第13話
浩成が審査員の子鬼たちの方へ向いた。
子鬼たちはキャッキャとはしゃいでいる。
「い、いきます!!」
大きな声でそう言った浩成が、一気に牛乳を煽った。
顔面に降りかかるほど斜めにされたコップから、牛乳がドボドボとこぼれ出す。
ほとんど飲めていないように見えるけれど、子鬼たちは大笑いだ。
反応は上々。
たった数秒でコップを空にした浩成は、最後に鼻から牛乳を吹きこぼした。
そこでまた大爆笑だ。
特技でもなんでもなくなっているけれど、広間の中は笑いに包まれている。
鬼も表情を緩めて笑っているのが見えた。
牛乳で顔面を真っ白にした浩成は肩で息をして審査員たちを見つめる。
「判定~!」
鬼の声がマイクを通して響く。
全員が審査員に注目していた。
浩成の足が再び震え始める。
判定は審査員が○×で決まる。
○が多ければ高得点ということだ。
一瞬広間に沈黙が下りた。
そして次の瞬間……3つの○が掲げられていた。
残り2つは×。
浩成がその場に膝から崩れて行く。
「なんだよ3って。いいのか、悪いのか?」
結果がわからなくて文夫がオロオロし始める。
「結果は3点か。まぁ頑張ったな。はい、次~」
鬼が言う。
「きっと、俺たち全員が終ってからの判定になるんだろうな」
7人全員が特技を終えた後、一番最下位だったヤツが負け。
今回はそういうシステムだ。
呆然としたまま座り込んでいる浩成が、子鬼に運ばれてやって来る。
「おい、大丈夫か?」
頬を叩いて声をかけると、ようやく顔を上げた。
ひどく牛乳臭くて、思わず顔をしかめる。
「次はあたし……」
震える声でそう言ったのは、小恋だった。
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