第10話 【Relax】
縁側がつている部屋で、縁側には床暖房のセットされた掘りごたつ式のテーブルも用意されている。母と横並びに座り、日本庭園を眺めてささやかな幸せを感じた。一枚ガラスから映し出される日本庭園は、まさに日本画のような景色だった。窓を通しての景色がまさに絵になっている。手入れも行き届き、宿からのおもてなしの気持ちが伝わってくる。
12月のクリスマス前の平日ということもあり、宿泊客も少なくてゆっくりと出来そうだった。窓ガラス越しの日本庭園は、なんだか日本人の郷愁というか日本人が本来持っているDNAを呼び起こす感覚になる。というか、僕もこの日本の良さをようやくわかる年齢になってきたのかと年を重ねたとこに感謝したい気持ちになった。
子供の頃であれば、両親に手をつながれて父と母の後をちょこちょことついて行っていたのだろう。その小さな幼な子だった僕が、今、母とナビゲートして親子温泉ぶらり旅をしている。この年まで元気で健やかに生活できたことに感謝したい。
父も昨年に他界し、母もようやく父の看病を終え、最後まで父に尽くせたことに満足している。一周忌も終え、ようやく気持ち的に落ち着いた来た。父に尽くしたそんな母に育ててもらったことへ感謝を伝えいたいということもあり、今回の親子ぶらり温泉旅行を企画した。この感謝は何度しても足りないと思った。
母が満足できる旅行にしたい。そう考えながら今回の旅館をセレクトした。子供の頃は何度かお邪魔したことのある宿である。僕も子供から成人になり、御年50歳を過ぎる年齢を迎え、ようやく親孝行もじっくりとできるころになった生活環境へ感謝したい。そんなことを考えながら掘りこたつから見える日本庭園を鑑賞しながら、物思いにふけっている。
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