第2話 佐伯の語りー1 どんなものか?出来れば入りたい
山南という人の後に続いて畑だらけの農村地帯に入る。
舗装されているが田んぼが多く デコボコ。そして悪いことに、この時期に降る雪が解けているせいで地面がぬかるんでいる
壬生村に入った。途端に武士の数が増える。
見回すと壬生村にいる奴らは、着物は汚く見窄らしい奴らばかり。最近、京にのぼってくる攘夷を叫んで利益を得ようとする食い詰め浪人と変わらない。さっき山南殿が言っていた通り、単に江戸の貧乏浪人の集団が流れてきただけのようだ。これは噂と違っている。見当が外れたか?
噂では「なんでも不穏な志士の取り締まりをするという隊が出来たらしい」
「脅して銭を取る腐れ侍を取り締まってくれる人たち」
「みんなの厄介のタネを掃除してくれる強い侍が京に大挙して来た」
なんせ第三代将軍の徳川家光以来となる上洛で、将軍が京に入ったのはまさに200年振り。江戸からくる幕府の兵。みんな期待した。
そしてこれは金があると見込んだ。不況の京都を潤すに違いない。それなら拙者にも新しい仕事があるかもと思ったのだが・・・・・・どうもうまくいかないものだ。
拙者は三年ほど前、あまりの貧乏生活から長州を脱藩し、大阪でひと旗上げようと頑張ってきた。しかし浪人の仕事というと、せいぜい参勤交代の補充要員や、盗賊や攘夷を叫ぶ浪士たちからゆすりを見張る用心棒ぐらいで、それに段々と嫌気がさし、
「攘夷で揉めている京都に行けば、何か起きる」とふんで京都に来たが・・・・・・なんと、こっちの方がもっと仕事がなかった。
今、世の中は空前の食料不足。数年続いた日照りで大凶作。ならびに南海、東海で頻繁する大地震被害で、家は潰れ、町はなくなり餓死者続出で地元から逃げ出すしかなく、食べるために生きるために、流れ流れて京に逃げ込んできている。
そんな京に仕事があるものか、乞食や博徒、女郎や夜鷹、そして強盗や偽の攘夷志士。真っ当に生きることは到底出来ない。
ギリギリの所で京の名門・聖徳太子流の道場になんとか入れてもらい、何とか目録まで取ることが出来たが、しかし目録ぐらいじゃ用心棒ばかり。それも祇園の芸子の置屋とかの用心棒。喧嘩が多い清水寺参りお登り様の相手がせいぜいだった。
所詮、ここでもうまくやるのは無理ということを知った。
どうにもならない膠着状態。そろそろ京も諦めようかと思っていた所に、江戸から浪士組が来た。それも斎藤の知り合いがいて、『来てくれ』と文まで貰った。
「これは渡りに船か。乗るなら早い方がいい。少しでも早い奴が、物を掴む」
今の世の中、うまくやらないと生きて生きない。是非とも参加するしかないと思い、斎藤を焚きつけて、便乗して来たが、・・・・・・すれ違う侍の汚れ具合に、気持ちがどんどん落ち込んでいく。
壬生は京野菜が盛んな土地で、主に壬生菜を栽培している畑が多い。
向かう八木という家は畑持ちの地主で、壬生寺の裏に位置しており、試衛館の人間はそこに仮の住居として住まわせて貰っているらしい。
壬生寺は大通りから坊城通りに入って、30メートルくらいを左に入ったところにある。こちらが坊城通りに入り向かって行くと剣術の稽古の掛け声が聞こえて来た。
「まだ3月。京都の春は寒い。この寒さの中、外で稽古をしている奴もいるのか」
と、思ったら、斎藤は見知った人間の声が聞こえているか笑いだした。どうやらこれから行く家で、前に斎藤がいた試衛館の人間たちが稽古をしているようだ。
