第15話 【At the lounge】

レストランからラウンジへ場所を変えて、母と思い出話に話が咲いた。父の定年退職祝いに来た時のこと、その思い出を話していると、母も僕もその瞬間、時間が戻ったような気がした。そのころは、コロナ禍という状況が来るとは思ってもなかった。


未来はいったいどうなるのかわからないものだ。ということはやはりこの瞬間この瞬間を大切にしていきたいと思う。


母と僕はラウンジで珈琲を飲みながら、窓越しに映る滝を眺め、父や家族の思い出話に花が咲いた。ゆったりとした時間の流れの中で、過去へ戻れない切なさを感じてしまう。コロナ禍の中、宿泊客もかなり少なくなっている。いつもであればバンドの生演奏を聴きながら、くつろげるのだが、そういった催しも今はできない。待つ時期が来れば生バンドの演奏を聴きながら、珈琲でも飲めるときがきっとくる。それまでの我慢である。母もこの雰囲気を懐かしそうに思い出しているようだ。

ラウンジでゆっくりとした時間の流れを感じ、お土産コーナーへと足を運んでいく。吹き抜けのラウンジから階段で2階と向かう。


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