第7話 追憶 その3
長老の家の前では、ラインハルトが行商として持ってきた商品と村の人々が物々交換を行っていた。
「まあ。凄い綺麗な布ね〜!」「こちらも凄いわあ! 綺麗なガラスです事!」
「こちらは10銀貨になりますので、こちらは拳くらいの魔石と交換で大丈夫です!」
「えーとこっちは1金貨ですね。」
「はいこちらと交換ですね。またどうぞ〜」
護衛の者達が次々と価格と魔石や魔物の爪や牙などに例え交換していく。
「うお、こんな魔石見たことないぞ。」「おお、これが牙かよ。なんちゅう魔物なのか想像しただけでびっくりするや」
護衛達も見たことない魔石や魔物の遺物にギョッと目を開きながらなんという所に来てしまったのかと興奮と恐怖に身をすくめる。
「ほっほ、ミナト、コウガお主らは何か買わんのか?」
「んーだってさ、銅貨、銀貨とかまだよくわかんねえもん。ミナトも分かんねぇだろ?」
「コウガ......。この前リュウゲンじいさんから教えもらったでしょ?」
「ほっほっほ、コウガや、もし街に出ることになった時硬貨の価値を覚えておらんと、街には出せんぞお?ミナトやコウガに教えてやっておくれ?」
はははと笑いながら、ミナトは丁寧にコウガに伝えていく。
「えーとね、銅貨が100枚で1銀貨、100銀貨で1金貨。100金貨で1白金貨。大体街のご飯は10銅貨から50銅貨で食べれて、宿に泊まるのは50銅貨から2銀貨あれば泊まれるってこの前教えてもらったよ?」
「んーちょっと待ってくれ、頭を整理する......」
「ほっほっ、使ってみない慣れないからのう。日々復習するのじゃよ。あとは、村から出る魔石はのう、小ぶりの魔石でも街で売ったら1銀貨から3銀貨いかないらくらい、拳くらいになると5銀貨、両手なら10銀貨、顔くらいなると50銀貨、それ以上は金貨になるのう」
「リュウゲンじい、村の魔石はってことは他の場所とは値段が違ってくるのか?」
「ほーお!コウガよく気づいたの。この村周辺にでる魔物は強くてのう。魔石の質がいいのじゃよ。その分狩るのは命懸けじゃ。じゃから鍛錬を欠かせんのじゃよ。しかし世界は広いからのう、この森以外でも理不尽なくらいに強い魔物は沢山おるわい。ほっほっ」
「ふーん。そっか、広いんだな世界は!」
「ふふふ、コウガはまだまだおバカさんねぇ!」
うわっととびっくりしながらコウガとミナトは飛び跳ねる。
「突然話しかけるなよアリス!」「びっくりしたよアリス」
「あら、周りの警戒が足りないんじゃなくて〜?」
何も言い返せない2人とアリスをみて、リュウゲンは笑うのであった。
「ディーンさん、もうすぐじいちゃんの家に着くよ?いつもそこで、物々交換をしてるはずだから、いいんだよね?」
「おう!そこで大丈夫だ! ん?ちょっとまて今じいちゃん?て聞こえたんだが」
「ん?そうだけど、俺の曾お祖父ちゃんだけど」
「えぇえええ!おい先に言ってくれよでさ」
「あはは、何その喋り方?別に俺は偉くないし、父さんにはむっとされるかもしれないから気をつけてね?」
と淡々と話すグレンを見てディーンは内心肝を冷やした。
(まじかよ!? よりによって現当主の息子だと?親はいねぇのかなんて聞いちまったよ俺......。グレンよ変なこと言わないでくれよ、?)
目的の場所に着くと、屋敷の前には部下たちがせっせと物を交換している様子があった。
その横には、得体の知れないほどの威圧感がある杖を着いた爺さんがほっほっと笑っている姿が目に入った。
「ディーンさん、門の前で言ったこと守ってね?」
「お、おう。分かってるよ。それよりグレン、俺の事も変なこと言わないでくれな......?」
ん?なんのこと? と首を傾げるグレンに少し不安になるディーンであった。
「じいちゃん。あれミナト、コウガ、アリスもここでなんか買うのかい? 俺もなんか買おうかなあー?」
「グレンにい!」「グレンにいさま!」「グレン! どこほっつき歩いてたのよ! 探したのよ?」
「ほっほっグレン。おかえり。どっか散歩でもしてたのかのう?」
「そう。小川で少しのんびりしてんだ〜水が冷たくて気持ちくて。あ、あと今回の行商護衛のディーンさん。小川でばったりあって、ここまで案内してきた」
「ほー春の小川で澄んでて気持ちいからのう。案内も御苦労じゃた。ディーン殿遠く遥々よく起こしになったのう。少しの滞在のようじゃが楽しんでくだされ。あーあと街の様子も聞かせておくれよ、ほっほ。グレンよ、家に商人の方が来てくださってるのじゃ中に行こうかのう」
「そしたら、また後でねディーンさん。ミナトもコウガもアリスもまたね」
そう言いながら家の中にグレンは入っていった。
リュウゲンは1度立ちどまり、ディーンに近づく。
「グレンのあの傷は何があったかのう?」
先程の圧よりも何倍も膨れ上がった圧がディーンにのしかかる。まるで大蛇を目の前にするネズミになった気分であった。
「い、いやあれは、鍛錬でなった?とか言っていた気がしますぜ......?」
そのままじっとリュウゲンはディーンの目を見て数秒後
「ほっほっそうじゃったか。まったくやんちゃしおる子がおるようじゃのう」
そのまま家へと向かっていった。
ぶはーと吸っていた息を吐く。
(なんちゅう圧だよあれは......。バケモンか)
「おじさん、変な汗をかいてますよ?」「なんか顔色が悪いような気がするけど?」
「はは、ちょっと疲れたのかもしれないな......」
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