第6話 六話


 ここからはグロ過ぎなので端折はしょります。

 ちょっとした攻防戦の後、小細工マヨネーズを元店長に飲ませることに成功。内側から爆発したように、肉片達が飛び散りました。表皮がとても硬いそうで、これが一番効率がいいとか、どうとか。

 そんなのどうでもいい。

 こっちにも飛んできて、何とか避けきりましたが、ホラー映画はテレビ予告でも、目を瞑る私にはダメージが重く、昔見た綺麗な桜の思い出で中和を試み中、元気いっぱいの等々力くんに揺さぶられ、力のないツッコミを入れたところです。

 元店長の血の色は、スカイブルーでした。


「……あれって、私の知ってる、店長なの?」

「本人は僕がバイト入る前に、食われてました。体を乗っ取ったんです。他にも犠牲者は多数いて……ほら、先輩が気にしていた、小柄で巨乳の、先輩と正反対の」

 弱っていなければ、フルスイングで物理的にツッコんでやったのに。

 多分、店長のお気に入りのあの子のことだろう。

「でも、昨日もいたわよ、あの子」

 別に、気にしてないし、勝手に視界に入ってくるだけだからな。

「コピーです。今日のメンバーも、僕と先輩以外は、みんな食われてますよ」

「えっ……うそっ」 

 手で口元を覆う。

 等々力くんがゆっくり頷いた。

 さっきまで普通に雑談して、「また明日ねぇ」って帰った、みんなの後ろ姿を、鮮明に思い出す。

「…………そうなんだ」

 力なくうつむいた。

 信じられないけど、さっき目の前で起こったことが、夢とも思えない。

「夢じゃ、ないですよ」

 いつの間にか、私の肩を抱き寄せている感じになっているが。

 そっか…………やっぱり現実なのか。

 現実……――。

「……ところで、等々力くん。これは、どうするの……」

 薄目で周囲を見渡した。

 現実逃避の、大きな要因。

 赤紫とスカイブルーの残骸。


「掃除屋さんは呼びましたので、大丈夫です」

 ニュアンスが、タクシー呼んだ時と一緒。

「掃除屋さん……?」

 頭に浮かんだ某清掃業者のイメージを、秒で消した。

 私の常識に当て嵌まらないのは、薄々気づいている。

 今度は何が出て来るんだ。

「はい!これ、どうぞ」

 どこから取り出してきたのか透明なガラス、金魚鉢を逆さにしたような丸い形の物を差し出された。

「何?」

 私の知らないところで4次元ポケットって、もう売り出されているの?

「掃除屋さんのお仕事って、さっきの店長よりも刺激的なんですよ~、智草先輩が直視す――」

「どうするの?」

 話の途中で金魚鉢を取り上げる。

 やたらと軽い。

「頭から被って目を閉じて、心の中で3秒数えてください」

「数えたら、どうなるの?」

 言われるままに装着すると、

「すべて元通りです」

 まで聞こえた。

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