今日も俺の身近はとても平和だ

風見☆渚

これぞ青春

たぁーなぁーかぁー

今日こそ、今日こそはお前を!


なんか、面倒くさい視線を感じるなぁ。

まぁ、いつもの事だし、どうせいつもの木村だろ。

あ、またこんなところに見え見えの紐が仕掛けられている。


ひょいっ


なに?!

田中はあの綿密に計画されたトラップを軽々と超えていくのか。

ま、まぁいいさ、俺のトラップはこんなもんじゃない。


学校内だってのに、どうして毎度毎度こんなトラップを仕掛けられるんだ。

いつもの感じだと、この廊下を曲がったところに・・・

やっぱり・・・

今時バケツに足突っ込んで転ぶやついるのか?

しかもバケツと一緒にバナナの皮が置いてある。

今日日、バナナの皮で滑って転ぶって漫画でも見たことないぞ。


ひょいっ


な、なに!!

またしても俺の巧妙かつ計画的なトラップを軽々と回避するとは・・・

ま、まぁいいさ。俺の完璧なトラップはこんなもんじゃないんだからな。


このルートで行くと・・・

やっぱり・・・はぁー

ドアの隙間がかすかに開いてるし。視界に入るこの黒板消し。

これを被るやつって、逆に見てみたいと思うのだが。


ひょいっ


な、な、なにーーー!!

あの奇想天外なトラップをいともたやすくかわされるなんて!!

しかも、丁寧に元の場所に戻してる。

俺はあいつに今日もかなわないのか!?


はぁ~・・・疲れた。


「おう田中。今日も木村のトラップ回避か?」

「あぁ。いい加減にして欲しいんだが。毎度毎度同じ罠ばかりでどうしたもんか。」

「てか、田中?

あの入口からお前にジっと熱い視線を送ってる木村、どうにかしとけよ。

じゃぁな~」

「おい!勘弁してくれよ。」


昼飯買いに行く度に、毎度毎度同じ罠を同じ場所に仕掛けるってどうなんだ、あいつ。てか、本当に何がしたいんだ?


「おい、木村?」

「はっ!田中!なぜ俺の場所がばれたんだ?!」

「いや、丸見えだし。」

「俺の尾行は完璧なはず。なぜバレたんだ?」

「いやだって、お前さ」

「そうか。そうだったのか!わかったぞ!」

「何が?」

「お前には、マゾの力があるのか?!」

「マゾってなんだ!」

「間違えた。謎の力があるんだな!」

「間違えようがないし。そもそも謎じゃなくて未知のとかもっと違う言い回しはないのか。」

「お前って・・・見かけによらず意外と中二病なんだな?

未知の力とか信じてるのか?イタいなお前。」

「お前にだけは言われたくない!そんなお前に中二病疑われたら、俺の高校生活おしまいだ。」

「まぁ、そんな事は何でもいい。」

「いいのかよ!てか、別に俺にとっても本気でどうでもいいんだが。」

「田中!」

「な、なんだよ。」

「俺を弟子にしろ!」

「いや、色々意味がわからん。」

「俺の巧妙且つ計算しつくされた数々のトラップをいとも簡単に回避するお前を見て気が付いた。」

「もっと違う事に気が付いてくれ。」

「お前には、第六感という潜在能力があるんだな?!」

「いや、毎回同じ場所に同じ罠あれば誰だってわかるだろ。」

「お前のスーパーエキセントリック第六感を俺も習得出来れば、お前に数々のトラップを喰らわせる事が出来るはず!そうだ。それは名案だ!俺はやはり、天才だ。」

「本当に意味がわからん。」

「よし田中。今日から俺はお前の弟子だ!」

「弟子をとった覚えはない。そもそも、俺に教えを乞うてから俺に罠を仕掛けるって矛盾してないか?」

「・・・・・そうだったーーーーー!!」

「意外と飲み込み早いな。さっきまでの件はどこいった。」

「お前に教わり、お前に罠をかける。それは、それは・・・・ん?どういうことだ?」

「はぁー。とにかく、面倒はご免だ。さっさと自分の教室に帰れ。」

「いや、俺は今日から田中の子分だ。田中師匠!この俺に何でも名声するがいい!」

「さっきよりなんか変わってるし。

じゃぁジュース買ってきて。」

「わかった!」


シュパッ!


「あいつ、本当に行った。効果音も自分で付けるのか。」

「買ってきたぞ!」

「早っ!」

「なんでそんなにするんだよ。」

「遊び合いから!田中と遊びたいから!」

「・・・・まぁいいや。好きにしろ。」

「あぁ、好きにするさ!明日こそお前に俺のスーパースペシャルなトラップでひーひー言わせてやる!」

「弟子だか子分はどこいった。」


今日も田中と木村は平和な一日を過ごしている。



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今日も俺の身近はとても平和だ 風見☆渚 @kazami_nagisa

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