、夏の班に居た。早川はいわゆる俺っ娘ってやつか、そして背が小さい、あっでもこれって触れちゃいけないやつだよなうんうん。真木はなんだか気弱な感じ、でもその気弱な真木にだけは優しそうな早川、これは百合の匂いがする。
ちなみになんでこんなに名前を覚えているかと言うと、いつ話しても失礼のないようにするためだからだ。別にいつか話しかけてみたいからなんて思ってないからな、うん。
「それで、俺のところまで来ておいてどうした、殺しに来たのか?」
「いや、別に。」
羽澤が南江から離れたと思ったら俺の方に来た、正直殺されるとは思ってるけど、だからと言って逆に殺したりするのは違う、俺にどんな憎しみを持ってるかは分からないけど、俺はない。だから俺は何もしなくていいんだ。
「そうか、ならなんでもいいや。」
「……」
無視か、まあなんでもいっか。
こうして騒がしい参勤交代、じゃない、自由行動が17時まで続いた。猫又触りたいがためにまた噛まれた南江のことは放っておこう。ちなみにその後松永が折れてくれてめっちゃ猫又もふもふしてた。
17:00 日光東照宮
日光東照宮、江戸幕府初代将軍徳川家康を祀っている日本全国の東照宮の総本社。三猿とかもここにある。
「すげぇ、三猿とか初めて見た。」
「見ざる、聞かざる、言わざる、でしたね。」
珍しい、夏と五十鈴が落ち着いて一緒に観光してる所を見れるなんて。
「場所によるけど、確か4匹目の猿もあったらしいぜ。」
「それ確かタイじゃない?せざるだったかな。」
龍太郎と大谷も博識だな、よくそんなこと知ってるな。
日光なんて小学校の修学旅行で来た以来だから、正直そこまでの知識はない、逆に三猿以外何も知らない。それより気になるのはこの妙な静けさだ、観光地なはずなのに人が居ない。せっかくだし先生に聞いてみるか。
「根元先生、なんで観光客が一人もいないんだ?」
「聞いてなかったか、今夜は妖魔の討伐をするから、関係者以外の立ち入りは禁止になってる。」
なるほど、よくよく考えればそりゃそうか。
「ありがとうございます。」
「というわけで全員構えろ!そろそろ来るぞ!」
では、初めてのクラス共同任務、うまくいくといいが、まあ心配はしなくていいだろ。
「さあやるぜぇ!」
「勝負のこと、忘れてないだろうな夏!」
「にゃーちゃん、今日はちょっと大変だけど頑張ろうね。」
「……」
「よーし!第五班勝つぞぉ!」
誰と勝負してんだよ…もしかしてお前も夏と龍太郎に釣られたのか…
グダグダかもしれないけど、このメンツなら心配はいらないな、言うの2回目だけど。まあ…大事なことなので2回言いました!
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