第8話 【Hospitality】
駅に到着すると、本日お世話になる大谷山荘のスタッフの方が車で迎えに来てくれていた。あらかじめ、電車で向かうことと到着時間を伝えておいたため、駅と宿の送迎をしてくれるのだ。この心遣いもうれしいおもてなしである。
スタッフのドライバーの方が、白い手袋をして改札で出迎えてくれた。さすが一流の宿だなと感心した。スタッフに誘導されながら、送迎車へと入る。
駅から宿までは所要時間10分程度といったところだろうか。以前、この宿に宿泊したときは、父が運転する車で向かったため、この長門湯本駅から宿までの景色は初めてである。山間の温泉街といった道路を通り、目的地の大谷山荘へ到着する。宿から見える音無川の清流のが、僕と母へエナジーチャージをもたらしてくれる。
送迎車が到着する時間を見計らって、仲居さんたちが出迎えてくれる。こういった温泉宿のおもてなしはさすが日本だなと感心する。
僕と母は、まずラウンジへ通された。仲居さんが「遠いところ、お越しいただきありがとうございます。」とあいさつをしてくれる。温泉宿は日本独特のものであろう。日本人のおもてなしのDNAが集約されているようだ。
館内へと導かれ、ラウンジのソファーへ腰を掛けている。ボーイさんはお抹茶と外郎のおもてなしをしてくれる。なんだか優雅な時間だなとラウンジから見える滝を見ながら、お抹茶をいただいた。大谷山荘のラウンジは、天井も高くかなり開放感がある。ラウンジの窓ガラス越しに見る庭園の滝を眺めながら、以前、父の退職祝いで訪れたことを懐かしく思った。
母もお抹茶のおもてなしには満足しているようだった。ラウンジには数組のグループがくつろいでいた。家族連れの方、高齢夫婦の方などいろいろである。
僕と母はお抹茶もいただき、いよいよ本日の宿泊の部屋へとチェックインすることになる。チェックインの際に仲居さんから「本日は誕生日での宿泊と伺っていたため、女将からお部屋のアップグレードとささやかながらフラワーアレンジメントをお部屋にご用意させていただいております。」とうれしいサプライズを受けた。
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