王都デビュー

「はぁ…」


僕は早朝の街を歩いていた

この街の人達にはお世話になったから挨拶したかったけど…


リーベルトにバレたらどうなるかわからない


この街は比較的大きいので門がある

「すみませーん」

すると、眠そうな担当の門番の方が出てきた


本当に申し訳ない


「んぁ?…なんだ?こんな時間に…」

「すみません。…その、今から街を出ることって出来ますか?」

「………理由は?」

「っ……その…パーティを追放されまして…」

「そうか……まだ開門は出来ないがこっちなら通れる」


そう言って門番はすぐそこにある待機所を指す


「えっ、本当ですか?!ありがとうございます!」


「おう、任せとけ!坊主」




「ありがとうございました!」

僕は頭を下げる


「おう、気にすんな!…それと、これやるよ!」

そう言って彼はジャラジャラと音がする麻袋をこちらに投げる


「えっ?これなんですか?」

「金だ、うちにも同じぐらいの息子が居てなぁ、そんなガキが旅立とうってんだ。だから……その、なんだ………頑張れよ」


「っっ…………ありがとうございますっ……行ってきます!」

「おう!行ってこい!」


僕は歩き出す

目的地は王都だ


――――――――――――――――――――


その後、歩きで2日かけ王都についた

「うわぁぁ〜でっかいなぁ…」


僕の前にはとても大きな門がそびえ立っていた


僕が口を開けて驚いていると周りの人にくすくすと笑われた


田舎者感丸出しだったかな…


僕は検問待ちの列に並ぶ

その間、自分の職業について考えることにする。血を蒸発させて能力を上昇させる以外にどんな効果があるのか…


職業は、その職業に見合った効果や能力があるらいし。例えば賢者のサリーなら「魔力の泉」という能力だ。これは、自分の魔力容量を凄いスピードで満たしていく能力で、サリー曰く、下級と中級魔法ならほとんど永遠と打ち続けられるらしい。上級以上になると魔力の消費が大きく、連打は出来ない。

勇者の能力は「光の聖剣」パーティ名はここから来ている。文字通り光属性の聖剣を顕現させる能力で、死霊系の魔物に特効を持っている。まぁ、ここまで考えても異常者の能力はよく分からない。だが、戦闘系の能力だろう。それが嬉しくてたまらない


と、そんなことを考えていると僕の番が来たようだ


「身分証は?」

「あります」

僕は安い皮で作られた鞄から冒険者登録カードを取り出して提示する


「よし、賞罰欄は表記なし……よし、通れ」


僕はまず宿を取りに行く

王都は観光客も多いので遅くなると宿が取りずらいと思ったからだ


流石は王都。宿泊料が恐ろしく高い

1番安い宿でも光の聖剣にいた時の1ヶ月分の給料分ほどだ

まぁ、どれだけちょろまかされていたかは分からないが


だが、僕には門番のおじさんに貰ったお金がある。申し訳ないが、早速使わせてもらおう


僕はその1番安い宿に泊まる事にした

中はさほど汚くもなかったが大分こじんまりとした印象で、受付にはふくよかなおばさんが座っていた


「あの〜すみません。とりあえず2日分よろしくお願いします」

「はいよ。これ、部屋の鍵ね。一階廊下の突き当たりの部屋だよ」

「分かりました。ありがとうございます」


僕は部屋に着くとここに来るまでに買っておいた保存食を食べながら荷物の整理をする。

その後冒険者登録カードと短剣を持って冒険者ギルドへ向かう


――――――――――――――――――――


流石王都のギルド。大きさが前にいた街の2倍はある。あぁ、緊張してきた


カランカラン

扉についたベルが鳴る

一瞬中にいた人達から視線が集められるが、すぐに興味が失せたのか、談笑を始めた


僕はまず掲示板でF〜Eランクの依頼を見る

冒険者のランクはF〜Sランク。そして、場外ランクの「到達者」。人間のレベル上限が100なので、100レベルまで到達した人のことを到達者と呼ぶのだ。そのまんまである。


僕は最下級のFランク。ほとんど戦闘をしてこなかった為、勇者パーティにいたがランクは全く上がらない


自分のランクの1つ上の依頼まで受けれる

異常者の能力確認にはゴブリンがちょうどいいのだが………あった。


――――――――――――――――――――


場所:奈落の森

依頼内容:ゴブリンの討伐

追記:ゴブリンが繁殖期に入る前に討伐してほしい


――――――――――――――――――――


よし、これにしよう

依頼の書かれた紙を受付に持っていく


「すみません。この依頼を受けたいのですが」

「はい、分かりました。まずは冒険者登録カードを確認させてください」


僕はカードを受付嬢に渡す

「はい…ランクが確認できたので、受けてもらって大丈夫です」


よし、じゃあ行くか。いざ奈落の森へ!

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