後悔していること
私は、人から聞いた話を鵜呑みにして、よく知らない人のことを知った気になるのが嫌いだった。だから絶対に自分の目で確かめたこと以外は、軽く頭に入れておくだけで確証がない限りは信じないようにしようって思っていた。
…それなのに、私は今まで母の言うことを鵜呑みにしてしまって、父やその家族のことを悪く思って嫌っていた。自分が一番嫌いだと思っていたことをやってしまっていたのだ。それも、今回おじいちゃんのお葬式に参加していなかったらずっと気付けずにいただろう。今回の葬儀は本当に色んな意味で良い経験になったと思う。
でも、おじいちゃんが亡くなってしまってから気付くのは遅かったなと。もっと早くに気が付いて、もっとおじいちゃんと会って、もっと話しをしておけば良かった。今思い返してみると、私がおじいちゃんとの思い出が全然ないのは、おじいちゃんが私のことを嫌っていたとかじゃなくて、私がおじいちゃんを避けていたからだと思う。勿論、それだけではないが。もう私が物心ついた時にはおじいちゃんはあまり歩けなくなっていたし、声もカスカスで全然出なくなっていた。そういうのがあって、おじいちゃんもあんまり私と一緒に遊んでやることができなかったんだと思う。…でも、それでも考えてみたら、おじいちゃんは私が会いに行く度にカスカスの声で一生懸命私に話しかけてくれていた。当時は何を言っているか聞き取れなくて、何度聞き返しても聞き取れないからすごく困っておじいちゃんと話すのが気まずいと思っていたけれど、あの時にもっといっぱい話をしておけば良かったと今なら思う。
私は、きっと誰かがいなくなっても後悔することなんてないと思ってた。だってもし、今母親が死ぬかもしれないって言われて、何かやり残したことはありますか?って聞かれても、私はありませんって答えると思う。本当に今は何も浮かばない。でもきっとこういうのって、いなくなった後でああ、やっぱりもっとこうしてれば良かったかなって思うものなんだろうね。だから絶対に後悔しないことは不可能だろうけど、できるだけ後悔の無いように、これからは生きていきたいと思う。
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