その八木邸に入ろうとすると、丁度出て行こうとしている男とすれ違った。
試衛館・客分・原田左之助という男らしい。キリッとしたいい顔の男で、こちらも身長が高い上にガッチリした体格。まるで火消し屋や大工のようにいい体だ。
道を行きかかっていた原田は、八木邸の門を入って行くこちらを見つけ声を上げる。
「おお山口。久しぶりだな。元気だったか」
「あ、原田さんですか。お久しぶりです。ええ、ここでなんとかやっています」
「嫁はもらったのか?」
「まだ早いですよ」
「何でも早い方がいい。食事もクソも早いことにこしたことない。・・・・・・それでどうした、こんな所で?」
「山南さんに案内して貰って」
「合流か?」
「いえ、まだそれは。今日は土方さんに呼ばれて来ました」
そんなことを話していると、その声を聴いて、『なんだ?』という感じで稽古をしていたみんなが集まってくる。
「おお、ハジメじゃないか。どうした?元気か?」
「お久しぶりです。あ、沖田さんも元気そうで何よりです」
「へ~え、一年会わないと雰囲気変わるな。なんか凛々しくなった」
「まあ、頑張って稽古していますので」
江戸にいた時の共に稽古していたと思われる沖田という人と、(藤堂)平助と言うものも、会話に加わってくる。
「ハジメ。生きていたか」
「おまえもな。なんだ?平助、身長伸びねえのか?」
「うるせいや。そのうち伸びらぁ」
久しぶりの再会で誰とも非常と楽しそうに喋る斎藤。
隣で聞いていて、斎藤(元は山口)は、どうやらここに滞在している人間たちと、とても仲良くしていたことが解った。しかし・・・・・・・誰もかれも汚い。
にこやかだか田舎の百姓、丸出し。やはりここも金は無いのか?
つまりこの浪士組には金がないと言うこと。どうもしくじったようだ。ついてきて損をしたかも知れない。
「中で、近藤さん土方くんがいる。会って来たまえ」
裏庭から入る勝手口を勧められ中へ導かれる。
斎藤に続き、みんなに案内されるように、八木家の家屋に入る。
先ほどの楽しい談笑が屋内にも届いていたようで、土間のところに身長の高い男が待っていた。
ここの浪士組は、背の高い人が多い。平助と呼ばれた男以外は、みんな五尺二寸から六尺(170〜180センチ)もある。
「あ、お久しぶりです。土方さん」
この人が斎藤を呼んだ人か。いい男、歌舞伎役者のようだ。しかし斎藤が言っていた。怖い人だと。
「山口、ご足労かけてすまんな。呼び出しに答えてもらって感謝する」
「その節はご苦労をおかけしました」
「どうした元気だったか?山口」
「はい。お変わりなく。一年ぶりですね。ご無沙汰しています。今はこちら京都の聖徳太子流の道場で、師範代をしており、名を斉藤一に改名してやっております」
「師範代か。立派になってなにより」
到着の挨拶をすますと、隣にいる佐伯を確認した。
「それでそちらの控えている御仁を紹介してもらえるか?」
「は、こちらは私の通っている道場の目録、佐伯又三郎殿です。今回、土方さんに呼ばれたことを話すと、ぜひともお会いしたというのでお連れしたのですが・・・」
斎藤の後の言葉を引き継ぐと
「長州浪人・佐伯又三郎と申します。斎藤どのより兼ねてから聞き及んでいる天然理心流の試衛館の方々に会いたくなり、無理に連れてきていただきました。ご迷惑でしたか?」
「いやそんなことはござらん。お客は多いに越したことない、歓迎いたします」
「よろしくお願いいたします」
土方は頷き、促すように二人を家の奥に誘う。
