与えられた力
あの後僕達は奈落の森から出て首都に戻ってきた
鬼人を3匹も相手にするには到達者が1人いるパーティ分の戦力が必要になるらしい
それほどまでに強力な魔物だということだ
アレックスさんが「報告は僕たちがしておくから君は拠点に戻ってゆっくりと休んだ方がいい」と言ってくれたのでお言葉に甘え、先に戻らせてもらった
「ふぅ…今日は疲れたなぁ〜」
いくら異常者で強くなったといえども、心はまだまだだ
明日ギルドで報酬を貰える………から………しばらくはゆっくり……しよう………かな……
――――――――――――――――――――――――
「………ぉぃ……おい!起きろ!」
「んん……ん?……うわぁ!」
目を覚ますと目の前に至極色の髪色をした男がいた
僕は素早く立ち上がる
「っっ…誰だっ」
「おぉ、ようやく起きたか…待ちくたびれたぜ坊主」
待ちくたびれた……?まるで僕のことをずっと見てきたかのような……
「あぁ、そうだ。俺はお前のことを見ていたさ。あの時から……な」
っっ……心を読まれた……?
それに、あの時って……いつからなんだ?
僕の心の中のつぶやきに彼は答えてくれる
「お前が15歳になったときだ」
僕が15歳になったとき……っっ、もしかして?!
……アレックスさんが言ってたのはこういうことか
僕は確信した
――――――この人が異常者だ
「俺たち職業っつーのはなぁ、女神サマが人間に与えるもんだろ?そうだな、そこらへんにある職業を女神サマの涙や髪の毛だとしよう。で、勇者とか賢者とかの職業は……まぁ、全てを使いこなせてやっと腕1本分ってとこか。勇者だとか賢者だとかがいれば世界の危機ってのは大体解決するわけだ。だが、どうしようもない時があるんだ」
そう言って彼は自分のことを指さす
「そんな時に与えられる職業がこの俺。異常者ってわけだ。けけけっ、可笑しいだろ?世界を救うのが異常者だとかよぉ」
彼は腹を抱えて1人で爆笑している
一方で僕は今の状況を必死に理解しようとしている
えーと、つまり今目の前にいる彼は僕の職業で、勇者や賢者でもどうしようもない時に与えられるのが異常者……。彼が与えられたってことは……
「……勇者や賢者でもどうにもならないって……どんなことなんですか?」
彼は笑うのをやめて顎に手を置き、考える仕草をする
「んん〜そうだなぁ〜。もう言っちまってもいいのかぁ?まぁ、いつか分かっちまうことだし………坊主、聞いても後悔すんなよ?」
まぁ、今さらどうこうできる事じゃねぇけどな
と、付け足す
「っ…うん、分かってます。僕じゃないといけないんだよね?」
「あぁ、そうだ。これは俺とお前にしかできない」
「……ならやります。今まで僕にしか出来ないことなんてなかったんです……。だから、やってみます」
「…そうか、なら話してやる。俺たちがぶっ潰す相手は神だ。それも、最上位のな」
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