美少女小悪魔疑惑
茶碗洗いをしながら瀬野さんのお母さんが
言った。
「理央学校では、笑わないでしょ?」
って。
…知ってたんだ。
「あー、オレの知ってる限りじゃ家よりか笑
わないですかね…」
「そうなのよね。幼い頃から激しい人見知り
でね。お友達もあの調子だといないでし
ょ。」
「…えーと。」
「いいのよ。先生から聞いているから。」
「あー…」
「だから、せめて家では笑っていてほしくて
ね。あのキャアキャアクッションも私が考
えてね。毎日なんか笑ってくれたらって思
ってさ。」
…だからお母さんいつもテンション高めだ
ったのか。
娘に笑って欲しくて…。
「たしかに、席選びの時瀬野さん楽しそうで
すよね。」
「そうでしょ。私ったら頭いいからぁ」
…
「ですね。ハハハハ。」
でも、そんな理由があったなんて知らなか
ったな。
家だとリラックスしてるからオレとも普通
に話せるのかもしれないな。
瀬野さんは、ただ一人の方が楽なんだと思
っていた。
本当は、瀬野さん友達欲しいのかもしれな
いな。
次の日また廊下で瀬野さんとすれ違った。
「おっす、瀬野さん!」
「あっ、おっす…」
瀬野さんは、いきなりのオレからの挨拶に
戸惑っておっすって返してきた。
もう周りにいたみんなは、瀬野さんのおっ
すにびっくりした様子だった。
「えっ、良夜さ、瀬野さんとどんな関係なわ
け⁈」
同じ中学だった女子が話しかけてきた。
「あー、秘密」
「えっ、瀬野さんって怖くない⁈良夜よく友
達になれたねー」
「瀬野さん、怖くないよ。それに花とか好き
らしいよ」
「花⁇なんで良夜がそんなこと知ってんの。
ってか、花とか好きなんて意外。笑わない
し、花とか興味ない人だと思ってた」
「まあ、それは偏見ってやつだな」
「へー、良夜瀬野さんと仲良いんなら今度、
みんなであそぼうよ。私瀬野さんに興味あ
ったんだ。でも、怖そうだから話しかけな
かったけど、怖くないならお友達になりた
い!」
「マジ⁉︎」
「うん。あたし瀬野さんと同じクラスだし」
「そっか。なら今度の休み遊べるか誘ってみ
るよ。他にも誘ってみんなでワイワイな」
「うん。よろしくー。」
オレたちが話している側でヒソヒソ話が繰
り広げられていた。
瀬野さんとオレが付き合ってるんじゃない
かって。
…んなわけないない。
夜早速瀬野さんに今度の休み暇か聞いてみ
た。
「えっ、今度の休み?予定ないけど」
「なら、遊びに行かない?」
「えっ…デートって事?」
「ううん。二人じゃないよ。オレの友達も一
緒。もちろん女子もいるよ。」
「お友達か…。」
「嫌なら無理にとは、言わないけど」
「…良夜君いるなら行ってみようかな…」
「よし!じゃあ、決まりね‼︎」
「うん…」
早速瀬野さんと友達になりたがっていた女
子に連絡してみた。
すると、すっごーい。良夜もしかしてみん
なに内緒で瀬野さんと付き合ってんの?
なんて返事がきた。
…んなわけねーって。
でも、これで瀬野さんが少しでも学校で笑
って過ごせるようになるといいな。
みんなで遊ぶ日の前日
コンコン
オレの部屋に瀬野さんが入ってきた。
すっかりオレの部屋は、男っぽくカーテン
なんかを模様替えしてもらいモードな部屋
に早変わりしていた。
「いい?今?」
「うん。いいよ。どーしたの?」
「あの、あのね。実は友達と遊ぶの初めてで
どんな服装がいいのか迷っちゃって…」
「あー、ならオレがコーディネートしてあげ
ようか?」
「えっ、いいの?」
「うん。」
「なら、私の部屋に洋服あるから来てもらっ
てもいい?」
「うん。」
うっかりコーディネートするって言ったけ
ど、瀬野さんの部屋に入るって事なんだよ
な。
今更だけど、あの瀬野さんの部屋だぞ⁈
やばくね⁉︎
ドキドキしてきたぞ。
ってか、そもそも一緒に住んでんだし部屋
も隣ってやっばいな。
コンコン。
「はぁい、どうぞ」
ドキドキ…。
ズキューン‼︎
かわいい…
かわいい部屋じゃん。
なんか彼女んちきた気分だぞ。
最高っす。
恥ずかしそうにクローゼットを開ける瀬野
さん。
ガラガラガラガラ
おー、かわいい服いっぱいじゃん
「どれがいいかな…?」
「うーん。このワンピースとか、このスカー
トにこの服もいいねー。」
「なるほど。一回来てみるね。後ろ向いてて
ね」
えっ、まっ…
一旦部屋を出ようとしたけどそんな間もな
く脱ぎだす瀬野さん…
瀬野さん…せっかちか⁇それとも天然小悪
魔⁈
美少女が同じ部屋で服を脱ぎ着するなんて
やばくね⁉︎
どんな展開だよ⁉︎
一人でドギマギしていたらあっという間に
お着替え終了。
「どう?」
瀬野さんの言葉に振り向くと、
「かわえ〜」
あっ、やべえ。
心の声ダダ漏れしてしまった…。
コホン。
「うん。かわいい!似合ってる‼︎」
「本当?ありがとう。じゃ次こっちきてみる
ね」
オレがまだあっち向いてないのにまた瀬野
さん脱ぎ出した。
おーっ。
瀬野さん…
マジ小悪魔ー‼︎
あぶねー。
危うくみてしまうところだった…。
「どうかな?」
「うっわ。いいわ〜」
あっ…また心の声‼︎
コホン
「いいと思う。でも、最初の方が友達うけい
いかもな!」
「わかった。なら最初のやつにするね!あり
がとう。」
瀬野さんがにっこり笑った。
かわいいぞ…。
こんな学年一の美少女の着せ替えをしてる
オレってなんなんだよ。
たまに夢かって思うぞ。
すごい体験させてもらったよ…。
小悪魔瀬野さんよ。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます