第8話 雪、後に雷

冬の寒さも本格的になってきた12月20日のクリスマスも近い金曜日の事。


会社では冬季休暇も近づいている事から、休憩時間に独身の男達は、忘年会を風俗店でしよー等とバカな話しで盛り上がっていたりした。


そんな中でも宙の頭の中は日高有美でいっぱいだった。

日高有美が頭をよぎっては、自分の意思でかき消しての繰り返しで、もう限界だ。


その帰宅途中、その年、初の雪が降ってきた。

小さく冷たい雪が頭の上に乗る。

雪は少しづつ大きくなり寒さも増していった。

宙は、来たバスにすぐに乗り、後悔とこれで良いんだ。とゆう複雑な気持ちのまま、通り過ぎる景色の中で、あの居酒屋に目をやった。


ハァー。何か、複雑だ。


ため息からこぼれる白い息は、後悔のため息なのか、疲れから出たため息なのか、恋のため息なのか、分からないでいた。


そこに、ピカッ!ズドーン!


と大きな落雷があり、大気が揺れた。


バスの中では、イヤ!とつい口にしてしまった人。

あー、びっくりした。と落ち着く人。

色々な人が色々な事を口々にした。


よほど驚いたのか、全員が次のバス停で下車をした。

宙も後ろの人に押され、結局は下車をする羽目になった。


宙は思った。

・・・神様がチャンスをくれたのかも・・・


と。

なぜなら、そのバス停から、あの居酒屋へは2㎞程。自宅までは3㎞程あり、今からなら、居酒屋で雨宿りをした方が良いからだ。


宙は居酒屋に向かいながら妻にメールをした。


居酒屋に向かう途中では、既にイルミネーションを飾っているお店や家があった。それは、まるで祝福をするレッドカーペットのようだった。


歩く事、10分程度、居酒屋が見えてきた。


・・・怖い!でも、会いたい!負けるな!自分!・・・


段々と視界を悪くする雪がシンシンと積もっていっていた。


同時に雷雲も目前まで迫っていた。











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