第9話

放課後になり、部室に向かう。教室を出たあたりで泉がこちらに歩いてくるのが見える。


こちらが手を挙げて気づいてもらおうとする。それを見て手を振り返し歩くペースをあげてこちらに向かってくる。


「先輩!これから部活ですよね!一緒に行きましょ!」


伸ばされた手を掴もうとして、こちらも手を伸ばすと、その手は、その手を掴むことも無く後ろに引っ張られそのまま抱えられる。


「ね、悠夜私ね?同じ部活のマネージャーになったんだ?」


そう僕の手を抱えた奏が言う。

僕の前まできた泉はそれを聞いて絶望した顔をする。


「部活だけは先輩との時間だったのに。」


「ごめんね泉ちゃん、私もう手段選んでらんないんだ。生徒会も辞めちゃおうかなって。私この数日で学んだんだ。遠くから見てても意味は無い。そばにずっと居ないと大切なものは奪われてしまうってね?」


「生徒会やめてまでも、やることじゃないだろ。考え直せ奏。」


そう僕は言うが


「もう決めたことだから変える気はないよ。それじゃ部活いこっか!」


そう言って奏は僕の手を引く。


部室に到着すると、顧問含め僕以外は揃っていたようだ。


「ちょうどいいところで全員揃ったな。柏崎、紹介してやれ。新しいマネージャーだ。」


そう僕に顧問が指示をする。


「分かりました。」


僕は、奏を1歩前に出るように言って紹介を始める。


「彼女は僕の幼馴染の霧島奏。2年生だ。サッカーに関しては、プロリーグ見に行ったりするくらいには知ってると思うからみんな仲良くしてやって欲しい。」


そう言うと


「ご紹介にあずかりました。霧島です!小さい頃から悠夜と一緒にサッカー見に行ったりしてました!小学校の時はプレイヤーとしても少しやってました。よろしくお願いします!」


そう言うと頭を下げる。


「それじゃ今日はすこし仲良いみたいだからそこの泉に仕事教わってくれ。それじゃ練習開始だ。」


そう顧問が部活の開始を告げる。




僕は部活にあまり集中することが出来なかった。2人が喧嘩を始めたらってずっと気になっていた。しかし、意外と部活の間は奏は大人しくしていた。泉のやっていることを見てそれを見て真似。最後には指示なしで部活のマネージャー職をこなしていた。



「よし今日はここまでだ!しっかりストレッチして帰れよ!霧島も今日初めてかってくらい頑張ってたな!お疲れ様!」


顧問がそう告げて職員室へと帰っていく。


「凄いな!霧島!ほんとにずっと部活やってなかったのか??」


そう言って部員が集まる。


「昔から悠夜のサッカーに付き添ってたから。勝手は何となくわかっただけなので…。」


そう答え部員に囲まれている奏を眺めていると。


「先輩。」


泉がこっそりとこちらに来て。帰りの用意を渡す。


「霧島先輩があぁなってるうちに帰っちゃいましょ?下校デートですよ。下校デート。」


そう聞いた僕はさっさと帰りの準備をして泉と駅近くの繁華街に向かう。


「先輩!カラオケ行きませんか!」


「まぁ今からならそんな長くいれないけどしょうがないか。そうだね行こうか。」


そうして泉と駅前のカラオケ屋に向かう。


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