王城へ
「………はぁ」
ん〜、いつもより大分遅い時間に起きちゃったな
昨日は本当に地獄だった。だが、レオンさんのおかげで今の僕の弱点がよく分かった
宿を取っているのが今日までなので、荷物を纏めてギルドに報酬を受け取りに行く
ギルドにつくと前にいた街よりかはマシだが酒の匂いが漂ってくる
中に入ると、談笑していた女神の眼のリーダー
アレックスさんがこちらに気づき、手を振ってくれる
「おーい、アベルくん。こっちへおいで」
相変わらずの爽やかイケメンスマイルにこちらも気分が良くなるほどだ
「おはようございます、アレックスさん」
「おはよう、昨日はありがとう。君がいなければうちのパーティは全滅だったよ」
「い、いえっ、僕なんて冒険者としてまだまだですし……」
「ははっ、謙虚だね。まぁ、冒険者なんだからもうちょっと堂々としておいた方がいいと思うよ」
「はい、わかりました!」
「はぁ…このぐらいのことしか教えてあげれないなんて……先輩冒険者として不甲斐ないね」
と、昨日の話や冒険者としての心構えなどを教えて貰ったあと、僕は報酬を受け取りに行った
「はい、こちら昨日達成された奈落の森の探索。その報酬です。ご確認ください」
そう言って受付嬢のお姉さんは金貨が20枚も入った麻袋を渡してくる
報酬はきちんと確認した。奈落の森に入る前は金貨10枚だったはずで、Fランクの僕には相応しくない金額だ。なのに………
「あ、あの…なんか多くないですか?」
「えぇ、そちらはギルドマスターからの謝礼でございます。Aランクパーティを壊滅の危機からすくってくださったアベル様にと。ギルドマスターの権限でお渡しできるのが金貨10枚でして……もちろん、ギルドランクもアップさせていただきますので、登録カードをこちらに置いてください」
「助けただなんて………ありがとうございます」
と言いながら僕がカードをカウンターに置くと、お姉さんはにっこりと微笑み、「暫くお待ちください」とだけ言うと他の職員さんたちが働いている事務室まで戻って行った
さて、この後どうしようか。やらなきゃいけないことは宿をとることと武器を買うことだね
ん〜、まずは宿を取りに行こうかな
と、これからの予定を立てていると事務室からお姉さんが出てくる
「アベル様昇級おめでとうございます」
カードの色は変わっていないがランク表記がFからDまであがっている
「うぇ!?飛び級!?いいんですか?」
「はい、本当はAランクまで上げてもいいのですがBランクから上にあがるためには実績の他に教養という項目をクリアする必要があります。Bランクから上になるとお貴族様からの指名依頼も増えますので……
それに、一度にランクを上げすぎると他の冒険者様との問題が発生するかもしれませんので……」
「ありがとうございます!」
こうして僕はDランク冒険者になったのだ
「それと、ギルドマスターがお呼びです。二階へどうぞ」
今日は少し予定があるけど武器は明日にでも買える
それに、わざわざ呼び出すってことは大事な話だよね
「はい、分かりました」
僕とお姉さんは二階へ向かう
コンコン
「ギルドマスター、アベル様をお連れ致しました」
中から声がかえってくる
「あぁ、ご苦労。中に入りなさい」
中に入るとソファに座るようにと促される
受付のお姉さんが淹れてくれた紅茶を1口啜るとギルドマスターが口をひらく
「アベル君のおかげで新進気鋭のAランクパーティを失わずにすんだ。本当にありがとう」
「いえいえ、僕なんて………いや、僕に出来ることをしたまでですから」
先ほどアレックスさんに言われたことを思い出し、言い直す
「…ふっ、ははっ。気弱そうだが……うん、それでいい。それでこそ冒険者だ」
そこでまた紅茶を啜る
「そして本題だ。君に
―――王城からの召集がかかっている」
僕は立ち上がったままあんぐりと口を開ける
「………え?どっ…え?どういうことですか!?」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。要件は例のオーガについてだ。私もそれ以外は詳しく知らされていない。あの人はそういう性格だからね………まぁ、よっぽどの不敬がない限り投獄はされないだろうから、安心していいよ。日程は3日後だ。それと、服装はいつもどうりでいい。向こうで貸し出してもらえるから」
「は、はぁ……分かりました……」
その後紅茶を頂きながら世間話をして一般的なDランク冒険者が泊まる宿をとった
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