アークオーガ
「っっ……はっ……」
僕は辺りを見回すと凄い汗をかいたアレックスさんと座り込んでいる魔法使いのお姉さんが視界に入る
「あ、あの。アレックスさん。どうでしたか?」
「………正直よくわからない。ただ1つ。戦っていたのは君じゃない。つまり、記憶を失っているわけじゃなくてそもそも無かったんだ」
その言葉に僕は少し動揺した
「………えと……どういうことですか?」
「君の職業名 異常者だったよね」
「はい、そうです」
「戦っていたのは恐らく異常者だ」
んん?もっと分からなくなったぞ?
「…アレックスさん?どういうことですか?」
「僕も初めて知ったよ。職業に自我があるなんて。
でも、さっきまでと口調も違うかったし、君への伝言も預かったよ。「次はてめぇの力でやってみろ」だそうだ。これを信じるかは君が判断すればいい。だが、僕に嘘をつく理由がないということは分かっていてくれよ?」
「えぇ、職業に自我ですか……信じられないですけど、確かにアレックスさんが僕に嘘をつく理由ないですもんね……分かりました。一応頭の中においときます」
アレックスさんは微笑みながら立ち上がり、剣を抜く
「さて、そろそろ来るね」
剣を抜いたあとのアレックスさんの表情は真剣そのものだった。これがAランク冒険者。切り替えが早い
ドドドドドドドドドドド
アークオーガの足音がする
身体強化発動!
僕が身体強化を発動すると、青白いオーラが吹き出る
「えっ…え?どうなってるんだ?!」
「アベル君も分からないのかい?」
「え、えぇ今まではまともに身体強化なんて発動させませんでしたし……」
「1度ステータス画面を…といきたいところだが確認は後でだ!行くぞ!」
お姉さんが火炎魔法を発動させる
最初の噴火で使用した穴からもう一度炎を出す
僕は1番前のアークオーガに向かってギルドで貸し出されていた短剣を構えて走る
ビュォォォォォォォォォォォォォ
え?!どうなってるんだ?!
僕は今、走った勢いでアークオーガ数匹と奈落の森の大木をなぎ倒した
この身体強化と関係があるのかな?
僕は短剣を相手に突き刺しやすいように構え直す
僕が1度地面を蹴るとアークオーガの背中が視界いっぱいに広がる
そのまま勢いに任せ背中に突き刺す
僕の身体強化により上昇した能力値は思ったよりも高く、短剣が柄の辺りまで突き刺さってしまった
すぐには抜けなさそうだからこのまま殴る
今の能力値なら数発殴っただけでアークオーガがただの肉塊になってしまう
いちいち短剣を引き抜くのも面倒だしこのまま殴り続けよう
――――――――――――――――――――――――
「はぁ…はぁ………ふぅ」
身体強化を解除しながら辺りを確認する
僕の周りには40匹程のアークオーガがいる
「ははっ、自分の目で見たというのに未だに状況が飲み込めないよ」
「全く……とんでもないわね……」
「おつかれさまです、アレックスさん」
「いやいや、ほとんど君が倒したんじゃないか。僕達は楽だったよ…………さて、そろそろステータス確認してきな。僕達はあっちで待ってるからね」
冒険者は……というか、ほとんどの人は他人にステータス画面を見せることは無い。ステータス画面はその人の個人情報がほとんどわかってしまう。名前、職業、おおよその戦闘力。国が把握できる情報がほぼ丸わかりだ。そこに配慮してくれているんだろう
「ありがとうございますございます。すぐに終わらせます」
僕がそう言うとアレックスさん達は、森の木を切り倒して出来た切り株に座った
「さて……ステータスオープン」
――――――――――――――――――――――――
名前 アベル Lv 59 職業 異常者Lv4
パッシブスキル
自己再生Lv1
金剛骨Lv1
筋密度Lv1
アクティブスキル
半神強化Lv1
短剣術Lv4
――――――――――――――――――――――――
スキルの進化……そんなことがあるのか?
自然治癒も自己再生も聞いたことはある。だが、
自然治癒が進化して自己再生になるなんてことは聞いたことがない。これも異常者の力なのか……?
それに、スキルも増えてる。これのおかげであんな無茶な身体強化にも耐えれたのか……
多分職業レベルが上がったことの影響だろう
「アレックスさん。確認終わりました」
「よし、じゃあ行こうか」
「はい!」
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