第2話 出会いの話
半年前のこと
俺は店長と2人で棚の整理をしていた
その時に店長に言われたことがある
「いやー吉見くんもさー
早く彼女作りなよー?」
と急に言われた
俺は妙な違和感を感じながら店長の言葉に答えた
「急になんですか?
俺は彼女欲しいわけではないですからね」
「いいやー?まあ四月になって新しいバイトの子が入ってくるんだけどね」
と、店長が話を溜めると
俺に耳打ちをして小さな声で言う
「その子、めっちゃ可愛いしいい子だったよ」
「そ、そうですか」
可愛い子が入ってくるということに俺は激しく動揺する
可愛い子は好きだ
むしろ可愛い子が嫌いな男はいないと思う
俺は基本夕方5時から夜10時まで働いている
本屋でバイトする若い子はあんまりいなくて
俺の勤務する時間では主婦か真面目そうなお兄さんしかいない
あとあの態度の悪いやつ
だから結構楽しみにしていた
大学で出会いがないわけではないけど
こいつだ!とか俺はこいつのために!とか
そういう感じの子に会ってみたいんだけど
暇さえあれば飲みに行こうぜ!
ってみんなでガヤガヤしてる集団が大半だったから
俺はあんまり好きじゃないんだよなー
「吉見くん、その子をゲットして
楽しい人生を送りなさい」
「店長は一体俺のなんなんですか笑」
と言いつつも俺は新しいバイトの子が入ってくるのを待った
店長が言うには3日後が初出勤
こりゃ高まる!
なんて考えている時だった
後ろからボソッと
「しょうもない」
とつぶやいた人物がいた
俺は聞こえてないフリ
そいつは俺より5個くらい年上の人なんだけど
明らかに陰キャ
別に陰キャバカにしてるわけじゃないけど
僻み、愚痴、態度は最悪だ
これだけで悪く思われてこんなに損してるの勿体無い
その人物の名前は本間優吾『ほんまゆうご』
俺はこいつが嫌いだった
話しかけてもほぼ無視
レジでわからないことを聞いてもそっけない態度で返されたり
なんなんだこいつと思いながら一緒に仕事していた
俺も気にしてないからいいけど
さすがにムカつくと思う
ということは気にしてんだよなー
まあそんなことはさておき
3日後
5時から出勤だった俺は少し早めに行った
そしてバックルームに入ると
見知らぬ女の子が背中を向けて座っていた
その女の子が振り返ると
「だ、誰ですか?」
と、見知らぬ女の子は俺に話しかけてきた
よく見ると本当に可愛い
俺はしばらく固まる
これが噂の新しいバイトの子?
座っているからか上目遣いで俺を見ている
こんな子と働けるなんて毎日がハッピーだわ
見た感じ年下かな?
とりあえず名前を聞いてみることにしよう
「君、なま」「川本来那ですけど」
ん!?
俺が聞く前に食い気味に答えやがったぞこいつ
態度の悪さに俺は少しイラっとしたがここで食らいついてはいけない
可愛いと思ったら塩対応ちゃんかよ
「来那ちゃんかー
俺は吉見律って名前なんだけど
新しく入ってきた子だよね?
よろしくねー!」
「あ、はい」
またぶっきらぼうに返事をする来那
くそ…あんまりガツガツ来られても嫌なタイプか?
まさか本間みたいに態度悪い可愛い子なのか!?
それはいやだぁー!
俺はなんとしてでも来那ちゃんと仲良くなりたかった
でもこんな感じじゃしばらくは無理かな?
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