第13話 夫からの精神的暴力
俺は嫁の
「お前何もやらないかならな。本当なんのための嫁だが解ったもんじゃない」
まぁ実際はやらないわけではなく、俺のほうが料理だって上手いだけ。いろいろと教えてやってんのにわかんねーから困る。
あ、そうそう俺は何かを言ったりはするが嫁を殴ったりはしない!傷をつけてまでやることじゃないからな。精神的にってのがいいのだよ。ゆえに俺は悪くない。
そんな扱いをしてるわけだから俺の友達も家に呼び放題女友達だって連れてくる。大丈夫だって浮気してるわけじゃないんだし、ただ家に来て対戦型ゲームを楽しんでるだけこれは浮気にはならない。
そして深夜までゲームで遊び終えたあとはこの女友達を家まで送り自分の家に帰ると、とうとう清美がキレる。
「ねぇ!私の立場考えてる?何で平気な顔して毎日友達を連れてゲームしてるの?」
「そんなもん楽しいから。娯楽だよ娯楽」
「ふざけないで!」
「あ〜そぅ別に悪いことしてるわけじゃないんだがな〜もういい?」
「感覚がおかしいんじゃないの?普通の神経では考えられない! 毎日毎日人を精神的に追い詰めて何が楽しいの? もう地獄に落ちろ!滅んでしまえ!」
そう言い清美の奴は出ていった。実家に帰ったらしい。
何が精神的にだ。そういう奴に限って弱い奴がよく言うセリフだ。精神的ってのは、つまり俺は甘えだと思う。
するとしばらく経ったある日の事だった。俺はいつも通り友達とゲームしていると突然電話が鳴る。せっかく良いところだったのに誰だよと思って電話を取ると清美の母親からだった。
「あんたのせいで清美が自殺未遂をしたどうしてくれるの?!」
そう言うが自殺は勝手に清美自身が決めた事俺のせいじゃない。
「それ俺のせいじゃないですよ」
そう言って電話を切る。俺は全く悪くない。だって身体的ダメージを一切与えてないんだから問題ないでしょう。
「さぁまたゲームやろうぜ」
「あれ?また清美さんなの?今度はどうしたの?」
俺のいつもの女友達がそう言ったが、俺は自殺とか言うと面倒な誤解を女友達にされかねないから適当に変換して伝えた。
「なんか自分で傷をつけたとかなんとか変な事言っててさ」
「え?なにそれどういうこと?」
「わからねー?なんかいつも俺のせいにされんだよなー」
「なんか大変な奥さんだね」
「本当!俺も苦労してんだよ」
そういうと女友達はまた別の友達へと伝わり完全に俺は周囲を味方につけ、清美を悪く仕立て上げた。
◆◆◆
それからしばらく経ったある日の事、俺は清美とは正式に離婚することとなった。清美はまだ病院のベッドの上だが、まぁあれは俺がしたわけではないので気にする必要もない。
それからまた数ヶ月後のある日の事、いつも来ている女友達は今日は来ず、俺の携帯にメールが入った。あの女友達からだった。
『助けて! 私はここにいる―――』
このあとの文章はそこの位置情報を示す文章だった。俺は車でそこへ向かった。
「ここはどこだ?」
しばらく車を減速して運転していると、何やら狭い通路になってきたので、そこからは歩いた。なんだここは?人もいない静かな場所だ。草むらもあり田舎っぽいところだ。位置情報からだとここからは歩くしかないらしい。
すると白い建物があり、そして扉があるので示す位置情報はここだ。何だここは?すると後ろから突然無理矢理目隠しをされ、そのまま扉の向こうに押し込まれた。
「うおっ!」
俺は視界を塞がれたまま、椅子のようなものに無理矢理、座らされロープのような感触をしたもので縛られた。
「どうだ外道?視界を奪われ椅子に座らされた気分は?」
「何だお前は?」
「しばらく貴様にはここにいてもらう。さてどうなるかな?」
男はそう言い、扉が閉める音が鳴るのを最後に俺はここの部屋に一人になったようだ。暑くもない、寒くもない部屋。視界は塞がれ、何一つ音がしない。完全に無音なのだ。
「どこだここは!」
大声を出して俺は言ってみた。しかしここの部屋は俺の声すら反響もしない。何だここは?時間も分からない。
どれくらい時間が経ったんだ?歩く足音がコツコツコツと聞こえる。でもしばらくするとまた無音になる。これが不定期に繰り返される。
「来るなら来い!俺がブッ殺してやる!」
またも大声出して言うも何も反応なし。それからどれくらい時間が経ったのだ?お腹も空いてきた。トイレも行きたい。また歩く足音が鳴る。そして止まる。しばらくまた不定期に繰り返される。
「なんなんだここは!!!」
限りなく力を振り絞って縛られているロープのようなものを
ガチャ。
扉が開く音が鳴る。
「おい外道!気に入ったか?
これはなホワイトトーチャーという実際にあった拷問でな。貴様の精神を崩壊させるのが目的だ。どうだ精神的に追い詰められる気分は?」
「クッ・・・」
「いいんだろう?人を殴ったりしなければ?精神的に人を追い詰めるのは良いと貴様自身言っていたではないか。まぁせっかくだ1週間ぶりに目隠しを外してやろう。さてどうなるかな?」
◆◆◆
そうするとあたり一面真っ白な空間だった。何一つ物がない。ただよく見ると手袋をして立っている清美の姿が見えた。
「久しぶりね」
「清美お前?助けてくれるのか?こんなの辞めろよ。ほら俺の友達だってまたお前を更に悪者扱いになっちまうんだぞ」
「私の自殺未遂の事は何も心配しないのね。女友達の時はこうやって心配して来たのにまぁいいわ。それとあんたの悪事はあの
「何だと?! でも俺の友達がそんな俺の悪事って信じるかよ!」
「証拠よ!」
そう清美が見せたものは俺の友達がSNSで拡散されたメッセージだったのだ。内容は酷い、清美を悪く仕立て上げた最低な人。というものだった。
「なぁ、俺が悪かったよ。でも答えてくれそいつとはどうやって知り合ったんだ?」
「別れたのにもう関係ないでしょ相変わらず女々しいね。」
そう言って清美は虫を掴んだ。そして俺の太もも辺りに置きやがった!
「虫!!!うわぁぁぁぁ!何だこれは?」
「見てわからない?サソリよ猛毒があるそうよ。その他にも毒性の強い蜘蛛も頭に乗せて、セナカニイレテアゲルワ!フフフフ!」
最後に清美は顔が溶解しはじめ、俺にそう告げた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
◆◆◆
「おやおや、この外道はさっきから何を一人でストーリーを作っているのかな?しかし、だいたいのあらすじは当たっているがな。ここには清美さんはいない。彼女はまだ病院。でもせっかくだ、ご希望通り強い毒性のサソリや蜘蛛でも乗せてあげよう。私は何もしてないこの外道の提案に沿って希望を叶えただけだ」
何十匹の毒性の強い虫を俺に撒き散らされたあと、神楽坂の不敵な笑いの中、俺は精神錯乱状態に陥り今まで幻覚、幻聴が出ていたようだ。そして強い灼熱感と激痛と呼吸困難により絶命した。
これが精神錯乱を必ず起こすと言われるホワイトトーチャーという拷問。恐ろしすぎる・・・・
清美はその後俺が死ぬことを聞かされると無事退院したそうだ。
ー続くー
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