父とその家族の話

 母が父の家族を悪く言うのには訳がある。私の母はバツイチで、私と姉は父親が違った。姉は前の旦那との子供で、今の父とは姉が小学生に上がる頃に結婚した。しかし、その結婚に至るまでが大変だったらしい。

 母は父より8歳上で、更に子持ち。そんな母を父の両親はあまりよく思わなかった。特に父のお父さん(私から見ておじいちゃん)は勿体ないと反対をしていたらしく、色々揉めたらしい。母は姉が途中で苗字が変わってしまって周りの子に何か言われたら可哀そうだと思い、どうしても姉が小学生に上がるまでに結婚したかった。だから何とか父の両親を説得し、結婚へとたどり着いたようだ。その説得するまでが大変で、母はお願いする立場だったから、失礼な態度をたくさん取られたり色々嫌なことを言われたり、とにかく父の両親に良い思い出がない。だから昔から、父の家族を嫌っていた。そんな母の話を聞かされていた私は、知らない間に父方の家族に苦手意識を持ってしまっていて、大きくなるにつれ部活だ何だと理由を付け、あまり父の実家には顔を出さなくなっていった。


 確かに父の実家は変わっていると思う。家族との接し方や価値観などが世間一般的な家庭とは違っていることが多い。でも、今回父やその家族と一緒に居て思ったのが、きっとこれがこの家の家族の在り方なんだろうなと。多分母は母の育った家庭が自分の中の普通で。だから父の家庭は受け入れられないし、普通じゃない、おかしいと言うけれど、実際みんな自分の育ってきた環境しか知らなくてそれが普通だと思って生きているから、もしかしたら自分の思っている普通は普通ではないのかもしれないんじゃないか。と、ちょっと思った。私は父と母の2つの家庭を見て、きっとどっちも間違っていないんだと思ったから、多分家族の在り方に正解なんてなくて、家族みんなが幸せでいられるのがその家族の在り方なんだろうなって。それがその家族の正解なんだろうなって思う。だからきっと家庭の数だけ正解があるんじゃないかって思った。

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