ありふれたお話

ノノノ

とある日の出来事、○○○先生チャレンジ編

 久々の仕事以外の外出。

 用事が済んだ私は家に帰ろうかと車を走らせるが、ふと思い立った。


「……そうだ、最近本あんまり買いに行ってないな」


 自分で言うのも何だが、私は結構なオタクだ。

 子供の頃から漫画やラノベ、ゲームなどを好んで購入して遊んでいたりする。

 大人になって時間が無くなり、子供のころほど時間を取れなくなったものの、それでもまとまった休みがあれば1日費やすほどの興味はまだまだ残っている。


 折角久々に私用で外出したのだ。

 本屋でも行って漫画でも買い漁ろうか、そう思い最寄りの書店に寄ることにした。


 ――とある書店にて


「さて、何を買おうか」


 思い立って書店に来たものの、特に何か考えがあるわけでもなく、

 ひとまず店頭に並んでいる漫画やラノベなどを物色し始めた。


「んー」


 いくつか、自身が惰性で買い続けている漫画を見付けた。

 買ってもいいが……惰性で買い続けている漫画というものは見ようと思っても中々見ようとは思わない。購入済みの本もいくつかあるが、それらは結局家で積まれた状態になってしまっている。


「……今回は止めとこうかな」


 見ない漫画やラノベを買ってもお金の無駄になるだけだ。

 その理屈で言えば、こうして無意味に書店に寄るのは無駄でしかないのだけど……。


「じゃあラノベの方は……っと」


 うち一つに目が留まる。

 そうだ、自分が遊んでるソシャゲのラノベが発売してたのを忘れていた。

 このソシャゲは元々原作で好きで遊んでいたのだが、原作無視といかないまでもオリジナルキャラが多数出ており、原作のキャラをメインに添えたストーリーが殆ど無かったりする。

 それも個人的には不満要素なのだが……。

 何より、ソシャゲのシナリオを担当されてる人は原作者ではないというのが最大の不満だった。原作者が関わらないのであれば、それはもはや別作品だろう。

 同じキャラと世界観を使うのはいいが、オリキャラを主題にするのは原作が好きで入ったユーザーとしては望むような話ではなくなる。


 ―――と、ちょっと話が逸れてしまったか。

 では、そんなオリキャラだらけで原作キャラが蔑ろにされたこのソシャゲのラノベを手に取ろうと思ったかというと、このラノベを書いた人が原作者だからだ。


「よし、これを買おう」

 オリキャラは相変わらず出てくるが、原作者となれば話も変わる。

 こういう考えは『原作厨』とか言われかねないが、中心となる人物の有無で話が変わってしまうのだ。それを重視して話を選んでるに過ぎない。


 その後、数分書店を回り、いくつかの漫画を購入した。

 そして何か新しいラノベを発掘したいと思い、私はスマホを開いた。


 最新のツイートを読んで、何か無いか見ていたらとある人物が目に留まった。


 ――ここで名前を出すのは流石に迷惑が掛かるので止めておこう。


 その人は、大体いつもツイッターで何かしらの発言をしてる作家さんだ。

 無料の小説サイトで投稿している方であり、いくつかの作品を書籍化・漫画化までしている大物でもあり、自分にとっての憧れの人だ。


 いつも何かしらの面白発言を繰り返しており、注目の的なのだが……。


「――そうだ、○○○先生のラノベを買おう」


 そう思い、ツイッターは私はこんなコメントを書いた。


『今、免許更新終わって寄り道で書店に寄ってるんだけど、

 ○○○先生のラノベでおススメのものってある?教えて○○○先生!!』


 何故か先生本人に聞くという暴挙。

 普通はこんな恐れ多いことなどしないのだが、この方は自身に関わる話を拾ってくれるので、折角なので本人に訊いてみたいと思ったのだ。


 そして、いくつかの反応があり、

 そのうちに先生自身が私のコメントを引用ツイートしてくれた。


『全部おススメですよ!!

 紙の本を買うなら、最近発売した漫画がおススメ!(*´ω`*)』


 まぁちょっと文章は違ったけど、こんな風に返事を返してくれた。

 いつも思うんだけど、この人のコメントはとても可愛い。


「なるほど、漫画もあったか」


 ラノベは一冊読み終えるのにおよそ2~3時間ほどかかってしまう。

 だが、漫画はスラスラ読める。時間が無くとも積むことも無いだろう。


 他にも別の人が○○○先生のおススメラノベを教えてくれたので、

 それもメモし書店を探し回った。


 ――しかし


「……見つからない」

 書店に来て、既に1時間近く経とうとしているのに一向に見つからない。

 全てが無いわけでは無い。何故か1巻だけ抜け落ちているのだ。


 仕方なく、お店にあるPCから在庫を確認する。すると……。


「………」


 嫌がらせだろうか。

 欲しかった作品の一巻だけ在庫切れだった。


 仕方ない、ここでの購入は諦めよう。

 そう思い、私は次の書店に回ることにした。


「………無い」

 一番興味を持っていた『○○令嬢の勘違い○○伝』が何処にも見当たらなかった。

 まさかこっちでも売り切れ?どれだけ人気あるのだろうか。


 仕方ない、ひとまずラノベの方を探すとしよう。


「………」


 ラノベの方は一応見つかった。

 が、今度はこっちの1巻目が見つからなかった。


 ちょっとイラッとして、

 スマホで写真を撮りツイッターのTLに流しておいた。

 書店の人に訊いてみたが、やはり在庫は無いようだ。


 その後にスマホを開いたら、

 さっきの写真に先生が反応してくれてた。

 ちょっと嬉しかった。


 その後、漫画の方を探すが『○○令嬢の勘違い○○伝』は見つからなかった。

 主人公が可愛い女の子な作品を見たい気分だったので、とても残念な気持ちになってしまう。しかし、その代わりに○○○先生の別の漫画作品が売られていた。

 こちらはちゃんと1巻が売られており、1~2巻だけお試しで購入することにした。


 その後、お店を出てもう一件回ることにした。

 今度は漫画だけではなく、とある新作ゲームも目当てだ。


 しかし――


「ソ○ィーのアトリエ2がねぇぇぇぇ!!!!」


 ……じゃなくて。


「やっぱり先生の漫画売ってねぇええええええ!!」


 流石にキレそうになった。

 もうここ以外近くにある書店は無いのだけど……。


 ――いや、一つだけあった。


 最後に思い付いた場所は、とあるアダルトショップだった。

 ここは当然その手のお店なのだが、入り口の方はカモフラージュか何か知らないが、ごくごく普通の雑誌や漫画が置いてあるのだ。


 それに、○○○先生は『射○作家』と呼ばれるほどの重鎮。

 ほぼ1ページ丸々を射○音で埋め尽くしたという逸話は、例え先生を知らなくてもラノベを読んでいる人なら訊いたことがあるだろう。


 ○○○先生なら、あるいはアダルトジャンルで扱われてるのではないか?

 最後にそんな希望を持って、私は久しぶりにそのお店に立ち寄った。


 ―――結果、ありませんでした。


 その日、私の○○○先生チャレンジは敗北という結果を迎えた。



 余談、買えた方の○○○先生の小説のコミカライズ漫画、

『○○領主の○○○英雄譚』の漫画は爆笑するほど面白かったです。

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