第4話 雨雲の変化

宙は一旦、シャワーを浴びる事にした。


この時、宙の中ではサーッと小さく鳴る雨が降っていた。


シャワーを浴びながら鏡を覗き、髭を気にした。そして、頭を洗っている時、あの女は脳裏に鮮明に現れた。


年齢は妻よりも少し上くらいに見えた事。憶測で34歳くらい。だと思っていた。


身長は宙と同じくらいで170㎝程度。


体格は普通よりは、細身より。


ウェーブのかかった髪の毛にフレームが細いメガネをかけていた。


宙は思った。恋?そんなわけないか?あんな違和感だから、きっと気になるんだ。忘れよう。

と。


そして、リビングに戻り、ゆっくりとテレビを見ていると妻が穏やかに笑みを見せながら横に座った。


疲れちゃったのかな?歩いて帰ってきたんだもんね?タクシーを使えば良かったのに。


俺のせいだけどウチ、そんな余裕はないし。


それくらい、何とかなるよー笑

次はタクシーを使って良いよ。


妻が頭を傾けて宙の肩にのっけてきた。


宙は知っていた。女が優しい時は必ず裏があると。

宙が高校時代に付き合っていた女が、そうであり、自分から、そう話していたからだ。


しかし、

うん。ありがとう。次からは良く考えてみるよ。

と返事をした。


夫婦間のかけひきは、天気予報に似ている。当たったり、外れたり。


ね、次の休みの日、子供を連れて、どこかに行かない?


ほら、来た!そう、思った。


どこか行きたい所とか、あるの?


うん。見て~。ここ。

ネットを使い、画面を見せてきた。


そして、その日、妻は宙を求めたが宙は疲れきっていた事もあり、朦朧として眠ってしまった。

なぜなら、胸のモヤモヤが罪悪感に思えたからだ。


雨雲は徐々に雷雲に変わりつつある。


雲の中の水滴が氷、結晶がぶつかり合う。


そんな感じだ。





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