第14話 アイツは何?
最近、半グレたちの間で噂になって来ている。少し前に神楽坂に出会ったと言ってきたのが事の発端らしい。
そいつはどうやら山奥で遭遇したみたいだ。そして俺らみたいな人種が次々と消えているとの話も。俺も直接的な接点がないため情報が少なすぎる。
俺は昨日、車で煽り運転をしてしまい、そして相手を自滅させるような形で殺したのだ。
警察も相手が外道だからだろうか真剣に捜査もしていないらしい。誰も神楽坂を追跡することは不可能だと思ったが、そこで俺はある事に気づく、遺族は一体どういった経緯で神楽坂に会うのか知りたくなった。
少なからずとも遺族は知っている。神楽坂にも会っているのではないかと思った。いったいどうやって?
必ず神楽坂を見つけ出したい。そして俺は煽り運転で殺してしまった遺族を探し出すことにした。神楽坂を捕まえる前に俺は警察にも同時に狙われている身。慎重にいかねばなるまい。
そして慎重に行動を開始した。どうしたら神楽坂に会えるのか?まずはニュースの情報をもとに独自で捜査する。亡くなった人の名の苗字は
住所はたまたま自分が知っている地域だったため、ニュースにでた伊藤の家を突き止めるのはそこまで難しい事ではなかった。とりあえず俺は目立たないようにと意識して行動した。
◆◆◆
3日後―――
伊藤たちの遺族が動き出した。どうやったらあの神楽坂に会えるのだ?そればかり俺は気にしていた。
俺はそっと後ろを付けた。バレないようにバレないようにと。
すると伊藤は階段を下りて何やら人影が少ないところに行った。
誰かいる?神楽坂か?
違うらしい。
あの黒人は誰だろうか?ガタイが良く黒人でサングラスをしているため素顔が解らない。ヘビー級クラスの体格の持ち主だ。
どうやら話し声が聞こえる少し小さいが、お互い背中合わせになるようにして話している。なぜだ?
「それで?煽り運転をした奴の事を調べてほしいと?」
黒人がそういうと伊藤がそう頷く。
「そうだ、許せないんだ!運転を煽っときながら今ものうのうと生きているあの男が!」
もちろんあの男とは俺の事だ。
「それで我々の事はどうやって知った?」
そう、そこだ伊藤というか今まで遺族たちはどうやって神楽坂たちの正体を知ることができたのだ!!
「はい、私の場合は同じ殺された遺族のセンターの人達から、あなたたちの存在を聞いて知りました」
私の場合はだと?他にも方法があるのかよ!ますますわからなくなる神楽坂の正体が・・・。一体どんな方法で知り得る事ができるのだ?!
「解った。でも警察もアイツの事は追っている司法の裁きを受けるのが一番良い方法だと思うのだが?」
ふざけるなよ司法も神楽坂にも捕まりたくないからこうやってどんな方法使っても逃げたいのが、今まで殺された俺らのやり方なんだよ!
「司法がなんだ!司法が俺らが望む刑罰が必ずしもなるとは限らんだろ!あの車にはまだ小さな子供が乗っていたんだ!それを・・それを!!」
「伊藤さん事務所はこちらです付いて来てください」
黒人が伊藤を案内しようとから俺は突然殴られてしまった!
「何をしてるジェイク! そこまでだ外道!」
黒人とはジェイクの事だったのか。だがもはやここまでか!俺は咄嗟に今までの情報を半グレ仲間に送信し、投げ捨てた。あとは頼むぞ。
◆◆◆
「ジェイク!立ち話が長すぎたぞ!この外道に聞かれてしまったようだ!ただ今回は都合が良い、ちょうど裁きを受けるのだから探す手間が省けた。だがジェイク次はないと思え!」
「私の不注意ミスでした。深くお詫び申し上げます」
コイツはジェイクというのか。どうやらやはり神楽坂のほうが格上らしい。そう二人の関係についても俺らの間では一切の謎なのだ。
「さて、聞いただろう? 伊藤さんは貴様が許せないのだよ。よって処刑する」
すると神楽坂は俺に背後を見せ、手を後ろに組むようにして歩く。
「お前はなぜこんなことをする?外道といえどなぜここまでする!」
「さてな」
「私は後ろを向いている。私に隙があると思うならいつでもかかってこい」
俺の質問には答えないそして絶対的な自信に満ち溢れている。絶対負けない。少なからずとも俺では絶対勝つことは不可能。ましてや一流の格闘技選手でもこの神楽坂には勝てるかどうか・・・
「ほぅ、いろいろと読み取ってくれて光栄に思うぞ」
「お前!俺の心の中が解るのか!」
「さてな」
またも答えない。コイツはまるで実体がないまるで化け物だ。
「到着したぞジェイク準備しろ。伊藤さんはこちらへどうぞ」
伊藤と神楽坂は先に中に入った。
◆◆◆
到着した場所は地下室のような場所。
そして俺はジェイクに両手両足を縛られる。
「殺される・・・」
すると神楽坂が現れる。
「今回のような私の後を追うタイプの外道は初めてだぞ歓迎する。だがこちらも問わねばなるまい。なぜ煽り運転をし、幼い命まで奪った?」
「そんなもん決まっているだろうチンタラ前を走ってるからイライラしたんだ!俺は答えたぞ!次はお前だ神楽坂!どうして外道と言う奴らにここまでする?」
「罪のない人々を平気で陥れ、自分勝手な言い分で殺し、罪をも逃れようとする。当然だろう?」
「外道にも人権があるんだ!」
「人権?貴様らが人権などという言葉を使うな!人の皮を被った悪魔め!話は終わりだ貴様にはコイツで死んでもらう!!ジェイク!!」
その声を合図に車のタイヤを持ってきて俺の首にかける。
「うお?重いこんなもんで何をするつもりだ」
「伊藤さん出来ますか?」
「お願いしますやらせてください!」
神楽坂と伊藤のやり取りでそう会話をし最初にガソリンをかけられた。
「冷たい!クソっ!何をするつもりだこのタイヤを外せ!」
「おい外道!似合ってるぞ。これはなタイヤネックレスといやつでな説明する必要もあるまいすぐ解るさ」
「火もやらせて頂けますか?神楽坂さん」
「伊藤さんの希望にできるだけ沿うように致します。ただし危険ですので付けたらこの場からすぐ安全な場所へ逃げて下さい」
「解りましたありがとうございます」
「おい!伊藤!やめろ!」
俺は焦ったこれから焼かれる恐怖に駆られた。
「幼い命を平気で奪ったお前が!!自分だけ助かろうとするな!!」
伊藤はタイヤに向かって火を放った!!
「うわァァァァァァ!!!」
「これが貴様が言った人権は遺族にもあるということだよ。いや、むしろ人間にある言葉だ!貴様のような人の皮を被った外道にはないのだよ。タイヤのゴムが溶けるとキツイだろう?存分に味わえ!」
そう言ってタイヤのゴムが燃え盛る炎の中、俺は顔も溶け出し、焼けただれ、やがて絶命した。
神楽坂は恐ろしすぎる誰にも咎められない。
ー続くー
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