とんだ告白劇

とんだ告白劇

「……なあなあ、好きなんだけど」

「はあ？」

「はあって……好きだって言ってるの。告白だよ告白。もっと真剣に受け止めてほしいんだけど」

「真剣に受け止めて欲しいのなら、もっと真剣な格好で言えよ。ベッドに寝転んで、漫画見ながら言われても、真剣に聞こえるわけないだろ」

「えー。これは、ただ恥ずかしくて、さりげなく言った結果ってことで」

「告白するとしたら、もっといい方法があるからな。どう考えても、冗談にしか見えない」

「本気本気。好き好きだーいすき。それで返事は？」

「それでいいと思っているなら、まじで殴りたい。返事するわけないからな。馬鹿」

「うわ。ひっど。馬鹿って言う方が馬鹿だから」

「……もう帰っていいか？」

「駄目駄目駄目！」

「帰ってほしくないなら、くだらないこと言うな。というか急になんで好きなんて言ってきたんだよ。なにかの罰ゲームか。人の気持ちをもてあそぶなんて、最低だな」

「違うって。俺は本気でっ」

「本気で？」

「……なんでもない」

「……こんなことばっかりしているから、お前はいつまで経ってもお笑い枠なんだよ。俺達のやりとりをなんて言われているか知っているか？」

「……漫才」

「そう。冗談にしか思われてないんだよ。それで好きだって言われて、信じる人なんていないからな」

「……そう、だよな」

「俺以外は」

「!?」

「何年一緒にいると思っているんだ。格好は馬鹿みたいだけど、本気か冗談かぐらいは分かる」

「それならっ」

「でも駄目」

「なんで!?」

「俺だって理想があるんだよ。こんな雑な感じの告白なんて嫌だ。ロマンチックな感じがいい」

「……もしロマンチックに告白したら、その時は……」

「さあて、どうなるかな。試してみれば？」

「分かった！︎︎︎　首洗って待っていろよ！　絶対にメロメロにしてやるっ！」

「はいはい。俺も大好きだよ」

「っ！　覚えてろっ！」

「……悪役の捨て台詞じゃないか。全く。早くちゃんと告白してこい。ばーか」