美少女と雨の日

「良夜くん」

「ん?」

「好きっ」

 へっクシュッ。

 えっ…

「好きな果物なに?って聞こうとしたらくし

 ゃみでちゃった」

 あー…なんだ。

 本屋でいきなり好きなんて言われたから焦

 ったぜ…。

「好きな果物は、いちごかな。理央ちゃんは

 ?」

「う〜ん。スイカかなぁ」

「スイカか。もうすぐ夏だからいっぱい食べ

 ようね。」

「うんっ‼︎」


 なぜ理央ちゃんが好きな果物を聞いてきた

 のか、それはオレの誕生日に判明する。


 五月後半

「良夜くんお誕生日おめでとう‼︎」

 たーくさんいちごがのったケーキを理央ち

 ゃんがオレのために作ってくれた。

「えっ、理央ちゃんわざわざ作ってくれたん

 だ?」

「うん。味はちょっと自信ないけどよかった

 らどうぞ。」

「わ〜、ありがとう‼︎いただきます‼︎」

「うん。」

「美味しいよ〜理央ちゃーん」

「ほんとっ?よかった〜」

「理央ちゃんも食べなよ」

「うんっ」

 二人で仲良くケーキを食べていた。

 あ、

「理央ちゃん、口の横にクリームついてる」

「えっ、どこ?恥ずかしい」

「ほら、ここ」

 ペロッ、ペロペロ

 チュッ ムチュ〜

 ンクっ

「ごめん。なめてとってあげるつもりがつい

 つい理央ちゃんまで食べちゃって。」

「ううん。もっと食べてほしいくらい」

 マジっすかー。

 ならばお言葉に甘えて、

 チュ〜、ムチュムチュ〜


 

 ケーキも理央ちゃんも美味しくいただいた。


 理央ちゃんの誕生日は、夏だよな。

 しかもスイカが好きって言ってたなー…

 スイカのケーキ?

 …んー。ないな。

 誕生日までになんか考えよっと。


 

 暖かい春は、やっぱりお散歩が一番だ。

 学生は、お金もそんなにないし。

「良夜くん、ここに座らない?」

「あ、いいね!」

 きれいな桜の木の下でお花見。

「実は、ミニピクニックセットご用意いたし

 ました〜。」

「えー、理央ちゃん早起きしたと思ったらこ

 れ作ってたんだ?」

「うんっ」

 ニッコリする理央ちゃん。

「も〜、理央ちゃんありがとー。」

 思わず頭をナデナデ。

 ウキュッ

 嬉しそうな顔をする理央ちゃん。


 二人でサンドイッチを食べたりして、まっ

 たりとしていた。

 春の風がなんとも心地よい。

 しばらくすると少し風が強くなってきた。

 すると理央ちゃんが靴を履いて桜と奮闘し

 だした?

「理央ちゃん、なにしてるの?」

「あのね、花びらをキャッチすると願い事が

 叶うんだよ。」

「へー」

 理央ちゃん、なんか叶えたい事あるのかな

 ?

「オレもやる!」

 二人で仲良く花びらキャッチ。

「あ〜、とれた〜‼︎」

「オレもー」

「願い事叶うといいね!」

「うん、あっ」

 理央ちゃんが桜の幹に足を少し引っ掛けた。

「大丈夫?理央ちゃんもキャーッチ」

「あ、ありがとう。良夜くん」

「うん」


 二人で仲良く手を繋いで帰った。

 家に帰るとアイロンで理央ちゃんは、押し

 花のしおりをオレの分も作ってくれた。

「へぇ、理央ちゃんすごいねー」

「そんな事ないよ、簡単にできるの。私前は

 友達が本だったでしょ。だからお母さんが

 しおりの作り方教えてくれたの。」

「そっかー、手作りしおりなんかいいね」

「そう?」

「うん」


 なんだかとっても理央ちゃんを愛おしく思

 ったらいつのまにか理央ちゃんを優しく後

 ろから抱きしめていた。

「良夜くん、あったかい」

「うん。オレも」


 こうして暖かい春を過ごしたのでありまし

 た。


 春が過ぎると今度は、雨、雨、雨…

「オレさー、梅雨ってやだなー」

 理央ちゃんと買い物の帰り道。

 傘を差しながら信号待ち

「え、そうなの?」

「だってぬれるし傘さしてるとさ片手ふさが

 るじゃん」

 手繋げないし…

「ふふっ、でもこういうことできるよ」

 チュッ

 理央ちゃんがこっそりオレの傘に入ってキ

 スをした。

 理央ちゃーん。

「オレ、雨好きになった‼︎」

「うん!ならよかった。私傘は透明の買わな

 いって今決めた!」

「そうだね。だってさっきみたいにできない

 もんね」

「ねっ」


 こうして雨の日もイチャイチャして過ごす

 のであった。

 理央ちゃんといると毎日が楽しくなるな。


 金曜日

 今日は、二人とも学校の後にバイト。

 だから夜ご飯は、それぞれ適当に食べる。

 オレはおにぎりの梅干しとシーチキンを食

 べた。

 そしてサラダ。

 理央ちゃんも今頃バイト頑張ってるんだろ

 うなー。

 一緒に住んでるけど早く理央ちゃんに会い

 たいな。

 オレってこんな寂しがり屋だっけ?

 …う〜ん。わからん。


 よし‼︎バイト頑張ろ‼︎


 バイトを終えて家に帰ると理央ちゃんは、

 先に帰宅していた。


 

 り、理央ちゃーん‼︎

「ただいまー」

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