美少女のお友達作戦
小悪魔瀬野さんの着せ替えも無事終了して、
当日。
待ち合わせまでせっかくだから一緒に行こ
うってなった。
なんかデートみたいじゃんか。
二人でとかよー。
しかも一緒に住んでるせいか、瀬野さんは
よく笑ったり、いろんな話をしてくれる。
好きな花はキキョウとか、好きな香りはシ
ャボンの香りとか。
うんうん。瀬野さんっぽいよ。
でも、待ち合わせ場所に近づくにつれて瀬
野さんは、緊張している様子だった。
どうにか緊張をほぐしてあげたい。
どうすっかなー。
「あの、お友達になんて挨拶すればいい?」
「挨拶って…そんな固くならなくて大丈夫だ
よ。なら、一緒にういーっすって同時に言
ってみる?」
なんて冗談を言ってみたら、
「うん!一緒なら言えるかもしれない。やっ
てみる」
って目を輝かせて言ってきた瀬野さん。
うん。なら、そうしよう。
待ち合わせには、もうみんな集合していた。
練習した通りに瀬野さんと
「「ういーっす」」って同時に言ってみた。
一瞬みんなびっくりした顔したけど、
「なんだー、瀬野さん良夜が言ってた通り全
然怖くないじゃ〜ん。むしろ面白キャラな
んじゃん」って笑って答えた。
「しかも二人で登場とかあやしー」
「だろ。なんなら瀬野さん小悪魔だから」
「えっ、小悪魔?何それー教えてよー」
「あっ、小悪魔なんて私…そんな…」
小さな声で瀬野さんが言った。
「何⁇やっぱ二人って付き合ってんの⁈」
男友達がガヤついた。
ニヤッ。
怪しい笑みを浮かべて男どもを黙らせた。
まさか学年一の美少女と暮らしてるなんて
言わないけど、少し匂わせとけば瀬野さん
も誘惑されずに済むかもしれないし。
そしてみんなでゲームなんかをして遊んだ。
気づくといつも瀬野さんが隣にいた。
本当に彼女みたいなんっすけど。
かわい〜。
オレは家にいる時みたいに気軽に瀬野さん
に話しかけると、普通に答えてくれる瀬野
さん。
意外とみんないても話せるじゃん!
「やってみる?」
「うん。」
そうして気遣いながら女子にも話をフリ、
誘導したりした。
すると、いい感じに女子が瀬野さんに話し
かける。
そして帰る頃にはすっかり女子と打ち解け
ることができたみたいだ。
でも、少し心配なことができた。
瀬野さんがクールじゃなくて天然小悪魔だ
と気づいた男どもが黙っている訳がない。
なのでまた
「んじゃ、オレ瀬野さん送るからまたなー」
あたかも彼氏かのように振る舞うオレ…。
で、男どもはマジかよ⁉︎本当に良夜学年一
の美少女と付き合ってんのかよ⁉︎的な顔。
…
みんなと別れてから瀬野さんに謝った。
「瀬野さん…彼氏のフリみたいなことして、
ごめん。もうしないから安心して。」
「えっ、やめないで。学校でも彼氏のフリし
てもらえない?」
ま、まさかのお言葉…。
いいのか⁉︎
本当にいいのか⁇
…たしかにオレが彼氏のフリして隣にいれ
ば女子も話しかけやすいし、瀬野さんもオ
レが隣にいると安心できるのかもしれない
な。
「うん。なら、彼氏っぷり続行しちゃおっか
な。」
「ありがとう。」
瀬野さんは、にっこり微笑んだ。
フリでも、学年一美少女がこうしてオレに
微笑んでくれるんだから、もう最高じゃん。
なんてラッキーボーイ‼︎
「じゃ帰ろっか。」
「うん‼︎」
瀬野さん友達ができてよっぽど嬉しいんだ
ろうな。
もう表情が全然違う。
すっごくいい‼︎
家に帰ると、お母さんに一生懸命友達の話
をしていた瀬野さん。
誘ってみてよかったな。
夜、水を飲もうと下に降りてきたら瀬野さ
んのお母さんが茶碗洗いをしていた。
キャアキャアクッションに座ったのは、本
日お母さんだった。
「あ、良夜君。」
茶碗洗いをしていたお母さんが手を止めて
改まった感じでオレに、
「ありがとう」
と言ってきた。
⁇ありがとう⁇なんだろう。
「えっ、どうしたんすか…」
「娘に友達紹介してくれたのよね。あのこ、
すっかりはしゃいじゃって。あんなに嬉し
そうな理央初めてみたわ。あなたが来てか
ら本当あのこ変わったわ。本当にありがと
うね。」
お母さんは、涙を拭って茶碗洗いを再開し
た。
そうか。
オレには、些細なことでも瀬野さんとお母
さんには、すごいことなんだな。
…で、明日から彼氏のフリってどうすれば
いいんだ⁉︎
なんて頭を抱えていたら、瀬野さんがオレ
の部屋をノックした。
コンコン
「どうぞー。」
パジャマ姿の瀬野さん…。
あの瀬野さんがパジャマでオレの部屋に訪
問してきたー‼︎
瀬野さーん‼︎
マジかわいいっすー‼︎
続く。
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