「中へどうぞ。近藤さんが待っている」
八木家の奥には、小さいながら談話する部屋があり、そこに誘う。
間借りしているため狭い部屋だが、いろいろな話をする場所につかわれているようだ。
部屋に入ると、土方より、またまたもっと大きな人で、武骨を絵に描いたような顔つきの男、近藤さんと言う人が待っていた。
「おー」
大声で迎えてくれた。激情家のようだ。
「いいぞ。いい面構えだ。稽古が進んでいるようだな」
「ええ、特にこの京都では、稽古を怠ると途端に死ぬことになりますから」
「そんなに激しいか?」
「とても混沌としております」
「そうだな、ここ京は、裏切りが多いらしい。こっちも幕府の命を受けて来てみたら、それがいきなり朝廷の援兵になるっていいだした。どうしていいか、みんなわからず、右往左往している最中さ」
「しかし正式に認められたのですよね」
「お、誰に聞いた?」
「ここは京都です。噂が回るのは早い」
「そうか。まあそれだから、困っている。こうなると主君はだれだか、さっぱり判らん。・・・・それで聞いていると思う。江戸の試衛館を閉じた」
「いえ、それは初耳です」
「そうか、なんだ。そういうのは伝わらんか。これから拙者ら試衛館の面々は京都で過ごす。この京で死ぬつもりで務める。・・・・・・しかしここの地形や風土に全くと言って無知だ。ついては山口。先駆者として、昔のように我々と一緒に働いてくれないかという誘いなのだが、どうだろうか?」
改めて近藤は、斎藤に向き直り、頼んできた。どうする斎藤。
「聞けば、聖徳太子流の師範代をやっていると聞いた。組み入れではなく、手伝いでも構わん。他の稼業をやりながらでも構わないから、京都の監察を頼みたいのだか、いかがだろう」
「今、京都の一番の話題は、果たして江戸から来た侍が京のこの地でやっていけるのかってことです」
「それは無論、成し遂げるに決まっておろう。忘れては困る。われら試衛館の人間だ」
「そうですね。ならば山口改め、斎藤一(ハジメ)。それではありがたくお受けし、京都・試衛館に参加させていただきたいと思います。この京都で是非、力を試しましょう」
斎藤、躊躇なく受けた。加わる約束を即答した。
「そうかありがたい。山口が加わって貰えて、とてもうれしいぞ」
やはり感激派。近寄り斎藤の手をしっかりと握りしめる。
「斎藤です」
「お、そうだった。すまん。・・・・・・それで佐伯殿は今の話どうであろうか?」
佐伯殿はどうなさる、聞かれても・・・・・・ここですぐに従ったほうがいいか?いやここは大事なとこだ。ここで思いきって、一番の疑問を聞いてみた。
「確かにお志に感銘を受けて、是非ともと言いたいのですが、借財がありまして、即答が出来かねるのですが、・・・・・・それで恥ずかしい話ですが、禄はいかほど頂けるのでしょうか?」
「これは失礼した。浪士組、聞いているのが月に三両の約束を取り付けている。しかし思うように配分されてこぬ。わしらとて困っている次第。参加を呼びかけておいて、なんなのだが知らぬ土地なれば一向に工面出来ないでいる。それで山口、いや斎藤。斎藤にも言うことだが、手持ちに蓄えがない。故に養える金が支給されてない。直ぐにとは言わないし、ちょっと様子を見るでもいい。他の仕事があるなら、通いでもいい。我ら不慣れな土地の案内補佐でも構わない。参加をお願いしておる」
外見の通り金が無い。やはり思った通りか。さすればどうする?ここは辞退するべきか?
