第43話
ご飯を終えたあたしは1人で学校の図書室へ来ていた。
今の行方不明事件は確かに気がかりなところだった。
いなくなった人たち全員が、あたしの叔父と叔母のようにソレに食べられていたとしたら?
そう考えて、頭を左右にふり、想像をかき消した。
あの子はあたしの願いを叶えるために、2人を食べたのだ。
それ以上でも、以下でもない。
……でも。
悪魔について調べものをした時、ソレは1人で狩りをするようになると書いていなかったか?
実際にあの子も自分で獲物を捕らえることができるようになっていた。
成長して母親の願いを叶えたソレは、その先一体どうなるんだろう?
自分で狩りをしながら生きて行くのだろうか?
だとしたら、行方不明者たちが犠牲になっている可能性は否定できなかった。
「今回の行方不明事件を関係があるかどうかわからないけど、もっとちゃんと調べておいた方がいいのかも」
あたしはそう呟き、図書室に置かれているパソコンの前に座った。
どう検索してみようかと考えた末、今回はここの地名から検索してみることにした。
悪魔山を歴史的な部分から見て見るのだ。
「あ、出て来た」
地名を入力してみると、沢山のサイトがヒットする。
市役所のページや、町おこしのページ、この街の名前がかかれたありとあらゆるページが出てきて、さすがに全部を確認することはできなさそうだ。
あたしはその中でも《○○街の歴史》と書かれているページを開いた。
簡単な歴史が書かれているのだとうと思っていたけれど、想像よりも細かく書き記されている事がわかった。
ホームページ内を検索できる検索窓が設置されていたので、そこで悪魔山と入力してみた。
出て来たのは感染病についての記事で、あたしは眉を寄せた。
「感染病ってなに?」
そう呟いて記事を読み進めていく。
今から千年ほど前、この地域には感染病が蔓延していたらしい。
当時は不治の病とされ、その感染病が原因で亡くなった人が沢山いた。
人は目に見えない菌やウイルスを恐れ『悪魔』と呼ぶようになった。
人々は『悪魔』をこれ以上蔓延させないため、あの山に祠を立て、『悪魔』を頬むったと書かれていたのだ。
あの山が悪魔山と呼ばれるようになった所以は、病気だったらしい。
あたしは記事を読み終えて大きく息を吐きだした。
「本物の悪魔なワケないか……」
そう呟いた時「1人でなにしてんの?」と、声をかけられた。
振り返ると梓が立っている。
あたしが1人で教室を出て、なかなか戻ってこなかったから探していたようだ。
「ちょっと調べ物」
「悪魔山について?」
画面を見られていた様だ。
「まぁ、ちょっとね」
あたしは曖昧に頷いた。
「昔お爺ちゃんが言ってたよ。人は目に見えなくて怖い物に名称を付けることで、恐怖心を薄れさせていたって」
梓の言葉にあたしは先ほどの記事を思い出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます