異常者の目的

「……神……さま?」

驚いている僕をよそに彼は話し続ける


「さっき職業は女神サマが与えるって言ったよな?

だが、それはちょっと違う」

「?それはあなたが言ったんじゃ…」

「あぁ、お前たちの常識を確認するためだ。俺はずっと天界に引きこもってたからな。二柱はよく見てたみたいだが……。まぁ、ともかく職業はただの女神サマが与えてるわけじゃねぇってことだ」


……ただの女神様じゃない?どういうことだ?


「なぁ、坊主。お前らが言う女神様の称号を知ってるやつ……周りにいたか?」


女神様の称号………確かに、女神様は女神様としか言われなかったな……


「知らないだろ?で、職業ってのは創造神っていう女神と破壊神っつー女神が創ったシステムから与えられてんだ」


そ、創造神と破壊神…?神様は1人だけだと思ってた…


「そんで、今回俺がお前に与えられたのは創造神が邪神に乗っ取られたからだ」


彼曰く、神とは創造神と破壊神以外、信仰力が自らの力に大きく作用されるらしく、邪神とは僕たちが生きているこの星の人々が抱いた、邪心、怨念、煩悩などが、いつしか信仰に近い形になり顕現したそうだ。それも、最上位の神として


「大きくなりすぎた怨念はこの星を創った創造神に向かった。そして、創造神が弱体化した16年前に行動に出たってわけだ。システムは創造神が乗っ取られた時点で、俺いじょうしゃを送り出した。辿り着いた先がお前だったのは魂が1番強く光輝いていたからだ。すごかったぞ、お前。引くほど輝いてたからな。まぁ、魂の輝きが鈍いやつに力が渡っちまったらまずいってことだ」


魂の輝きはその人の前世での行いが関係しているらしい。強ければ強いほど、前世では善人だったわけで…

どうやら僕の前世はとんでもないお人好しだったみたい


「……じゃあ僕はその邪神から創造神様を助けたらいいんだね」

「そうだが、口で言うほど簡単じゃねぇぞ。味方の破壊神は最上位だが、相手は最上位神二柱だ。邪神の力はまだよく分かってねぇが、少し弱体化していたとはいえ、あの創造神を乗っ取ったやつだ。相当厳しい戦いになる。だから俺と破壊神でお前を鍛えてやるんだ」


……僕はこの異常に強い彼と最上位の神様に鍛えられるのか……。よし、やってやる……やってやるぞ!


「はい!お願いします!……あの、ずっと気になってたんですけど、あなたの名前は…?」


彼は顎に手を当てて悩むような仕草をする

「ん〜?名前かぁ。そういやなかったな……じゃあ、俺のことはこれからレオンと呼べ。特に意味はない」


……自分の名前なのにそんな適当でいいのだろうか

まぁ、本人が決めたことだ。これからはレオンさんと呼ぼう


「んじゃ、早速今日から始めるぞ。いつまで創造神が持つかわからんからな」


準備が必要かと思って戻ろうかと思ったが、そもそもここはどこなんだ?起きたら目の前にレオンさんがいてびっくりしたから今まで気にしていなかった…


「あー、ここは創造神が創った俺と保持者が訓練するための場所だ。ここなら怪我は瞬時に治るし、訓練用の武具の出し入れも可能だ。その他にもいろいろあるが、その時に説明してやろう」


レオンさんがパチッと指を鳴らすと、真っ白な空間から一瞬で景色が草原に切り替わった


「うおっ!?どこですか?ここ」

「さっきまでと同じ場所だ。そこに天界のとある場所を複製しただけだ」


へ〜、そんなこともできるのか…


「よし、最初はここでやるぞ。……おら、これを使え」


そう言ってレオンさんは僕に長剣を投げ渡し、自分は1度だけ見たことがある刀と呼ばれる武器を構えた


「怪我はあっという間に治るから真剣でいくぞ!」

「はい!よろしくお願いします!」

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