第9話 青墨

 死んだ人に同情するな、なんて言葉は鬼のように冷たく聞こえるかもしれないけど、心がギリギリのくせにそんな事に泣くぐらいならやめて欲しい。


 大好きで自分と重ね合わせた人だったのかもしれないけど、死んだらもうどうしようもないんだって。


 もうやめてくれないかな、自殺。

 

 あの子は同情しちゃうんだって。


 なんて声を掛ければいいか分からないし、ふとした事が引き金になりかねないリスクを背負うのは嫌なんだって。


 なんでいつか死んでいくかもしれないって不安を背後に見ていかないといけないんだよ!

 

 頼むから死ぬんなら黙ってくれ。


 なんで今生きてるのに、ちゃんと生きてるのに死ぬかも死ぬかもって怯えないといけないんだよ。


 家族がいなくなるのは嫌だ。


 心の病気とかなんの理由にもなんねぇから。


 納得しねぇから。


 お前が死んだら殴ってでも生き返らせるからな。


 絶対生きたくないって拒んでも絶対絶対叩き起こすから。


 

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