第13話 テクノロジーの指導 ①
「で。おまえらはいったいどれくらい強い?」
翌日、訓練所にてキドラが覇気のない声で言った。
「どれくらい、か。ふむ。まあ、見せたが早いな……」
そういうとサラは「アペルタ」と唱えた。
とたんに、サラの真横に青い四角に文字と数値が載った画面が表れた。
そこにはこう示されている。
【氏名】サラ・クロード
【体力】700
【魔力】300
【武術】810
【知識】700
【防御】580
【属性】雷
【運】90
それを見てキドラが不思議そうに口を開いた。
「その技術は最新型だぞ。まだここはテクノロジーの40%しか使われてないはずだ。2020年代にもまだ普及していなかったという技術をなぜおまえたちは使えている?」
「まってまって~キドラ、これはテクノロジーじゃないよ。魔法だよ、魔法!」
「魔法? ………なるほどな。今調べた。ヴァローレム。当該者の能力値を示すデータ」
「また一人で解決してる~! 聞いてよ、直接!」
「キドラさんの世界……というかテクノロジーも似たようなもんスか?」
「俺たちの世界でも人のプロフィールは見ることができる。掲示のされ方は今の魔法そっくりだ。だが、タイプは二つあってな。一つがSNSの発展版だ。個人が自由に設定したプロフィールで、自己紹介カードだな、いわば。信用ならん。もう一つはAIが、対象の活動実績、犯罪歴、思考の傾向をデータ化して示すものだ。こっちはまだ信頼性は高いな。本人の許可がないと見れないが」
キドラが質問に答えると、レオが興味深そうに顎に手を当てて考えこんでいた。実はレオはインフラ整備のとき、陰ながらジェルキドの手伝いを行っており、そこでテクノロジーに関心を抱いたのだ。
そんなレオとは対照的に、ミナが得意気に鼻をならした。
「ふふん~。魔法はね、嘘をつかないのよ。偽装していたりしない限り、今見えているものが真実なのよ!魔法の方が信用できるわね!」
「テクノロジーこそ嘘をつかない」
キドラがむっとして言い返すと、サラは目を伏せて優しく笑った。
「まあまあ。基本的にアペルタは本人が見せない限り他にはわからん。だが、まれに透視魔法を使う変態がいてな。そんなやつらに見られないよう、偽装している者もいるんだ。まあ、よくあることだ。よし訓練はじめー」
「だから、おまえも偽装しているのか?」
キドラの問いにサラが固まった。
「な、何を言っている」
「目を1秒以上つぶるのは嘘をついているときの傾向がある。また顔を触るのは嘘をついているときに多い。他にも諸々の科学的根拠からおまえは嘘をついているとのテクノロジーの分析結果だ。おまえの先ほどの発言からすると、こいつらの中に透視使うやつがいるのか?」
キドラの言葉に辺りがシーンと静かになった。最初に口を開いたのはミナだ。
「お姉ちゃんが嘘つくわけないじゃない!」
「透視魔法使う変態は個人的にシークさんっぽいと思うっス」
「え、そこを拾うの? 個人的に、サラの嘘の方が気になるなぁ。俺思ったんだよね~。サラの【知識】と【体力】が同一てなんか違和感あるって……」
「み、皆さん、まぁ、いいじゃないですか。そ、それより、本日はキドラさんがご指導してくださるんですよねわあ楽しみだな魔法とテクノロジーてどう違うんだろー!!」
「アイリス下手っぴ~そんなんじゃ、逸らされてやらないぞっ! さぁ、サラ、白状しな!」
アイリス以外の顔がサラに寄越される。
サラは顔を真っ赤にし、キッとキドラを睨み付けた。
「キドラ!! 馬鹿言ってないでさっさと我々に指導せんかああああああああああああああ!!」
サラの怒鳴り声が訓練所に響き渡ったーー。
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