ダンジョンへ

僕はあの後、掲示板に貼られているダンジョン上層の情報を確認したあと、ダンジョンに向かった


ここは洞窟型のダンジョンだ

一階層はほとんどスライムしか出てこない

たまにゴブリンが紛れている程度


因みに僕の武器は短剣だ

長剣を買うお金なんて、僕にはない

だが、僕にとってこの短剣はとても大切なものだ。


僕が勇者パーティに入った時、初めての依頼を達成した報酬でサリーがプレゼントしてくれたものだからだ


安物ではあるが、そんなことは関係ない。

人が自分の為に何かをしてくれるということが嬉しかったんだ


だから、サリーが僕のことを裏で煙たがっているという言葉を信じていない

サリーは優しい子だ。だから僕を勇者パーティに入る事を条件に提示したんだ

僕を一人ぼっちにしないために


そんなことを考えながら歩いていると、目の前からスライムが現れた

だが問題ない。焦らずやれば出来るはずだ


スライムはぴょんぴょんと跳ねながらこちらへ向かってくる


距離を測る

スライムが僕に向かって飛び込んできた

そこに短剣を置いておけばスライムの核に突き刺さり、楽々倒せる


ピロンッ


因みにこの音はレベルアップを知らせてくれるものだ


「レベルアップだ!ステータスオープン!」


――――――――――――――――――――


名前 アベル Lv7 職業 異常者 Lv1


パッシブスキル

自然治癒Lv5


アクティブスキル

身体強化Lv5

短剣術Lv2


――――――――――――――――――――


よし!レベルが1上がった!

これまでほとんどスライムしか倒してこなかったので、レベルはとても低い


自然治癒と身体強化のレベルが高いのは、職業 異常者のおかげだ

だが、身体強化は今の未熟な体で長時間使うと体が破裂するらしい。今だと使えて15分といったところだ

それでも使用後の反動は覚悟しなければならない


その後10体ほどスライムを倒して、2階層へ降りていく


2階層は空気が変わった気がした。多分、僕のレベルが低いせいで、モンスター達が垂れ流している魔力に当てられているんだと思う

そういう話を初心者あるあるとして聞いたことがあった


しばらく歩くと、前方から足音がする

僕はその場で立ち止まり、短剣を構える

暗闇から浮き出て来たのはゴブリンだった


早速来た!ゴブリンは人型だからスライムのような倒し方はできない

短剣で勝てるかと言われれば答えは否


だから、遠距離で倒す!

僕は構えを解き、大抵の洞窟型ダンジョンの壁際に生成されている「発光石」をいくつか手に取る


ゴブリンが突っ込んでくる!

思ってたより速い!でも真っ直ぐに走ってくるから当てるのは簡単。僕はゴブリンの胴体目掛けて発光石を投げつける


ゴブリンは何も考えず走ってきたらしく、簡単に当たってくれた。だが、いくら下級の魔物といっても僕のような雑魚が投げた石で死ぬはずがない。だからまだ投げる

もう1発胴体に投げつけ、怯んだゴブリンの頭に投げる。多少ズレたが立ち止まってくれた


僕は短剣を構え、ゴブリンに向かって走る


「はぁぁぁぁぁぁああああ!!!」


ゴブリンの頭に僕の短剣が刺さる!

しっかり貫通しなかったので何度も何度も突き刺す


数十回突き刺すと、ゴブリンがピクリとも動いていないことに気が付く

そして、返り血が蒸発?していくことにも気づく


「うぇ!?なんだこれ!?」


ピロンッ


……とりあえずステータスを確認しよう


――――――――――――――――――――


名前 アベル Lv13 職業 異常者 Lv2


パッシブスキル

自然治癒Lv5


アクティブスキル

身体強化Lv5

短剣術Lv3


――――――――――――――――――――


短剣術のレベルが上がってる…もちろん嬉しいのだが……


「異常者の…レベルが上がってる…」


今までどれだけスライムを倒しても上がらなかった職業のレベルが上がっている


どういうことだ?

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