解放
katsumi1979
第1話
残す勝負はあと一回。そう僕は過去にいろいろな彼女にアタックしてことごとく
空振りし続けた。だがここら辺で僕はこの人にアタックしてつき合いたい。
でも本当に真剣につき合ってくれるかどうか少々不安な所もある。
だけどいつまでも空振りし続けるわけにはいかない。そろそろ決めたい!
彼女の名は
つもりではいる。でも疑問なところもある。そして僕は・・・。
「由美子さん今恋人とかいるんですか?」
「なにー?どうしたの急に。改まっちゃってさ。いるわけないじゃん」
「じゃー僕とつき合って下さい!!」
「いいの?私なんかで?こんなおばちゃん?」
そう彼女は僕より5つ年上の30歳。それでもいい。僕は精神的な面で助けてもらった事もあり、またいろいろ教えてもらった事もあるから。
「じゃー私とつき合うからには恋人同士として1から君に叩き込んであげるから
覚悟しなさいよ!」
「こちらこそよろしくお願いします」
なんて決して告白らしい告白ではないような気もするが
僕はそんな緊張感をいつでも感じさせない、ほぐされるような気分に
させてくれるのもまた由美子のいいところである。
◆◆◆
そして恋人としての初デート。この日は日曜日でどこも混雑している。
由美子は相変わらず時間にうるさくいつも僕は
予定の時間より遅れてしまう!
「なにをやってんのおそいわね!」
「ごめんなさい!」
「まったく、せっかく朝携帯電話で起こしたの意味ないじゃん!」
「あ、ごめんごめん!」
「いいわ、いいわ早く行きましょう!」
何か友達と行くときと彼女として行くときやっている事は同じ。
でも気分が全然違うなと思う。特別な気遣いはあまり必要ではないな
僕はその時そう思った。
由美子のペースは早く、なかなかついていけない。
「もう、だらしがないわね。男でしょ!次へ行くわよ!」
普通彼女と言ったら男が女を引っ張るものなのだが、僕らの場合まるで逆。
何か結婚したら姉さん女房になりかねないねこれは。
でも僕はその時は知らなかった。
そう彼女には僕がずっと彼女に対して疑念に思っていたこと。それが明らかになる日が訪れたのはそれから3ヶ月の出来事だった。
◆◆◆
僕が週末、彼女の家に行ったときだった。思えば彼女の家に行くのは初めての経験だった。何かと用事があると言って断られていたからだ。そしていつも会う場所は喫茶店やカラオケ、ボーリングなどと行った場所でしか会えず、会える日はいつも平日しか会えなかったという事に僕はたびたび疑問に感じてたのだ。
そして家に行って僕と由美子はイスに座った。
でも由美子の様子がなにやらいつもと違うのを感じた。
「実はね、私言わなきゃいけない事あるんだ」
「え?」
僕は驚いた。何を由美子が言いたいのか。その時は分からなかった。
そして玄関の外から激しい音とともに誰か入って来た。
「由美子ー!」
男の声だった。
「隠れよう!!」
そう言ってクローゼットの中に僕ら二人は入った。
「どこだ由美子!亭主が帰ってきたのにいないとはどういう事だ!」
「え?」
僕はその時事態を飲み込んだ、もしかして由美子は・・・。
「ごめんね、私結婚してたの。でも今の亭主は嫌だし怖いし暴力振るうし・・・助けて・・・助けて・・・」
そう小声で由美子は俺の服をがっしり掴み言った。
「こんな嘘つき女でごめんね。でも私あなたが好きだったの離したくなかったから」
由美子が僕が初めて見せる姿だった。表面上ではあんなに元気だったのに
実は裏ではこうだなんて僕は全然気が付かなかった僕は由美子の何を
見てたんだろう。そう自分に腹が立った。そして僕はクローゼットの中から
飛び出していきなり殴りかかった。だけど僕は結局返り討ちにあってしまい
僕は顔が腫れ上がり由美子も頬が腫れた。そして由美子の亭主は出て行った。
僕は由美子の手を握り話しかけた。
「ねえ、今度週末どっかいかない?」
「うん、行きたいなどこか遠い場所に・・・」
そうにっこり彼女は僕に微笑みかけた。
彼女の嘘はこれ以上重ねることもなさそうだ。
解放 katsumi1979 @katsumi2003
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます