第13話 薄群青
濃い青色をした空をかき乱すように、のっしりと龍が渡るようだった可惜夜。
その向こうにはまだ希望とは言い難い朝焼けの、白い光がたった数秒であっという間に広がっていく。
瞬き一つでは変わらないが、この景色を覚えようと、脳が一枚一枚シャッターを切るように切り替える時、空はそれに合わせて姿を変えていく。
私では覚えきれないほど、豊かな変化を存分に見せつけて、ずっとは開けていられない瞳をまるで挑発するかのように。
夏が意外と早いのは、君たちがあまりにも一定ではいないからだろう。
同じ姿をしない、見惚れる暇もない程の変化を、私はこの小さな窓越しでさえ感じてしまう。
決して朝がくるのが怖いわけじゃない。
でも明けてしまうには勿体無い夜に、残り僅かな静寂の中に溺れていく。
騒がしい音を水の中に逃げて目を閉じたあの日のように。
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