討伐隊 編成

ーーー3日後

僕は王城の前に立っている

周りは貴族街なので、紺のシンプルな布で作られたシャツを着ている僕は、すごく目立っている。もちろん悪い意味で


ここに来るまで、馬車の中の貴婦人に何度笑われたことか・・・

まぁ、今更気にしても仕方がないな と思い直し、歩き出すと

しかめっ面をした門番の顔がよく見えるようになってきた


どうしてこんなに睨まれているのだろうか


「おい、平民。そこで止まれ。何用だ」

と、槍を向けられながら言われたので 内心びくびくしながらも

肩掛けのバックから冒険者登録カードと召集令状を取り出し、答える

「ほ、本日は国王陛下からの召集命令に従い、やってまいりました」


「そうか、召集令状の真贋確認が済み次第そこのメイドについていけ」

とだけ言うと門番は僕から冒険者登録カードと召集令状をひったくるようにして、休憩場所に戻っていった


もう一人の門番のほうを見てみるとやはり睨まれていた

視線を気にしないようにしていると休憩場所の扉が開く音がする


「よし、確認が済んだ。これを返そう」

と、先ほど確認をしに行った門番さんが戻ってきた


門番さんから冒険者登録カードを受け取り、礼をした後メイド服に身を包んだ美しい女性の後についていく


すると、急にメイドさんが立ち止まり

「アベル様。今から謁見の間でのマナーについてお話致します。このような形でのご説明となり、申し訳ございません。国王陛下はいつもより多くの貴族様をお呼びになられた為、この後のご予定がおありの方もいらっしゃいまして……私共も時間が取れず

改めて謝罪申し上げます」

と、綺麗なお辞儀をした

「い、いえ。大丈夫ですよ。よろしくお願いします」


メイドさんのマナー講座を受けながら驚くほどに長い廊下を歩き、何度か階段を登ったあと、今まで見てきた扉よりも一際大きな扉の前でメイドさんが立ち止まり、小さく「コンコン」とノックをすると、中にいたメイドさん2人が大きな扉を開く


中にはあまり派手ではないが、上等な服を着たダンディーなおじ様や、爽やかなイケメン。頭のテカテカしたおじさんなど、お貴族様が大勢いらっしゃった


僕は言われた通り最前列のお貴族様のいる場所から二歩でたところで立ち止まる。そうすると壇上の脇にいた、細身のおじいさんが口を開く


「国王陛下 御登壇願います」


と言われたので片膝をつく


わずかな足音が聞こえてくる

ドク  ドク  ドク

すぐそこに、この国で最も偉い人がいると思うととても緊張してきた


おそらく陛下が王座につかれたのだろう

頭の上から低く、力強い声が聞こえてくる

「面をあげよ」


僕は浅く息を吐き、顔を上げる

「発言を許可する。今日はよく来てくれた。奈落の森で起きたことはすべて聞いている。まことに、大義であった」


「私にはもったいなきお言葉・・・ありがとうございます」


ふぅ……緊張した……


「して、今日はお主に頼・み・事・があってだな…」

「と、言いますと?」

「先日お主らの報告にあった鬼人。王国騎士団に再度、調査に向かわせたのだ。ギルド指標Sランクの魔物が三体……まともに渡り合えるのは騎士団長が精々だろう。そこで、オーガとアークオーガの群れを殲滅する力を持つお主に、王国騎士団への同行をしてほしい。これは一個人から一冒険者への依頼ではなく国からお主への命令だ。もちろん、報酬ははずむぞ」


レオンさんに「鬼人ぐらい瞬殺出来るようにしとかねぇと、創造神の初撃で木っ端微塵になっちまうぞ」と言われていたので頼まれなくても僕が討伐するつもりだ。そこに報酬もはずんでくれると言うのだから断る理由がない


「謹んでお受け致します」

よし!噛まなかった!

僕の返事を聞くと、陛下は立ち上がり

「出立は明日。アベルもいる。心強い助っ人も明日には到着する」

言い終わると陛下はお座りになられた


――――――


その後のことはよく覚えていないが、メイドさんに連れられ国王陛下とお話をした後、王宮に泊まることになっていた

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