第14話
☆☆☆
家に戻るといつも通りの日常が戻ってきていた。
課題をすませ、寝る寸前まで家事をして、2人に罵倒される。
けれど違ったことが1つだけだった。
2人になにを言われても、それほど気にならなかったのだ。
怒鳴れば自分の言う通りになると思ってる。
人でストレスを発散することしかできない、かわいそうな人。
どこから2人の事をそんな風に考えていた。
そうなるとあたしの心には余裕ができて、怒鳴られても言葉半分で聞き流す事ができるようになっていた。
今まで自分が1人で我慢していると思っていたけれど、友達はちゃんと理解してくれていた。
それが、大きく関係してきているようだった。
2人がすっかり寝静まった後、あたしは最後の家事を終わらせて自室へと戻った。
透の部屋と比べれば、狭くて埃っぽくて、月明かりもほとんど入ってこない部屋。
あたしはマットに横になってスマホを取り出した。
2年A組のラインを確認すると色々な都市伝説の話題で、盛り上がっていた。
悪魔山からそんな話になって行ったみたいだ。
あたしはみんなの発言を流し読みし、スタンプを押した。
面白そうな話題だったけれど、明日はまた早起きだ。
もう寝なきゃいけない。
あたしはそう思い、部屋の電気を消したのだった。
☆☆☆
また、夢を見ていた。
狭い、物置の部屋の中にあたしが1人で立っている。
あたしは笑みを浮かべて自分のお腹で手を当てている。
その表情は夕夏がスマホで見せてくれた、あの女の子にそっくりだ。
その瞬間、あたしのお腹がどんどん大きくなり始めたのだ。
見る見る膨らんでいくお腹に、あたしは笑みをたたえたまま動かない。
夢の中にいる自分は冷静な顔をしているのに、夢を見ているあたしは焦っていた。
なにがどうなってるの?
このまま、あたしのお腹の中からもあの化け物が出て来るの?
長い指先でお腹の肉をかき分けて、顔を出すの?
そう思った瞬間、飛び起きた。
全身が汗で濡れていて呼吸が荒い。
肩で大きく呼吸をしないと、空気がうまく吸い込めない。
なんであんな夢を……。
そう思い、そっと自分に腹部に手を当てる。
その瞬間、違和感があった。
いつもよりもふっくらとして感じる腹部。
昨日、ズボンが入らなかったことを思い出した。
やっぱり少し太ったんだろうか?
そう思って立ち上がり、お腹周りをさする。
太ったにしてはお腹が重たい気がする。
触ってみると肌が突っ張っているのもわかる。
まさか変な病気じゃないよね?
不安になったとき、スマホのアラーム音が鳴って午前6時を知らせたのだった。
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