しかし今。京都は荒れている。どこに漂着するか全く読めない。ならば手札は多い方がいい。一枚かんでいた方がいいかも知れない。
他の仕事の合間でも良いと言っている。咬むだけ咬み、もし駄目なら離れればいいだけだ。参加として繋いでおいたほうが得策だろう。
「そういうことなら途中参加ですが、合流させていただこうと存じます」
「ありがたい、期待していますぞ。烏合の衆が多いところだ。剣術が出来る人間が増えるのはこちらとしたらありがたい」
うなずく近藤。満足げだ。
「斎藤。しかし・・・」
近藤じろりと佐伯も見回し、
「剣術だ。腕が無くては話にならない。斎藤、腕は落ちてないだろうな?」
「無論です。鍛えております」
「ならば、それでは立会いで稽古を見させてもらおう」
「わかりました」
「佐伯殿。誠に手数をおかけしますが、お手並みを拝見して入っていただき、決めさせて頂きとうございます。腕の違いによって処遇を決めることになりますうえ」
「当然です。よろしくお願いいたします」
と、口で言ったが、試験があるのか。案外堅苦しいなと思った。
拙者は、京で剣術はしないようにしていた。他流相手に剣術をすると、強さの話になり、そこから立会いに移行してしまい、ともすると刀を抜くことになって果し合いに発展するからだ。京は、そんなイザコザが毎日あり巻き込まれないためにも避けてきた。
確かに目録を持っているので腕には少々は自信がある。が、斎藤師範代には遠く及ばず、簡単に負けはしないが、勝てはしない。
あまり本意ではないがこういう流れだ。やるしかない。
「ではこちらにてお手並み拝見とさせてもらおう」
ニコニコと山南に案内されて外に出る。同宿している人間たちが、立会いと聞いて、集まりだす。
「どうなされた?何かありましたか」
「旧友の浪士組、途中参加で、手並み拝見です」
すると、みんなと明らかに違う高級な着物を召した人たちの一団が、奥の部屋から出てきた。
大きな男が先頭に5〜6人の集団。それが誰もが綺麗な着物着ている。
あちらは金があるようだ。そうじゃなきゃあんなに小綺麗にしていられるわけない。
同じ浪士で違っているな。
「ほう、それは面白い。是非、拙者も拝見させてもらいます」
とその一団も外に出てくる。
その中の左目が潰れている男。それが片目でジロリと見て、歩み寄り、山南殿に聞いている。
「試合か?面白い。拙者も参加していいか?」
どうやら出るようだ。
庭外に出て、先程みんなが稽古していた場所に招かれた。稽古している中に入り、立会い試験になった事を告げると、みんな歓声を上げて中央を開ける。
次々と興味津々で集まって来た十四、五人の人間に囲まれて立会いになってしまった。参ったな。
「斎藤こと山口ハジメは聖徳太子流師範代。同、道場、目録。佐伯又三郎殿」
みんなヒソヒソとこちらの力量を話し合う。
「京の聖徳太子流は自然体の基本の所だ。文武両道で有名の道場。そこの師範代。 なるほど、そして京の目録とは、どのくらいで目録なのだ?」
しかし全部聞こえている。もっと静かに話してくれ。緊張する。
「手合わせおねがいします」
山南殿の言葉で、ニコニコと笑顔をした背の低いひょこひょこ跳ねるように歩く男が真ん中に出てくる。
「久し振りだな、ハジメ」
「お久ぶりです永倉さん」
ゆっくりと頭を下げる斎藤。
「相変わらすクソ真面目だね。聖徳太子堂の師範代だって?」
「ええ細々とやらしてもらっています」
「よく言うぜ。細々じゃねぇよ。立派な道場だ。どれだけ稽古が進んだか見せてもらう」
急にヒョコヒョコ歩きを止め、どっしりと立つ永倉。二本の木刀を持ち、その一本を斎藤に差し出す。
「最近は、ずーっと竹刀なのですよね」
「忘れた訳じゃあるまい。うちはずーっと木刀だ」
「承知しています」頷くと左側の木刀を掴み引く。
「山南さん。お願いします」
山南殿はニコニコして立会人として近寄り、斎藤と永倉にお辞儀をして構えさせる。
「始め」
二人とも立ち上がると、互いに正眼の構え。そこから斎藤は剣先を少し下げる。下段に近いが自然体。何にでも対応すると言う形。
新道無念流の永倉は、剣を上段へ。そしてそこからから下段にもっていく。ゆっくりと上下に波だたせる。
「誘う剣か」
