第13話 【Dinner】

部屋を後にし、館内の土産物屋を観ながら、時間を調整し指定のレストランへ到着した。


雰囲気の良いレストラン「瑞雲」を指定しているコースだ。料理長特選とあるため、いったいどんなコースになっているのかが楽しみだった。母は、長男の僕と一緒に来れているだけで胸いっぱいのようだった。これが親子の絆というものなのだろう。


レストランのエントランスで、スタッフがお迎えに来てくれていた。スタッフにナビゲートされながら僕と母は、プール横のガラス張りの個室席へ通された。レストランの造りもおしゃれで洗礼されている。やはり大谷山荘だなと感心した。


お品書きをスタッフから手渡されて、一通り目を通した。やはり日本海に近いということもあり、海の幸がメインである。山口県産の食材をふんだんに使用している。もちろん、河豚刺身もメニューにある。なんだか故郷にも貢献している感じがする。


僕が今回一目おいているのがアワビの料理である。シェフのどのような技が組み込まれているのか、それが楽しみだ。


仲居さんがドリンクのメニューを持ってこられた。僕はもちろん魚介類がメインのコースのため白ワイン、母は、アルコールがNGのため、ウーロン茶をオーダーした。母も父の看病を終え、ようやくひと段落着いた様子がうかがえた。やはり、今回の親子ぶらり旅を計画してよかったと感じたひと時だった。


仲居さんから本日のコースの食材、料理法などを紹介される。


一通り説明へ耳を傾け、このように手が込んでいるんだなっと関心をした。


僕と母は乾杯ということでグラスをかざした。いよいよ今晩のディナーの開始となる。この乾杯をする気持ちは、いろいろな過去があり、今がるという何とも言えない思いを僕は感じた。人生には大波小波があるといわれるが、人それぞれの人生があるんだbなっと思っていた。


母と父が出会い、その後僕が生まれる。今宵50年のあまりの人生の中で僕はどんなことを経験し成長していったのかと考えてします。目の前の母の顔を観ながら、刻まれたしわの一つ一つに置くにははわからない経験があるのだろうと思う。


しかしながら、今日この瞬間、母と一緒に温泉旅館で、一緒にディナーができることは、また一つ親孝行ができたのかなと感じた。


そんな思いを感じながら、母との食事が進む。

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