美少女と声

 バイトから帰ると理央ちゃんは、お風呂か

 ら上がった所だった。

 

 り、理央ちゃん…

 その格好は!

 

「ただいま、理央ちゃん!」

「あ、おかえり。良夜くん!」

「オレもお風呂入ってくるワン!」

「待ってるワン!」

 

 なぜワンワン言ってるかって。

 それは理央ちゃんがイヌのパジャマを着て

 いたからなのだ。

 オレも理央ちゃんと同じイヌの服を着てお

 風呂から上がった。

 

「ただいま〜。理央ちゃ〜ん」

 オレは一目散に理央ちゃんに飛びついた。

「おかえり〜。良夜く〜ん。」

 ぎゅ〜!

 はぁ。一日の疲れが思いっきり吹っ飛ぶわ

 ー。

「良夜くん、私ね」

「うん?」

「今日シーチキンのおにぎり食べながら良夜

 くんに会いたいなーって思ったの」

「うっそ、オレもシーチキンのおにぎり食べ

 ながら理央ちゃんに会いたいって思ったよ。

 梅のおにぎりも食べたけど。」

「えっ、私もシーチキンと梅のおにぎりだっ

 たよ。」

 ふふっ

「そっかー。すごいね」

「うんっ」

「じゃあ、デザートも同じでいい?」

「うん!」

 ではでは、いただきま〜す。

 チュ〜。

 ぎゅーっ。

 はぁー。最高っス。

 デザートは、キスなのである。

 

 明日は、二人とも夕方からのバイトだから

 ゆーっくりできる。

 理央ちゃんに腕枕をしながらぎゅーって抱

 きしめた。

 抱きしめても抱きしめてもぜんっぜん飽き

 ない。

 むしろどんどん理央ちゃんを愛おしくおも

 う一方だ。

 もう大好きとかじゃない。

 オレは耳元で理央ちゃんにささやいた。

「理央ちゃん、愛してるよ」

 ふキャッ。

「もう、良夜くん!耳元でそんなことささや

 くなんて嬉しすぎるっ。」

 オレにガシッとしがみつく理央ちゃん。

 そして、

「私も愛してるっ」ってささやいた。

 くぅ〜。

「理央ちゃ〜ん」

「良夜く〜ん」

 

 学校やバイトの疲れなんて一気に吹き飛ぶ。

 どんな栄養剤よりも敵わない。

 理央ちゃんは、最強のオレの栄養剤なのか

 もしれない。

 

「あのねっ、良夜くん」

「ん?」

「あの…おかわりください!」

「おかわり?」

「うん」

 ん?

 あぁ、さっきの!

「いいよ。理央ちゃん、愛してるよ」

 ふキャ〜。

 理央ちゃんの耳元でまたささやいた。

「ありがとう。良夜くん!あー、録音した〜

 い。」

「録音って…でも、オレも理央ちゃんの声録

 音して疲れた時ききたいなー。」

「うっ…それはやっぱり恥ずかしいかも」

「そうだよなー。でもさ、脳がインプットし

 てるからいっか!」

「うん!そうだね」

 ふふっ。

「私、声フェチなのかな。良夜くんの声聞く

 だけですごく落ち着く。」

「うん。オレも理央ちゃんの声落ち着くよ」

「ほんと?」

「うん。ほんと」

「そうかぁ。嬉しいなー。」

「声ってさ、ドンピシャであーこの声好きー

 って時あるよね」

「うん!そうなの。トーンとかさ」

「そうそう、理央ちゃんは絶妙なトーンなん

 だよ」

「えー、ほんとー?」

「うん。ほんと!良夜くんって呼ぶ声とかほ

 んと痺れるから」

「そうだったんだ。」

「うん」

 なんて言いながら長いことくだらない話を

 しているオレたち。

 二人とも疲れてるはずなのに一緒にいると

 まだ寝たくないってからだがいっている気

 がする。

 腕枕しているだけでも充分な充電になる。

 ほんと不思議だ。

 そばにいるだけで癒されるなんて。

「あ〜、理央ちゃん。オレ幸せ〜」

 ムギュ〜

「うん。私もすーっごく幸せ〜」

 ムギュ〜。

 

 こうしてお互いイチャイチャしながら疲れ

 を癒すのでありました。

 

 朝、目が覚めるとやっぱり隣にいる理央ち

 ゃん。

 寝ても覚めても理央ちゃ〜ん。

 かわいいなぁってみてたら理央ちゃん

「り、良夜…くん。か…かけ…て…」

 っていきなり寝言を言い出した。

 ん?

 かけて⁇

 なんだろう…

 寝言に話しかけちゃいけないよな。

 起きたら、どんな夢みたのか聞いてみよっ

 かな。

 なんて思ったらまた…

「お願いします…お願いだか…らかけてー」

 って言った。

 えっ、なんだろう?

 かける…

 掛け算の夢でもみてんのかな⁈

 それとも何かものを引っ掛けて欲しいのか

 な?

 う〜ん。

 わからないよー、理央ちゃーん⁉︎

 

 しばらく考え込んでいたら理央ちゃんが目

 を覚ました。

 あーよかった。

 

 すると理央ちゃんが朝から変なお願いをオ

 レにしてきた。

「良夜くん…朝からこんなお願いどうかと思

 うんだけど…。」

「うん。どうしたの?」

 やっぱり…なんかかけて欲しいって話かな

 ?

 

 理央ちゃんがお願いしてきたことは、やっ

 ぱり夢の続きのお話だったようだ。

 

 続く。

 

 

 

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