第6話 青袋鼠

 最初から好きじゃなかった人なのに、想像以上に振り回された。


 あの人の中で人の価値は存分に上がり、奈落のように下がる。


 私のした事が罪のように扱う。


 自分の事はそっちのけで。


 なぁんて、慣れたもんよ。


 一人で戦争を繰り広げる頭の中を、私は大体把握している。


 君に似た人いたから。


 勝手に怒り、勝手に人を軽蔑しては、大っ嫌いになる。


 そこに留まらず、罪人扱い。


 アルバムをめくるように懐かしく思うよ。


 あなたが怒っているのを見て、私は怖くも反省もしなかった。


 懐かしい夏を思い出すかのようだった。


 あの日のガキを観ているかのようだった。


 あいつの薄い辞書を久々に手に取って、適当に開いたページに笑えた、そんな感覚だった。


 こんな本がまだ使えたなんて、人生において経験って必要なものなんだって、またこっちが大人にさせられる。


 いつまでもガキでいられるあなたが羨ましい。


 でも唯一、あいつと君の違うところは、君にはいつか分かって欲しいっていう期待が一切湧かないってことかな。


 好きに生きろって、笑顔を向けれるところかな。


 あいつには好き勝手生きやがったって、未だに執着しているし、あいつより幸せになってみせるってチラつく背中に腹が立つし、早く死ねって、思いも感情も言葉とは結ばれない願望を鳴らすし。


 だから、どうなろうと関係ない。


 そんなもんだからさ、私の朝5時を奪わないでくれないかな。


 君の影響で思い出すのは君じゃなくて、私の過去一番嫌な人の事なの。

 

 それで眠ればまだ静かな朝を、起きれば清々しい朝を暗くしないでくれるかな。


 作品に添えたい幸せをひとさじ、それが欲しいだけ。


 ばいばい。

 

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