◆ 8・自称勇者に絡まれたんだが? ◆
アーラは「ごめんね」と言った。
心が、見える??
え?
それ、俺様の、このめちゃくちゃ恥ずかしいの……全部、聞こえてるってことか!?
呆然とするルーファ。
慌ててアーラが首を振る。
「は、恥ずかしくはないよ! ヒトは皆、色々考えてるんだって兄さんが言ってたから、大丈夫! 最初は驚いたけど、ルフスがイイ人だってことは分かるもの!」
一生懸命
「えと、アーラ、その、どこから……その俺様の、ヤッバイの、どこまで? え、どうすれば、心が見えたりするか聞いても良かったり? するのか?」
「……うん。私たち、あまり言葉、使わないの。意思の
「魔法、だな?」
「うん。だから、ココはヒトがいっぱいで頭がイタイ。誰かと触れていればその声で他は小さくなる」
まだ遠い町の声が聞こえた理由はこれだったのかと気付くと同時に、手を握りたいと言った彼女の真意を読み取った。
手をキュッと握りしめている天使を見つめ、彼は手を差し出す。
「ルフス?」
「もう、見てるし!? こ、これ以上、恥ずかしいことは、ま、まぁないだろうしな?! あ、でで、でもっ、そうだなっ、ダメだって時は言うぞ!? 色々
「……ありがとう!」
嬉しそうに彼女が手を握る。
「〈 ルフス、ありがとう 〉」
え? 今……?
確かに声が脳裏に届いた。彼女は口を開いていない。
「マ・ギィアと同じ。気持ち、思い、伝わるから。ルフスはちゃんと、私のユーシャだよ」
代わりなどいないと、安心させようとしてくれているのがルフスにも分かる。天使の
何も言えず、言葉を失っていると町の奥から
曰く、『モンスターの大群』が出没したらしい。
「アーラ、
手を強く握る彼女の思いを察し、共に走り出す。彼女は見えない羽でも使っているのか、体重を感じさせない動きでついてきている。
事は数分の距離で起きていた。
丁度ルーファたちが辿り着いた時には、全てが終わっていた。
赤い炎がゴウゴウと音を立てている。何本も立った火柱の中心には一人の青年。高位の神官を表す青いフード付きローブを、頭からすっぽりと被っている長身がある。
遠巻きに見る野次馬の声が「サー・ランドール」と、正体を明らかにした。
サー・ランドール。その名がルーファの記憶にもある理由はたった一つだ。彼が強いからである。
神官でありながら、自称勇者を名乗り、彼の生国では強さ故の
敵が始末された今、彼と戦ってはみたい気持ちもなくはない。だが、アーラを関わらせたくない気持ちの方が大きかった。
彼女の手を引き、野次馬から離れようとした時。
「あ」
サー・ランドールが声を上げた。
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