第4話 ココアが……

小雨の降る中……僕は


家路へと、着いた。

頭の中では、樹里さんとスーツ

姿の、男性が……


抱き合っているシーンが……


何度も繰り返す。



僕は冷めたココアを机の上に

置く……。


【 コンッ……。】

ココアを眺めていると、

僕は悩む。


《 いつ、飲もうか……? 》



力尽きて、ベッドに倒れ込む。


( あのトキメキは……

  もう、終わったのか…? )


枕を、ギュッと握りしめて

頬に手をやる。



樹里さんに、キスされた箇所を

撫でてみる。




急に僕は、洗面台へと……

向かった。それは、



樹里さんのキスの感触を、無くしたかったからだ。



蛇口を思い切りひねる。

勢いよく、水が……流れる。



頬どころか、髪まで濡らして

頭の中を冷やしていた。



しばらく、蛇口から出る水を

浴びっぱなしに


なっていると、耳が……キーン

と、してきた。




その耳鳴りを、もっと酷く

させていた。僕は……


数十分間に、渡り水を浴び続け

たのだ。



水道の音に、気が付いた母親は

……慌てて僕にバスタオルを

かける。


母は……


《 どうしたの??和也?!

さっきまで、あんなに……。 》



僕は母親に、バスタオルで……

髪の毛をバサバサっと

拭いてもらっていた。



その後、ドライヤーで母親は

僕が、風邪をひかない様にと


髪を乾かしていた。



その理由を……母親は聞かなかった。

薄々と、察したのであろう。




その後……僕は

母親に髪を乾かされながら……




ポタン……

ポタン……と



涙を、流していた。



~僕の初恋が……終わったんだ~





余りの僕の落ち込みように、

母親は……その日の夕食に、



僕の大好物の、タラコパスタ

や、ハンバーグを……


何も、言わずに作ってくれた。




夕食の時……僕は……

母親に、ぎこちない礼を言うと、




母親は……包み込む様な

笑顔を……僕に見せた。



お父さんは、東京へと転勤中

だと言うのに、



母親は……愚痴も一つ言わずに




僕にとっての

初恋が……樹里さんで良かった

のか?



夕食を半分近く残して、


自室へと……戻ると


冷えたココアを……カコンっと

開けて、



まるで、僕の恋が無くなって

しまうかの様にと……




樹里さんに、初めて買って

もらった、冷えてしまったココア

を……



一気飲みした。



空き缶を……ゴミ箱に向かって

投げた。





その拍子に、ゴミ箱が倒れて


ゴミが……散乱してしまった。

その光景を見て、




僕は……情けなくなり、笑いながら涙ぐんでいた。

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