やり込みゲーマーの俺、転移特典のスキル【第六感】が優秀すぎて逆にツライ。

柳生潤兵衛

SSSスキル

 俺は好塚堅人こうづかけんと。十七歳。

 

 あれは十六歳の誕生日当日だった。

 ちょうど当日発売の新作RPGのソフトを買った帰りに、道路に飛び出した子猫を助けたら、わき見運転のトラックが突っ込んできた。

 あっ! 死んだなって思ったら、次の瞬間には別の場所にいたんだよ。


「よくぞ参った勇者よ」


 なんて話しかけられてさ、意味分かんなかったけど話を聞いていくうちに、俺って勇者として召喚されたらしいんだ。

 まあ、あの時だまっててもトラックにひかれて死んでただろうから、俺は勇者として魔王討伐をするってのを引き受けた。


 更に話を聞いていると、「あれ? これ俺が買ったゲームの世界じゃね?」って気付いてさ。

 だって、俺を召喚した王女とか、国王とか国の名前がプロモーションで見てたのと同じだったんだもん。


 嬉しかったね~。


 俺は、やり込みゲーマーだからさ、地球で出来なかったゲームを現実として隅から隅までやりこむぞ! 城下町なんて何日かかっても調べ尽くしてやる! なんて意気込んでたんだ。


 ……散ったね。俺の野望。


「ケント様のスキルはSSSスキル【第六感】です!」


 第六感ってね、なんとなく分かっちゃうんだよ。重要かゴミか、良いか悪いか、右か左か。

 で、分かった事と逆の事しようとすると、頭に激痛が走るワケ。死ぬほどの激痛がね。


 おかげで、城下町なんて半日で出ざるを得なくなってさ、モンスターだってどこを攻撃すれば一撃で倒せるか分かっちゃうワケ。

 俺はこの攻撃がどのくらいのダメージを与えて、何発で倒せるかとか知りたいタイプなのに、ぜんっぜん出来ないの。頭痛くて。


 で、仲間とか集まっちゃってさ、1年ちょい旅して着いちゃったんだよ、魔王の前に。


 ……見えるね。一撃ポイントが。


「く~~~~! ツライっ!」




 倒したよ? もちろん一撃で。だって頭痛いの嫌だもん。スキルレベルが上がったら、激痛レベルも上がってたからさ……


 で、聖女様がね、俺に言うんだ。


「勇者様。共に王都へ凱旋致しましょう! そしてわたくしと……」


 普通ならさ、「よし! 帰ろう!」ってなるんだけど、告げるんだよ……俺の第六感が!

 

 王都に帰ったら死ぬぞって……


「く~~~~! ツライっ!」


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やり込みゲーマーの俺、転移特典のスキル【第六感】が優秀すぎて逆にツライ。 柳生潤兵衛 @yagyuujunbee

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