一昔前、流行った少し古臭い剣構えだ。ゆらゆら揺れる剣を見つめながら、斎藤は踏み出す、きっかけを見計らっている。
今は竹刀だ。速さこそ命。
下げに、下げを合わせて、永倉が跳ね上げて来るので、その次の太刀が勝負。
斎藤、永倉の下げに打ち下ろしを撃ち込む。
木刀に当てると反動で剣があがり、中段、上段まで木刀が上がる。
「よし」
斎藤の上がった木刀を振り下ろし、永倉の頭に「面」が落とされる。
しかしそれよりどうした訳か永倉の木刀が早く、下から切り上げられ、斎藤の腹に胴打ちが入った。
「ウブ」
跳ね上げのスピードが信じられない程、早い永倉。
「早い。下段からからあんなに速い上げる剣があるのか」
手首の反動を利用した太刀筋なのでそれほど威力があるように見えなかったが、食らった斎藤は息ができず、うずくまる。かなり強かったようだ。
「きついだろ。これが飛龍剣。刀が登るのさ。初めてみただろう」
頷く斎藤。
「もう一本、行けるか?」
「はい。お願いします」
そう言って立ち上がった斎藤だが、一本目が相当きつかったらしく、二本目も開いた体に胴に横払いを貰い、苦痛のため立てなくなった。
「苦しいな。休んでいろ」
端に引きずられて、放置される斎藤。
凄いな。木刀だと食らったら死ぬかも。
「次、佐伯殿」
呼ばれて真ん中に進み出る。
「よろしくお願いします。」
山南さんが、斎藤の落とした木刀を拾い上げ、渡してくる。
「痛いよ。面だけは気をつけて」
立会いの山南殿にお辞儀する。すると先ほどの片目の男が、近づいて来て永倉から木刀を受け取る。
「私がやろう」
「お手柔らかにお願いしますよ。平山さん」
「それでは、始め」
立ち上がると、正眼で構えて近寄るが、片目の平山は両手で軽く木刀を持ち、下げたまま構えない。こちらの手を見るようだ。
ならば、間合いを保ちながら、少し左右に動く。そして目の潰れている左目の方へ。
「隻眼ですか」
左目が潰れている。
「ああ子供頃にな。・・・・・・・・おまえは相手の弱い方に動くのか?」
「すみません。兵法通りで、有利になる方に行かせてもらいます」
動くこちらに合わせて、あえて顔を動かない平山。
左目の方に回ると死角になるはず。しかし頭を動かさない。
あまり行くのは卑怯な気がして気が引け、程々に行き、そこから太刀筋が見えない横面になるように、横薙ぎで打ち込む。
平山、身体を右に揺らすだけで、それを避けて撃って来ない。
こちらは当たるまで、何度も打ち込むが、かわされるだけ。
いらだって、もう一歩踏み込み、再び打ちに行ったところ、それに合わせられて、同じ横薙ぎの太刀で、左の二の腕をしたたか打たれ弾き飛ばされた。
そして態勢が崩れた所を胴打ち。一本を取られる。
「馬鹿が。片目が見せかけだったらどうする」
少し気に障ったようで平山の言葉が強い。
「え?見えるのですか?」
「見えるわけ無いだろ。ただ足捌きを見ればわかる」
「そういうもんですよね」
「もう一本どうだ?」
「いえそちらは、こちらより腕はずっと進んでいるので無理です」
「そうか、他に代わるか?」
「出来れば、そうしていただくと・・・・・・・」
その言葉で、年若い男が中央にくる。
「私でどうでしょう?」
身長はあるが、痩せた汚らしい少年だった。片目でおっかない平山より、ましだ。
「なら沖田、頼むな」
平山、沖田と呼ばれた青年に木刀を渡す。
「よろしくお願いします」
「よろしくどうぞ・・・・・・・」
と言い終わるか終わらない打ちに、沖田が奇声をあげて、打ち込みながら体当たりしてきた。
辛うじて、上段からからの打ち込みを木刀で受けたが、体当たりのため頭に頭突きをくらい、のけ反る。それもなんとか踏みとどまったが、次が突き。それが連続の突き。
太もも、腹、喉の近くの胸に、浅くだが数発、突きを食らう。
「まだまだ」
山南殿は浅いと言うことで有効にせずに流すが、もうこちらは十分戦意消失。
これじゃ稽古で殺される。
「もう、これ以上は・・・」
と言葉にした途端、狙いすました面が頭上に降ろされ、脳天に入り崩れる。そして地面に倒れた時、したたか後頭部を打ち失神してしまった。
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