第7話 落雷

日高有美の存在により宙は、それから1週間をモヤモヤした気持ちのまま過ごした。


それは、妻の明美にも伝わっていた。


が、きっと仕事で何かがあったのだ。くらいに思っていた。

なぜなら、宙は日高有美には会いに行ってないからだ。

しかし、1週間後の特に残業も無い日に宙は会いに行った。(12月1日(火曜日))


そこは、居酒屋の隣にある薬局で、今風なドラッグストアとは違い、昔ながらの少し暗めな薬局だった。


それでも、扉は自動ドアで店内は薬を渡すカウンターと椅子があり、奥に調剤をする部屋が見えていて、明るい雰囲気の店だった。


入り口を入るとピンポーンと懐かしい音がした。その音で、恐らくバイトの人であろう人が声をかけてきた。


いらっしゃいませ!


すいません。日高有美さんはいますか?知り合いでして。仁科です。と伝えて頂ければ分かると思います。


それを聞いて、有美は奥から出てきた。


いらっしゃい♪

来てくれたんですね!何か必要な薬でも出来ましたか?


いえ、あー、じゃこれを。


何も買わずにだと悪い気がした宙はスポーツドリンクを1つ、購入した。


おつりを受け取り、有美の顔を見た宙はなぜかドキドキした。


宙は、自分の感情と思考とを戦わせた。


・・・違う!きっと、ただ、似ているから興味が湧いてしまうんだ。今まで、ずっと女性は怖かったんだから。

こんな変な事、あるはずがない。それに俺には子供も妻もいるんだぞ。ニュースに出る芸能人とは違うんだ・・・


宙が立ちすくしていると。


有美は心配そうに聞いた。


大丈夫ですか?お疲れなら、こちらの栄養剤なんかも効果的ですよ。


あ、ごめんなさい。ちょっとボーッとして。

・・・確かめたい!自分の本当の気持ちを・・・


栄養剤は、どうしますか?


うん。良ければさ、今度、また話せる日があれば。って思うんだけど。あー、栄養剤は買います。


えっ?と、話す?ですか?

1200円です。


う、うんうん。こうゆうのも何かの縁かな?って思ったからさ。

へ、変?ですか?


と話しながら、お金を払った。


いえ。そうゆうのをあまり言われた事が無くて笑 


そうですよね?笑


有美ー!


奥から母親らしき人の声がした。


あ、じゃ、今日はこれで。また、来ます!


ありがとうございました。


・・・ダメだ!俺の感情が変だ!こんなの初めてかもしれない・・・

・・・こうゆう時の対処方法が全然、分からない!・・・


少しづつ慣れようと頑張った妻の時とは違い、逃げたい気持ちと、近づいて見たい気持ちと、トラウマを克服したい気持ちと。

あらゆる感情がめまぐるしく廻った。


それは突然の落雷に撃たれたような感覚であった。














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