第3話 【On the day of the trip】

僕が羽田空港から山口宇部空港へ向かう当日。


自宅では愛犬のチワワちゃんがお留守番となる。「行ってくるからね。」と告げ、チワワちゃんは僕を見送ってくれた。今頃は自宅でごろごろと寝ていることだろう。


最寄りのバス停よりリムジンバスで羽田空港へ向かう。リムジンバスは平日ということもあり、割かなり空いていた。僕は窓側の席へと腰を掛ける。

今回は一年前の悲しい帰省ではなく、母との温泉旅行なので少しワクワクする。

リムジンバスが出発する、いよいよ僕の親子ぶらり温泉旅行の始まりとなる。


思い起こせば、この世に生を受け50数年健康で過ごせたことへ感謝と、僕が誕生し大学で上京するまでの間、手塩にかけて育ててくれた父と母へ感謝の意を込めての旅でもある。


僕は兄弟姉妹三人である。三人ともそれぞれ健康の育ててくれた親に感謝したい。子供の頃から母からは「感謝」をしなさいと躾られてきた。目に見えないもの、他人へ対しての感謝の気持ちはそのころから培われたものであろう。


きちんとした家庭に育ったことへ感謝したい。父一人の給料のみで三人の子供、それぞれに一生の財産でもある教育をきちんと受けさせてもらったことへも感謝したい。


感謝の気持ちがあるということは、人を敬うという気持ちにもつながるのだろう。


僕はそんなことを考えながら、幼い頃の出来事をリフレインしながら、僕を乗せたリムジンバスへ揺られながら羽田空港第一ターミナルと向かった。


そんなことを考えているとあっという間に時間が経ち、僕は羽田空港へ到着した。


予約をした航空会社はJALである。いつも僕はJALを利用させていただく。というのも機内でWIFIが利用できるため、仕事がフライト中に進むからだ。


妹夫婦は母の自宅から車で1時間程度のところへ住んでいる。


妹には、父の入院の時、母が一人になっているときも、支えてくれている。妹家族へは、すごく負担をかけていることだろう。妹家族へも感謝をしたい。今回の帰省で、妹と母が山口宇部空へ迎えに来てくれる。そのまま父の墓前へお参りすることとなる。


妹家族へは僕にできることはできる限りのことは、やってあげたいと思う。羽田空港でお土産もめいいっぱい買い、持って帰ろう。今回は東京サンダーと、千疋屋の杏仁豆腐のセットを購入。きっと喜んでくれるはずである。父の墓前にも何か持参しよう。

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