第3話 お姉さん。
《ぃ……イタっ…………。》
僕は……知らず知らずの間に、
樹里さんを強く、抱き締めていた。
《あ、ごめん。……。》
肩に回した手を……ゆっくりと
離していくと、樹里さんは
にこやかな表情を浮かべていた。
僕はそんな、にこやかな表情の
樹里さんを、不思議に思った。
( 好きな人が居るのに。
……なんで? )
そんな時、
樹里さんが……僕の目を
茶目っ気たっぷりに覗き込む。
《 ふふっ。……。》
少し間を置いて……樹里さんは
《 私も……まだまだ捨てた
もんじゃないわね? 》
《 ココア……飲もうよ? 》
二人で……コンビニの歩いて
すぐの所へと、一緒に向かうと、
樹里さんは、僕の頬に軽く
キスをしてきた。
《 ……え?…………。》
ふふっ。と天使は笑う。
その天使は……日の光に当たると
なおさら美しかった。
公園の遊具で……樹里さんが
遊んでいた。
《 ねぇーーーー?乗らない? 》
光を浴びている天使……。
僕は、言われるがままに遊具で
樹里さんと、遊んでいた。
( あの……突然のキスは……
どんな意味だろう )
樹里さんの方に、目を向けると
樹里さんは……まばゆい位に
幸せいっぱいな表情を
浮かべていた。
ブランコで……樹里さんは
思いっきりこいで……。
《 あ?!跳ぶつもりだ! 》
と、僕が気が付いたと同時に
樹里さんは……ブランコから
跳んだ。
樹里さんは、一瞬よろけて
でも……着地に、成功した。
樹里さんは…喜んでいる。
子供の様に無邪気に喜んで居た。
《 ね?楽しい?私は、、、。
実はね、寿命が……。 》
そう、言いかけて、
樹里さんは……押し黙ったまま
になってしまった。
《 有藤君。私の何処が好き? 》
僕は返事に困ってしまうと
天使は……微笑む。
《 今日は~楽しいなぁ。 》
僕は、照れてしまっていた。
樹里さんに、今度、お礼を
しなくちゃ…………。
僕のそんな気持ちに
お構いなしの、樹里さんは……
小雨の降る中……
何かを、言いたそうにしていた。
【 私……。実はね。 】
その時……
《 樹里ーーーーーー!!! 》
と、誰かの声がした。
声の方に目を向けると、
そこには、
樹里さんの名前を呼びながら
近寄ってくる、男性が一人。
慌てて、樹里さんの方を向くと
……。
樹里さんの顔が、ピンクに
染まっていた。
天使の樹里さんは……
幸せいっぱいな表情を浮かべ、
その男性に、自分から
抱き付いていた……。
僕は……悟った。
【 この男性が……樹里さん
の好きな人か、、、】
小雨の降る中で……
抱き締め合う二人に心の中で……別れを告げ
僕は……もらったココアを
ポケットにしまい込むと
その場を後にした…………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます